8枠が好成績

昨年の牡馬クラシック戦線は皐月賞こそ京成杯経由のソールオリエンスが勝ったが、ダービーは弥生賞ディープインパクト記念(以下、弥生賞)を勝ったタスティエーラが制した。その前年ドウデュースは弥生賞2着。近年、弥生賞の存在感が再び増している。オールドファンには懐かしい“ダービー馬は弥生賞から”という格言が令和に復活しつつある。時代が流れても変わらない。

今年はタスティエーラと同じ堀宣行厩舎に所属するダノンエアズロックがここからクラシックへ進む。新馬、アイビーSを連勝。アイビーSではホープフルSを勝つレガレイラに0秒2差をつけており、世代最上位ランク評価は当然といえる。弥生賞を勝てばその評価を揺るぎないものにできる。データは過去10年分を使用する。

弥生賞の人気別成績,ⒸSPAIA


クラシック戦線における最重要トライアルらしく、1番人気【3-4-1-2】勝率30.0%、複勝率80.0%を筆頭に4番人気以内が9勝2着8回3着7回と上位人気馬が強い。伏兵台頭は8番人気【1-1-0-8】勝率10.0%、複勝率20.0%ぐらいで、有力4頭の競馬になりやすい。

今年もダノンエアズロックにホープフルS2着シンエンペラー、若駒Sで衝撃の走りをみせたサンライズジパング、2戦2勝トロヴァトーレ、東京スポーツ杯2歳S2着シュバルツクーゲルと上位勢の層は厚い。

弥生賞の枠番別成績,ⒸSPAIA


舞台となる中山芝2000mは中山のなかでは比較的クセがなさそうだが、枠番別成績をみると意外にも8枠が【5-1-1-13】勝率25.0%、複勝率35.0%と抜けている。7枠も【1-5-1-13】勝率5.0%、複勝率35.0%なので、外枠の好走が目立つ。

これは弥生賞が10頭前後の落ち着いた頭数になることと結びつく。手ごろな頭数のため、外を回るロスと馬群に包まれないメリットのバランスが、メリット寄りになりやすいと推測できる。決まってスローになるため、内は密集した馬群で力を出し切れない、もしくは折り合いを欠くといった要素が紛れ込む。

ほかでは4枠も【2-1-2-6】勝率18.2%、複勝率45.5%と好成績。こちらは真ん中から内外の出方が見やすく、戦略を立てやすいという利点があるのではないか。

意欲を買うならトロヴァトーレとファビュラススター

世代上位実績馬たちが集う今年、ここで一歩前に抜け出すのはどの馬だろうか。ここからはキャリアと前走成績から絞ってみたい。

弥生賞のキャリア別成績,ⒸSPAIA


さすがにキャリア1戦以下は【0-1-0-7】複勝率12.5%と苦戦する。好走ゾーンは2戦【3-2-2-10】勝率17.6%、複勝率41.2%から4戦【3-1-2-14】勝率15.0%、複勝率30.0%だ。やはりデビューから計画的かつ順調にここへ駒を進めてきた馬を上位にとりたい。一方で5戦以上も好走馬を送っており、経験値も大切だ。

弥生賞の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


キャリア2戦以上の前走クラスを見ると未勝利は【0-0-0-11】で、1勝目をあげたばかりだと苦しい。目立つのはオープン、重賞経由で前走GⅠは【2-5-7-6】勝率10.0%、複勝率70.0%。内訳は朝日杯FS【1-3-2-1】勝率14.3%、複勝率85.7%、ホープフルS【1-2-5-5】勝率7.7%、複勝率61.5%で、同条件のホープフルSは若干、勝ち切れない。

ホープフルS5着以内は【1-2-5-3】、2着馬【0-1-1-0】。やはり賞金面の余裕があれば、トライアルは割り切ってくる。シンエンペラーもすでに重賞勝ちがあり、ここは陣営にとって課題克服の場だろう。

次にシュバルツクーゲルの前走東京スポーツ杯2歳Sは【1-1-0-0】で連を外していない。だが、この2頭はいずれも前走を勝っていた。2着だったシュバルツクーゲルはクリアできるだろうか。重賞でいえば、同条件の前走京成杯は【0-0-1-9】と冴えない。やはりレースレベルの違いが課題になる。

前走オープン・リステッド【2-0-1-7】勝率20.0%、複勝率30.0%は前走若駒Sが【2-0-1-4】勝率28.6%、複勝率42.9%と有力。勝ち馬は【2-0-0-1】で、弥生賞を勝ち切るならサンライズジパングではないか。

なお、ダノンエアズロックの前走アイビーSはデータなし。だが、2歳重賞やGⅠに目もくれず、間隔をとったゆとりあるローテーションを組むのはいかにも堀厩舎らしい。しっかり勝ち切って、ダービーまで見通したいところだ。

弥生賞の前走1勝クラス、距離別成績,ⒸSPAIA


最後に格下の前走1勝クラス【2-2-0-24】勝率7.1%、複勝率14.3%は前走2000m【2-0-0-9】勝率、複勝率18.2%が中心になる。特に前走1着だと【2-0-0-4】。当てはまるのは2戦2勝のトロヴァトーレ、ファビュラススター。どちらもクラシック出走に向け、ここは全力投球。意欲を買うのも面白い。

2024年弥生賞に関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬中心の文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。


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