小川淳司監督、宮本慎也HCが揃って退団

クライマックスシリーズ出場の可能性が完全に消滅したヤクルトに大きな動きがあった。

2017年オフにチーム再建を託された小川淳司監督、宮本慎也ヘッドコーチが揃って退団することとなったのである。1年目となった昨シーズンは2位に躍進し、今シーズンはさらなる飛躍を期待されたものの、最下位に低迷。その責任をとった形だ。

チームのトップ2人の退団もあり、来シーズン、いや正確に言うと今シーズンのオフからチームがガラッと変わる可能性がある。外国人選手の去就、ドラフトの戦略なども含め、新監督を中心にチームを作っていくからだ。しかし、だれが監督に就任するにせよ、順位を上げていくためには補強が必須だろう。

ヤクルトに大きな補強はない、と思われがちだが、決してそんなことはない。新監督就任時のヤクルトは何十億円といった大型と言えるものではないが、比較的大きな補強を行っている。

2018年小川監督就任時は青木が復帰、宮本ヘッド誕生

小川監督の2度目となる監督就任は2017年オフだった。前任の真中満監督が2015年に優勝を果たしたものの、翌2016年は5位、そして2017年は屈辱の96敗を喫し、5位に大きく離された6位へ順位を下げた。そこで、シニアディレクターを務めていた小川監督が再び就任したのである。

シーズンが終わった後の補強は静かだった。ドラフト会議では目玉の清宮幸太郎(現日本ハム)の抽選を外し、村上宗隆を外れ1位で獲得している。もちろん当時は、2年目から歴代のレジェンドと比較されるような活躍を予想できていた人は皆無だろう。目玉を外した印象だけが大きく残っていた。その後もFA選手の獲得はなく、大物外国人選手の補強もなかった。

むしろコーチ人事の方が盛り上がっていた。ヤクルト一筋でプレーし将来の監督候補と噂されていた宮本慎也ヘッドコーチが誕生。広島の優勝を支えた石井琢朗、河田雄祐両コーチが揃って就任、と首脳陣が選手以上の注目度を浴びたと言っても過言ではない。もしかしたらチームを根本から変えてくれるのでは?との期待もあった。

しかし、春季キャンプに入るとひとりの男が話題を独占する。2011年オフにポスティング制度を用いてブリュワーズへと移籍した青木宣親が、日本に帰ってきたのである。

青木は前年もMLBでレギュラー格として活躍。オフは米国での移籍先を模索していたが、史上まれに見る移籍市場の停滞により日本復帰を決断した。決して米国で戦えなくなり、戻ってきたわけではない。言うなれば新外国人選手としてバリバリのメジャーリーガーを連れてきたのと同じような形である。しかもコミュニケーションの不安もなく、さらには古巣である。まさに最高の補強だった。

小川監督が2018年に監督へと就任した際はこの青木の補強、そして宮本、石井、河田の各コーチ就任が目玉だった。その成果もあり、チームは大きく負け越した前年から2位へと飛躍したことは記憶に新しい。

2015年真中監督誕生時は大引、成瀬、オンドルセクを補強

第一次小川政権が終わったのは2014年シーズンだった。2013年、2014年と2年連続で最下位に沈み小川監督が退任。当時の真中一軍チーフ打撃コーチが監督へと昇格した。

真中体制へ変わるに当たり、チーム史上初めて複数人のFA選手を獲得した。大引啓次(前オリックス)と成瀬善久(前ロッテ)である。また、新外国人選手としてローガン・オンドルセクを補強。オンドルセクはMLBで中継ぎとして5年連続40試合以上に登板していた、バリバリのメジャーリーガーである。また年齢も30歳と脂の乗っている時期だった。

2年連続最下位からの脱出をかけて行った大補強が功を奏し、真中監督は就任1年目にしてリーグ優勝を果たした。

このように直近の2度の監督交代時には大きな補強を行っている。2015年の真中監督就任時は2人のFA選手にメジャーリーガー、2018年の小川監督就任時は主力コーチ陣、そして青木だ。

今回、後任の監督が誰になるのかは明らかになっていないが、過去2度と同じようにオフに大きな補強を行うことで上位浮上への道は拓けてくるはずだ。