競争激化が戦力の厚みに

今季、ロッテの外野手レギュラー争いが熾烈だ。初の規定打席に到達し、リーグ3位の打率.315、リーグ4位の28盗塁をマークしたリードオフマン・荻野貴司を筆頭に、昨季シーズン途中の加入ながら14本塁打を放ち、1年契約で残留となったレオネス・マーティン、ソフトバンクからフリーエージェント(FA)権を行使して加入した福田秀平、ベテランの角中勝也、清田育宏らもいる。さらには、昨季はオープン戦でアピールに成功し、開幕スタメンの座を手にした加藤翔平、走守で優れた身体能力を見せる岡大海、昨季1軍出場はわずかながらも、菅野剛士、三家和真、藤原恭大らも虎視眈々とレギュラーの座を狙う。

また、2019年ドラフト3位で加入したルーキーの高部瑛斗(国士舘大)も走攻守三拍子揃った即戦力候補。同年ドラフト2位の佐藤都志也(東洋大)は、捕手としてだけでなく大学日本代表では外野手としても活躍しており、50メートル5秒9の俊足と強打が強みだ。井口資仁監督も外野手としての起用もケースバイケースでありえるとしており、競争は激しくなると予想される。

井口監督は1・2番を荻野、福田でいく構想を公言しており、残りの一枠は走攻守で高いレベルを見せつけたマーティンの起用が想定されるが、まだまだどうなるかは分からない。ただ、競争が激しさを増せばチーム力が底上げされることも確か。荻野は昨季こそ125試合に出場したが、それまでのシーズンは度重なる故障で離脱してきており、福田に関しては規定打席に到達した経験が一度もない。

マーティンも加入直後は早々に本塁打を量産するなど好成績をおさめていたが、終盤は相手のマークもきつくなり好機で凡退する場面も目立った(得点圏打率.188)。今季は昨季よりもアジャストしていけると思うが、日本の投手は甘くない。そう考えていけば、外野手争いは多くの選手にチャンスがあるし、シーズンは長い。競争が戦力の厚みにつながれば、チームにとってそれに越したことはないだろう。

福田加入で期待される効果

外野手争いが激化する要因としては、福田の加入が大きい。昨季までは試合に出られていた清田(117試合)や角中(108試合)らの出場機会が激減する可能性もある(当然、その逆の可能性もあるが)。両選手は内野も守れるよう準備することになるが、そうなれば一塁の井上晴哉にも火がつく。まさに福田の加入効果だ。

優れた身体能力を持ちながらも、打撃で好不調の波が大きくなりがちな加藤や岡にとっても正念場となり、例年以上に目の色を変えてキャンプに取り組むことは必至だ。岡は荻野に匹敵する走塁のスペシャリストとして代走での起用も考えられるが、加藤は打たなければならないし、何よりも出塁率の向上なくして1軍定着は難しいだろう(昨季の出塁率.263、岡は.330)。

また、福田にはベテランと若手をつなぐ中堅としての役割も期待できる。外野手で昨季100試合以上に出場したのは、荻野、角中、清田の3人でいずれも30代前半〜中盤のベテラン勢が占めていた。ここに2月で31歳になる福田が加入したことで、仮に誰かが離脱しても若手を起用せざるをえない状況とはならず、大きな戦力ダウンを防ぐことができる。福田の加入は年齢のバランスを良くする意味でも大きい。

1人でも多くの奮起・覚醒に期待

2軍では藤原をはじめ、2018年ドラフト4位の山口航輝や2017年育成ドラフト1位の和田康士朗らが武者修行中。山口は昨季、2軍で114試合に出場し、打率.238、6本塁打、29打点、出塁率.281という成績だった。和田は2018年シーズン、2軍で94試合に出場し、打率.167、1本塁打、3打点、出塁率.219と苦しんだが、昨季は103試合に出場し、打率.264、6本塁打、20打点、出塁率.362と全ての面で向上。さらに、盗塁数は6から23と飛躍的に増加した。こうした若手達が1軍の舞台で戦力となるには時間と経験が必要だ。

荻野らベテランと若手の間の世代である福田の加入によって、若手達がじっくりと鍛えて経験を積む時間を作ることができる。また、ベテラン、中堅、若手の良い刺激となり、熾烈な競争を生むだろう。

ちなみに、清田は130試合に出場し、打率.317をマークした2015年以外のシーズンでは真のレギュラーと呼べる活躍はできていない。角中は2012年と2016年に首位打者を獲得しているが、それ以外のシーズンでは3割にとどいていない。仮に荻野が昨季のような成績を残したとしても、清田や角中、さらには中堅どころが、ある程度の活躍を見せてくれないことにはチーム力は上がらない。

外野手レギュラー争いの激化により、1人、2人、そして3人と、奮起・覚醒するプレーヤーが出てくることに期待したい。