優秀な選手を集約するシステムが構築されている南半球

プロ化の準備を進めている日本ラグビー協会の清宮克幸副会長は、世界を二分するような大きなリーグを設立したいと理想を語る。

「環太平洋リーグ」と表現するその大会が、日本国内に留まるのか、将来的に日本国外からもチームを募るのか。それについては、まだ詳しい言及はなされていない。

ビジョンを持つことは大事だが、まずは日本国内のプロ化で精一杯というのが実情だろう。しかし欧州と同規模のラグビーの大会を、創設することは本当に出来るのだろうか。

ラグビーの盛んな南半球では、クラブラグビー、州代表、スーパーラグビー、国代表というような並びで、組織化されたピラミッドがしっかりと形成されている。

スーパーラグビーでは、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチンにある強豪15チームが、南半球一を競う。この中から、多くの代表選手が輩出される。育成にも階層があり、優秀な選手がスーパーラグビーや代表チームに階段を登っていく仕組みがある。

ニュージーランドラグビー協会(NZR) には、興味深い代表規定が存在する。オールブラックスになるためには、ニュージーランドでプレーしなければならないというものだ。経済的に豊かな国外のクラブチームに引き抜かれないようにする効果があるが、これは、多くの選手がオールブラックスでプレーすることを夢見ているから出来ることだ。

海外でプレーするニュージーランド人選手は、オールブラックス入りできなかったか、代表を引退した選手が中心だ。経済力ではかなわないものの、国代表の高い魅力が国内ラグビーの競争力を維持する要因の一つとなっている。

経済基盤と多くのチームによる競争がある欧州

ヨーロッパで、スーパーラグビーに相当するのは、ヨーロピアン・ラグビー・チャンピオンズカップだ。それに準ずる大会ヨーロピアン・ラグビー・チャレンジカップもある。サッカーの欧州チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグをモデルにしており、欧州主要リーグの上位チームが参加する。非常にチーム数が多いため、毎年顔ぶれが異なる点が、チームが固定されているスーパーラグビーとは異なる。少数のチームに、優秀な選手が集まるシステムではないが、非常に多くのチームで激しい競争が繰り広げられておりマンネリ化しにくい。

欧州の地域リーグの中には潤沢な資金で世界中から選手を集めているチームもある。その代表が、フランスのトップ14だ。2部クラブでも、イングランド1部より予算を持っているクラブもあるほどだ。

イングランド・プレミアシップも、規模の大きなリーグだが、興味深いのは、その他の強豪国だ。経済規模で及ばないアイルランド、ウェールズ、スコットランドが、ケルティックリーグを形成し、後にイタリアや南アのチームが加わり、プロ14というリーグが創設された。特筆すべきは、プロ14は欧州の大会でありながら、南アのチームが参戦していることだ。イタリアのチームが参戦した時も驚いたが、まさか地球の裏側から参加するとは思いもよらなかった。

代表チームレベルでは、シックス・ネイションズと呼ばれる6カ国対抗の大会を行っている。市場の規模は、南半球より大きい。

海外チームの参戦があれば、世界的なリーグの創設は実現可能か

南半球、欧州でリーグの置かれた状況は異なる。国境を越えたリーグがすでに複数存在することから、海外チームの参戦や複数の国の力を借りることができれば、欧州ラグビーと同じ規模の大会を日本に作ることも、あり得ない話ではないかもしれない。ラグビーの競技レベルでは大きく水をあけられているが、今後の経済成長が期待できるアジア諸国の力をうまく取り込むことが出来れば、更に可能性は広がるだろう。

ただ、そうは言っても、新しく創設されるリーグに他国が参加したいと思わせるだけの魅力がなければ絵に描いた餅になってしまう。大望を果たすためにも、まず国内での成功が不可欠だ。