クラシックへと繋がる登竜門

2月11日に東京競馬場で共同通信杯(GⅢ)が行われる。当レースの出走馬からは近3年で4頭がクラシックホースになっており、まさにGⅠへの登竜門といえる一戦だ。

過去の傾向を見ると、1〜2番人気の馬が近10年で【2-3-5-10】(複勝率50.0%)と人気を裏切る傾向。一方で3番人気が5勝を挙げており、実力差がハッキリとしない世代戦らしく、下馬評が覆る決着も珍しくない。こうしたレースではなおさら、人気馬の取捨選択を吟味して馬券の的中に繋げたい。今回は過去10年(14〜23年)における当レースのデータを基に、「過信禁物の注目馬」を導いていく。


前走GⅠで好走した馬が苦戦気味

前走GⅠ・前走着順別成績,ⒸSPAIA


今年は前走GⅠの馬が4頭登録しており、中心視されるのは間違いない。当レースにおいて前走GⅠの馬は【1-3-0-8】勝率8.3%、連対率、複勝率33.3%とまずまずで、データ面からも期待したいところだ。

だが、この組を前走の着順別に分けると、1〜3着に好走していた馬が【0-1-0-4】勝率0.0%、連対率、複勝率20.0%で、4着以下だった馬が【1-2-0-4】勝率14.3%、連対率、複勝率42.9%。意外にも、GⅠで馬券に絡めなかった馬の方が当レースで活躍できている。

前走GⅠ好走馬で唯一馬券に絡んだのは、19年2着のアドマイヤマーズである。だが当馬は4戦無敗で朝日杯FSを制しており、当レースでは単勝1.7倍の圧倒的な支持を受けていた。これらを踏まえると、2着は満足できる成績ではない。その他の4頭も上位人気の評価を受けながら、全てが人気以下の着順に沈んでいる。

当レースは左回りの東京コースが舞台であり、10頭前後の少頭数での施行となるケースがほとんどだ。右回りかつ多頭数での実施となる、2歳GⅠの2戦とは競走条件が大きく異なる。問われる適性にも差異があるはずで、これがデータにも表れていると考えられる。前走GⅠ好走組に、過度な期待を寄せることは避けたい。


父サンデーサイレンス系以外は、前走上がり順位で明暗

父・サンデーサイレンス系 前走上がり順位別成績,ⒸSPAIA
父・その他系統 前走上がり順位別成績,ⒸSPAIA


次は血統に関するデータに着目する。父サンデーサイレンス系の馬は【6-7-7-46】勝率9.1%、連対率19.7%、複勝率30.3%で、「父がその他の系統」の馬は【4-3-3-34】勝率9.1%、連対率15.9%、複勝率22.7%。複勝率こそサンデー系がやや優勢も、大きな差はない。

だが、「その他の系統」について、前走での上がり順位別成績を見ると、明暗がハッキリと分かれる。前走で上がり1位だった馬は【3-3-1-13】勝率15.0%、連対率30.0%、複勝率35.0%と良好だが、前走上がり2位以下だった馬は【1-0-2-20】勝率、連対率4.3%、複勝率13.0%と振るっていない。

サンデー系も同様に分類してみると、前走上がり1位は【4-0-2-13】勝率、連対率21.1%、複勝率31.6%に対して、前走上がり2位以下の馬は【1-7-5-31】勝率2.3%、連対率18.2%、複勝率29.5%だ。勝率こそ大きく落ち込むが、好走率は上がり順位に関わらず高水準だ。

サンデー系の産駒は瞬発力に秀でた馬が多く、直線での末脚勝負になりやすい当レースは絶好の舞台である。一方で「その他の系統」の馬は、前走で瞬発力の高さを証明していたかどうかで、好走率に大きな差が出ている。父サンデー系以外で前走上がりが2位以下の馬は評価を下げるべきだ。


データで導く「過信禁物の注目馬」

ここまでに紹介したデータをまとめると、当レースにおける不安要素は以下の通りである。

・前走GⅠで3着以内
・父サンデー系以外で、前走上がり2位以下

これらを踏まえて、今回はジャンタルマンタルを「過信禁物の注目馬」として挙げる。

無傷の3連勝で朝日杯FSを制しただけに、今回も上位人気に推されることは間違いない。だが、当馬の勝利した3戦は全て、道中は淀みないペースでレースが進んでいた。こうした展開の中で先行策を取り、スピードの持続力を生かして後続を振り切る形で、勝利を積み重ねてきた。

しかし今回は登録11頭と少頭数で、東京芝1800mのコース形態も考慮すればスローペースでレースが進むことが濃厚である。こうなれば長い直線での瞬発力が問われるはずで、当馬の過去の好走パターンとは異なった展開となる。これまでの上がり3ハロン最速が34秒台後半の当馬にとって、瞬発力勝負は歓迎できるものではない。

また、クラシックへ向けて賞金面の不安は全くない立場であり、今回の出走は関東輸送や東京コースでのテストの意味合いが強そうだ。勝負度合いに関しては、他の有力馬と比べて一枚落ちる。2つの不安データにも該当しているだけに、重い印は避けるべきだ。

《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを生かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。

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