今シーズン登場した「恐怖」の2番打者

「恐怖」の2番打者。つなぎ役がセオリーとなる2番の打順に据えられた、主軸級の強打を発揮するバッターの呼称である。

代表的な選手と言えば、日本ハム時代の小笠原道大だ。2000年に2番メインで出場し、打率.329・31本塁打・102打点をマークした。しかし、彼の登場以降、なかなか大リーグのように2番に強打者を置く戦法は一般化しなかった。

だが、2015年にヤクルトの川端慎吾が首位打者を獲得し、昨シーズン楽天のペゲーロが2番で本塁打を量産するなど、ここ数年で攻撃型2番が目立つようになってきたのだ。

迎えた今シーズン、2番に強打者を置き、相手投手にプレッシャーをかけるチームが例年以上に多かった。ヤクルト・青木宣親、日本ハム・大田泰示、阪神・北條史也、DeNA・ソト、宮崎敏郎、ソフトバンク・中村晃、上林誠知といった打者がそれに該当する。シーズンでは好成績を残した彼らだが、2番出場時の成績はどうだったか振り返ってみたい。

青木・大田が2番で80試合以上出場、北條も夏場から存在感

まずは7年ぶりに古巣へ復帰し、抜群の活躍をみせた青木。開幕は4番で迎え、その後1番・3番も務めたが、5月下旬から2番に定着。犠打ゼロの攻撃型2番としてヤクルトをけん引した。

青木宣親,ⒸSPAIA

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シーズン打率.327・出塁率.409に対して、2番出場時は打率.345・出塁率.427。二塁打を量産し、長打率.515もシーズン成績を大幅に上回った。出塁率と長打率を合計した打撃の総合指標OPSは、強打者として球界屈指クラスの.942に達している。バントのサインが出ないのも当然という成績だ。

パ・リーグでは、日本ハム加入2年目の大田が、犠打ゼロの攻撃型2番として活躍。序盤から2番打者を任せられると、シーズンのほとんどが2番の打順での出場となった。

大田泰示,ⒸSPAIA

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今シーズンの大田がおもしろいのは、2番に入ってむしろスラッガータイプに打撃が変化している点だ。三振率(三振数÷打席数)が昨シーズンの19.3%から、今シーズンの2番出場時は22.6%に悪化した一方、長打率が.417から.449に向上している。

阪神の正遊撃手候補・北條史也も、一時は2番に定着して好打をみせた。今シーズンは糸原健斗や植田海らとのポジション争いに遅れを取り、序盤は出番がなかったが、7月からは2番・遊撃手の座を奪取。2番出場時は231打席で打率.314という好成績を残した。

北條史也,ⒸSPAIA

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明暗分かれたDeNAとソフトバンクの攻撃型2番打者

DeNAとソフトバンクも今シーズンは2番に強打者を置こうとする姿勢が見られた。DeNAはソト、宮崎、ソフトバンクは上林、中村が流動的に2番に入った。

41本塁打で本塁打王に輝いた新外国人のソト。その半分は2番打者として放ったものだ。201打数で脅威の20本塁打。3番や5番出場時と全く変わらない強打者ぶりを発揮した。

ソトと並びベストナインに選出された宮崎敏郎も8月下旬からの1か月間、25試合で2番打者として出場。シーズン打率.318・OPS.895よりも良い打率.330・OPS.933を残し、6本塁打も放っている。

ネフェルタリ・ソト,宮崎敏郎,ⒸSPAIA

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ソフトバンクの上林、中村も今シーズンのOPSは.800を超えており、名前だけを見たら攻撃型2番に分類されるだろう。しかし、2番出場時の成績は、中村が打率.234・OPS.623、上林が打率.237・OPS.749。2番に入って成績を上げたDeNAの2人に対し、ソフトバンクの2人は攻撃型2番としてはうまく機能しきれなかった。

中村晃,上林誠知,ⒸSPAIA

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各打者の2番出場成績を振り返ると、「恐怖」という言葉が最もふさわしいのは、OPS.972を記録したソトということになりそうだ。だが、青木も8本塁打でソトに迫るOPS.942をマークし、思った以上に数字が良い。特に出塁率.427を残したチャンスメーク能力は抜群だ。

上林や中村は役割を意識しすぎたためか成績を落としてしまったが、青木は出塁率と長打率を両立させた。「つなぎ」の役割と強打を兼ね備えた青木の2番も、ソトとはまた少し違った意味で相手投手に大きな「恐怖」を与えたのではないだろうか。

ⒸYoshihiro KOIKE