前哨戦だが桜花賞にはつながりづらい

今年で53回を数える、歴史ある桜花賞トライアル、フィリーズレビュー。「4歳牝馬特別」の名称で長く親しまれてきたが、馬齢表記を世界基準に合わせるのに伴い、2001年からは現在の「フィリーズレビュー」と改められた。

しかし、前週に同じ阪神競馬場で行なわれるチューリップ賞が〝王道トライアル〟と呼ばれているのに対して、こちらは初期の頃からGⅡと格上であったにも関わらず、その結果が桜花賞には反映されづらいレースとの扱いを受けている。

事実、近年の優勝馬を列記してみても、チューリップ賞に比べて小粒な印象は否めない。後にGⅠ制覇を果たすメイショウマンボ、クイーンズリングの名牝でさえ桜花賞では敗退。ここをステップに桜花賞馬となったレーヌミノルが、この前哨戦では2着と取りこぼしていることは皮肉と言わざるを得ないだろう。

フィリーズレビューの傾向として阪神JF(GⅠ)組の好走が挙げられるが、その前走着順は様々なため、的は絞りづらい。どちらかと言えば、阪神JFで展開が合わなかったり、ポジション取りに失敗して思うような結果を得られなかった馬に着目したい。その馬が人気を落としているようなら、巻き返しに期待するべきかもしれない。

そもそも阪神JFで上位に好走した馬の多くは、前哨戦として桜花賞と同じ条件のため、チューリップ賞を選択する。フィリーズレビューのレベルが一気に低下すれば、2歳時とはいえGⅠに出走した素質馬の力量を見直す必要が出てくるのは当然のことである。

フィリーズレビューのレベルが落ちるもうひとつの理由

ではなぜ、2つのトライアルのレベルに大きな差が生じるのか。

大きな要因として挙げられるのが距離と内外のコースの違いである。外回りと内回りでは競馬の質が大きく変わってくるし、たがが200mとはいえ流れなども変わってくる。桜花賞と全く同じ条件を経験することのできるチューリップ賞に比べ、スピード値の負荷が大きくなるフィリーズレビューへの出走が敬遠されがちなのはうなずける。

さらに言えば阪神コース、千四の内回りといえば、枠順や並びによって各馬の策が制限されてしまう設定である。阪神カップや阪急杯など古馬のGⅡともなれば、それぞれキャラの色分けがはっきりとしており、乱戦となることは少ない。だが、3歳馬のまして3着までの優先出走権が得られるトライアルでは、やすやすと道を譲るわけにはいかないため、予測しがたい展開となることも多い。

近2年を見ても、一昨年は2着に敗れたレーヌミノルが直線で内にモタれたことで、多数の馬が不利を被り、昨年はスタートでアマルフィコーストが落馬したことで、カラ馬に進路を阻まれた馬は後手に回る形となった。両年ともレース後の検量室は後味の悪い不穏な空気に包まれていた。

難解なレースを読み解くには、展開や力量など常識的なデータのみでなく、各馬がレース中にどう動くかという意識にまで幅を広げた想像力が必要なのかもしれない。

ライデンリーダーが安藤勝己にもたらしたもの

ただし、桜花賞へと直結しないとはいえ、フィリーズレビューが価値の低いレースという訳ではない。千四の距離からスプリント色の濃い一戦との印象もあるが、優勝馬のメイショウマンボ、クイーンズリングは、のちに中長距離のカテゴリーであるエリザベス女王杯を勝利している。4歳牝馬特別の頃までさかのぼれば、1991年優勝のイソノルーブルは落鉄のアクシデントがあった桜花賞で5着に敗れるも、続くオークスで見事にリベンジを果たし、多くの競馬ファンを魅了した。

とりわけ印象深いのは1995年優勝のライデンリーダーだ。ここでの勝利を機に地方所属のまま、3歳牝馬三冠に挑戦。結果こそ得られなかったものの、そのチャレンジに多くの人々は胸を熱くした。その思い、影響を最も受けた人物が、おそらく手綱をとった安藤勝己騎手であろう。笠松のトップジョッキーはその後、積極的にJRA競走へと参戦し、2003年には地方競馬出身騎手として初めて中央移籍を果たした。この時から、のちの先駆者に進むべき道をライデンリーダーは教えてくれていたのではないだろうか。

ⒸSPAIA