ファンに人気を誇る阪神タイガースの宜野座キャンプ

前回、アメリカと日本のキャンプ地について述べた。その続きとして、今回は筆者が沖縄県のキャンプ地を巡り、阪神タイガースの宜野座キャンプ、中日ドラゴンズの北谷キャンプ、広島東洋カープの沖縄市キャンプを視察した。現在、沖縄県では県庁所在地の那覇市だけでなく、市町村で様々な取り組みが行われている。その模様を2回に分けて、紹介したいと思う。

まず、国頭郡宜野座村の宜野座村営球場で行われる阪神タイガースのキャンプは、2003年に始まった。それ以前は1998年から日本ハムファイターズの2軍がキャンプを行っていたが、宜野座村はマスメディアの露出等によるPRをより積極的に行いたいと考えていた。一方、阪神は高知県安芸市で1965年からキャンプを行っていたが、当時の星野仙一監督が温暖なところでキャンプを行いたいと思案していた。

その結果、両者の思惑が一致したため、日本ハム2軍キャンプは2002年に終了し、2003年から阪神が春季キャンプを開始した。無論、安芸市もキャンプの経済効果や地域振興を考えると痛手であり、全力で引き留めを行った結果、2軍のキャンプを何とか継続することができた。

宜野座村は誘致するだけに終わらず、積極的なインフラ投資を行っている。2006年には多目的屋内施設として「宜野座ドーム」を完成させ、屋内練習場として素晴らしい施設を建設した。2014年にはスコアボードをパネル式からLED電光式に改修。さらに翌年には、1・3塁側の芝生席を座席へと改修している。

これらインフラ投資をすることで、宜野座村は12球団でもトップクラスの人気を誇るタイガースファンが多数訪れる、人気のキャンプ地として生まれ変わった。また、2018年には球場とドームが、地元のホテルを展開する「株式会社かりゆし」と年間550万円で4年の命名権契約を結んでいる。

私は広島東洋カープとの練習試合に足を運んだが、多くのファンが詰めかけており、賑わっていた。また、飲食やグッズは他球団のキャンプ地より充実しており、非常に快適に過ごせた。

2次、3次的効果を出すためには?

さらに今年、「宜野座多目的スポーツ施設」が新設されたブルペンやトレーニングルームが多目的施設となり、こちらも多くのファンが投球練習などを見守っていた。このようにプロ野球のキャンプ誘致は各地で行われ、経済効果も大きい。単に誘致して選手がトレーニングを行うだけのものにとどまらず、宜野座村のような約6000人の小さな地域にとっては、地域振興やPRを行うためにプロスポーツのコンテンツが必要不可欠なものになってきている。

だからこそ、より民間企業や新たな観光資源との結びつきが大切になってくるのではないか。命名権を取得した会社も観光業を手掛けている。村には自然を生かしたアクティビティやコンテンツがある。それらを村だけでは大変なので、民間とも連携し、12球団トップクラスの人気を誇るタイガースのコンテンツを活かす策を考えると2,3次効果が出るのではないか。

リゾート複合施設の近くにある中日の北谷キャンプ

次に中日ドラゴンズの北谷キャンプについて述べる。中頭群北谷町で行われる北谷公園野球場でのキャンプは、1996年から開始している。中日ドラゴンズのキャンプ地は様々なところで行われ、1946年の鹿児島を皮切りに、大分、松山、浜松、さらにはアメリカやオーストラリアなどでも行われていた。

その後、1997年から1軍は北谷町、2軍は読谷村で落ち着いている。北谷公園野球場は非常に小回りが利き、見学しやすい施設になっていた。ただ、近年のチーム低迷や松坂投手、根尾選手のけがの影響により、阪神や広島のキャンプ地よりは賑わいが少なかった。コアファンにとってはサインや選手とのふれあいがあり、喜ばれるかもしれないが、経済効果などを考えると仕掛けが必要かもしれない。

このキャンプ地の特長としては、近くにアメリカンビレッジがある。ファッション、飲食、スーパー、宿泊施設が併設される人気のリゾート施設だ。また、サンセットもとても綺麗で、砂浜や温泉もある。この施設を核に北谷町が中日ドラゴンズと連携し、スポーツツーリズムのリゾートプランを春季キャンプだけでなく、年間を通じて考えるのも面白いのではないか。

このようにただ誘致するだけでなく、お互いのために、どのようにすれば経済や社会的効果を上げられるのかを考えていくことで、地域の活性化につなげてほしい。

次回は広島東洋カープがキャンプを実施する沖縄市について述べる。

《ライタープロフィール》 藤本 倫史(ふじもと・のりふみ) 福山大学 経済学部 経済学科 講師。広島国際学院大学大学院現代社会学研究科博士前期課程修了。大学院修了後、スポーツマネジメント会社を経て、プランナーとして独立。2013年にNPO法人スポーツコミュニティ広島を設立。現在はプロスポーツクラブの経営やスポーツとまちづくりについて研究を行う。著書として『我らがカープは優勝できる!?』(南々社)など。

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