今年からはA→Bコース替わり2週目に戻る

2020年以前はA→Bコース替わり2週目で行われていた桜花賞だが、2021〜23年(良馬場)はBコース替わり初週で行われ、先行馬が1勝、2着2回、3着2回と活躍していた。

今年からは再びA→Bコース替わりの2週目に戻る。レース前夜〜当日は雨が降る予報も一部出ており、その場合はかつてのように外差し有利となる可能性が高い。2019年に7番人気で2着と好走したシゲルピンクダイヤのような馬が穴をあけるだろう。

能力値1〜5位の紹介

2024年桜花賞のPP指数一覧,ⒸSPAIA


【能力値1位 アスコリピチェーノ】
デビューから3戦3勝の阪神JF優勝馬。その前走阪神JFは7番枠から五分のスタート、そこから促して中団中目を追走、道中もコントロールしながら進めていた。3角付近でペースが落ちるとやや掛かり気味になっていたが4角ではスムーズに外に誘導でき、直線序盤は中団列から外のコラソンビートとの叩き合いで3列目まで上がる。ラスト1Fでコラソンビートを振り切ると、内から迫るステレンボッシュをクビ差しのいで勝利した。

前後半4Fのラップは前半46秒4-後半46秒2。3角で緩みが生じたが、4角ではペースアップしておりほぼ淀みない流れであり、やや展開に恵まれた面もある。しかし、前々走の新潟2歳S後に休ませたことで、中間の追い切りでも成長を感じさせており、実際に指数も前々走からさらなる上昇を見せた。

今回はぶっつけ本番。阪神JFから直行のローテーションでは同じノーザンF生産馬であるソダシなどが優勝してはいるが、ここで完全にピークを作るのは好ましい臨戦過程ではない。しかし、今回は能力値上位馬の大半が昨年に使ってからの直行であることを考えると、これは大きな減点材料にはならない。また、今年の桜花賞は2020年以前のように3角の下り坂で勢いに乗せていく、外差し有利の決着になりそうなだけに有力だ。

【能力値2位 チェルヴィニア】
ボンドガールが勝利した、超ハイレベルの新馬戦を逃げて2着と善戦した馬。次走の未勝利戦では2番手追走の競馬で勝利。新馬戦は逃げて目標にされてしまったことで最後に苦しくなった点を踏まえ、6番枠から好スタートを切ったが内からハナを主張する馬を行かせて2番手から追走した。最後の直線では逃げ馬を目標に楽な手応え、ラスト2Fで前を捉えるとそこから後続をグングン引き離し6馬身差で圧勝した。ここでは後にアスコリピチェーノが優勝した新潟2歳Sと同等の指数を記録している。

さらに前走はアルテミスSを優勝。4番枠から出遅れたが、押して中団馬群の中目まで挽回して追走。道中では好位の中目まで上がって2番手のシュシュトディエスを後ろからマーク。3〜4角ではコントロールしていたが、前のシュシュトディエスが動いたのでその後ろから馬なりで上がって4角では2列目。直線序盤では外のスティールブルーの後ろに誘導して2番手まで上がり、ラスト2F目で追われるとじわじわ伸びて同馬と半馬身差。ラスト1Fで捉え切ると突き抜けて1馬身3/4差で完勝した。

このレースは出遅れを挽回して勝利するとても強い内容。ここではスウィープフィートが優勝したチューリップ賞と同等、アスコリピチェーノが優勝した阪神JFとは指数で1pt差のレースをしている。これをキャリア3戦目、2歳10月時点で記録しているのだから素質が高い。阪神JFを回避し5ヵ月の休養明けになるが、成長期の3歳馬だけに休養中に成長しているはず。今回の本命候補だ。

【能力値2位 ステレンボッシュ】
阪神JFの2着馬。同レースでは6番枠からやや出遅れたが、そこから少し促して中団中目を追走。道中も動かず、3角でペースが落ちても我慢してアスコリピチェーノの後ろから直線へ。序盤で外目に誘導しアスコリピチェーノ、コラソンビートを追い駆けて3列目付近まで上がる。ラスト1Fで進路を2頭の内に切り替えて伸びるとアスコリピチェーノにクビ差まで迫った。

このレースはアスコリピチェーノ、コラソンビートを目標に上手く乗られていたというのもあるが、最速の上がり3Fタイムを記録。ラスト1Fの伸びは一番だった。阪神JF時にこのコラムで、復帰戦のサフラン賞が馬体重16kg増で体が緩く、前々走の赤松賞でも体が絞れていなかったことや掛かってコントロールが難しい状態になり能力を出し切れていなかったことから穴馬候補としていた。実際、阪神JFは5番人気ながら2着と結果を出してくれたが、そもそもこのレースが大目標だったはず。

前走を大目標にした以上、ここではピークに持ってきにくいはずで、また、休養明けはあまり良くないタイプのようにも感じられる。ただし、新馬戦では逃げ馬の逸走に巻き込まれてかなり外に膨らみ、中団中目まで位置が下がったロスを挽回して完勝。サフラン賞ではスプリンターズS当日の内と前が残る馬場状態のなか、後方2番手から4角で大外を回ってハナ差の2着と、前走までは一度もスムーズなレースができていない。それでもまとまった成績が残せているのは素質が高ければこそであり、ここも警戒はしておきたい。

【能力値4位 コラソンビート】
ボンドガールが勝利した6月東京の新馬戦では、離された3着だったが、その後は京王杯2歳S優勝を含む3連勝。同レースでは7番枠からやや出遅れたが、そこから促されてじわっと中団外目まで挽回。3〜4角では前のミルテンベルクの外に誘導し、直線序盤で追い出されると一気に3番手まで上がる。ラスト1Fでは先頭と3馬身はあった差をしっかり詰めてクビ差で勝利した。

京王杯2歳Sは“コンクリート馬場”で前後半3F34秒2-34秒9の緩みない流れ。中団で脚を温存したとはいえ、ラスト1F11秒5と加速する流れを一気に差し切った内容は高評価できる。それを考えると前走のフィリーズレビューは勝って当然の立場だった。

しかし、その前走は2着に敗退。1番枠から五分のスタートを切り、そこから楽に2列目の最内を取り最短距離を立ち回っての2着。このレースぶりは一見、完璧に映る。しかし、前走は時計の掛かる馬場で前後半3F33秒8-35秒1とかなりのハイペースだった。本来、末脚を生かしてこその本馬が、スタミナが不足しがちな休養明けにもかかわらずレースの流れに乗り過ぎてしまったということになる。

前々走の阪神JFでは10番枠からやや出遅れたが好位の外目まで挽回。3〜4角では2頭分外から2列目まで押し上げて行くも、前のミライテーラーが急に下がったことで本馬も4列目まで下がってしまう。そこでアスコリピチェーノに前に出られ、それを追い駆けたがラスト1Fで甘くなり、内からステレンボッシュにも差されての3着だった。速い流れを、前半で位置を取りに行っての3着は上位2頭よりも内容が上である。

コラソンビートはピッチ寄りの走法だが、自在性が生かせるという意味ではマイルの方がよく、ゆえに芝1400mも芝1600mもこなせている。陣営は「上手く脚が溜まればマイルも守備範囲」とコメントしており、今回は前に行かない構えのようだ。それならば怖い存在だ。

【能力値5位 スウィープフィート】
永島騎手から武騎手に乗り替わった前走のチューリップ賞で初重賞制覇を達成した馬。6番枠から出遅れるが無理なく後方から進め、道中もじわっと外に誘導しながら進めて3角へ。3〜4角で前のスペースを詰めて直線では大外へ誘導。直線序盤で中団から一気に切れる末脚で先頭に迫る。ラスト1Fでしぶとく抜け出すと1馬身1/4差で完勝した。

前走は稍重で時計の掛かる馬場だった。ペースも前後半4F46秒0-47秒1とやや速く、上がりの掛かる展開に恵まれて能力を引き出された感がある。今回も雨模様となれば展開に恵まれる可能性が高いが、前走で自己最高指数を記録した後の疲れが懸念される一戦で相手も強化となると狙いにくい。

先行してスピードの持続力を生かすと怖いキャットファイト

【穴馬候補 キャットファイト】
デビュー3戦目のアスター賞では2歳重賞で勝ち負けになる指数を記録した馬。同レースでは6番枠からまずまずのスタートを切り、すっと最内に入れて3番手を追走。道中は2番手のバスターコールをマークしながら3角へ。そこから仕掛けて3〜4角の中間で2列目の最内まで上がり、4角出口では半馬身差の2番手。直線序盤ですっと先頭に立ちラスト1Fでは半馬身差のリード。そこから突き抜けると5馬身差で完勝した。

このレースは秋の中山開幕日で超高速馬場。2歳レコード決着となった中、最短距離を立ち回れたことが好走要因ではあるが、ラスト4F目から仕掛けてぶっち切った内容は高評価できる。キャットファイトはエンジンが掛かってからが強く、長くいい脚が使える馬。本質的に距離はもっとあったほうがいいタイプだ。

アスター賞後に休養し、復帰してからは調子を崩していたが前走のアネモネSで復活。内空け馬場で外差し有利なレースだったが、1番枠から馬場の悪化した最内を積極的に先行していく形で勝利と再度の上昇気配を見せた。

阪神JF時のように3番枠から好スタートを切りながらも意図的に中団まで位置を下げず、先行して持久力を生かす形ならマイルの大一番でも通用するはず。スタミナがある馬なので、雨が降るなど馬場が悪化すればよりチャンスが広がるだろう。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)アスコリピチェーノの前走指数「-15」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.4秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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