2018年10月3日(水)より東京グローブ座にて、三宅健主演の舞台『二十日鼠と人間』が開幕した。初日直前に公開ゲネプロ(通し稽古)が同劇場にて行われ、三宅ら出演者が本番さながらの芝居を披露した。




本作は、『怒りの葡萄』や『エデンの東』などで知られるアメリカのノーベル賞作家ジョン・ スタインベックが1937年に発表した小説を原作とし、スタインベック自身が戯曲化した作品。1930年代の世界大恐慌下のアメリカを舞台に、主人公のジョージ(三宅)に待ち受ける厳しい現実と相棒レニー(章平)への想い、そしてその想いゆえの葛藤と苦悩をスタインベック自身の季節労働者としての体験をベースに社会への皮肉と機知に富んだ文章で描き出した。スタインベックが注目をされる切っ掛けとなった作品の一つでもある。今回演出を務めるのは、小劇場から大劇場、ストレートプレイ、ミュージカルと多種多様なジャンルで精力的に活動する鈴木裕美。主演の三宅とは、2008年の『第17捕虜収容所』以来、実に10年ぶりのタッグを組むこととなった。

ゲネプロ後に行われた囲み会見には三宅と花乃まりあ、章平、藤木孝、山路和弘が参加し、初日を目前にした今の心境を語った。


ジョージ役の三宅は「出演者の皆さんと一緒に本作の世界にどっぷり浸かれたらいいな」とかみしめるように口にする。難役に挑むにあたり、演出の鈴木と共に「この戯曲をどういう解釈でやるか」という話をし「戯曲に書かれていない部分をどう掘り下げるか、例えば本の中に女性の名前がいくつか出てくるが、ジョージは過去に女に対するトラウマがあったのかどうか……そこは直接描かれていないので、お客様には伝わらないところかもしれませんが、そういった点を演じる上でどう考えていくべきか」と、稽古の中で取り組んできた事の一部を明らかにした。「この戯曲を読み解いていくと、いろいろな所にスタインベックがギミックを置いていることがわかるんです。そういう点はおもしろいですね」


ジョージがレニーに激しく辛く当たる場面も多い。「こういう役はやったことがなかったので疲れますね。この作品に感情をひっかきまわされています。稽古が終わった後もどんよりしています」と三宅は笑いながらコメント。






そんな三宅に対し「頼もしい役者、主役です。頼りにしています」と笑顔を見せたのは農場のボス役の藤木。また老人キャンディ役の山路は「台詞を忘れたときによくフォローをしてくれます。今日は台詞忘れはなかったんですが、ストーブをこたつと言ってしまって(笑)。日本人なので仕方がないですね」、カーリーの妻役の花乃は「どの瞬間を切り取っても美しく、やさしくあたたかく接してくださります」と座長・三宅に信頼を寄せていた。



なかでも特にジョージとの絡みが多いレニー役の章平とは、立ち稽古に入る前、人生初の自主練をしたと話す。三宅は「僕も(立ち稽古の前に二人で読み合わせを)やりたいな、と思っていたんですが、章平くんも同じ気持ちだったそうで、ただそれを言い出せず、呪文のように『読み合わせをしたい、したい』とつぶやいていたらしいんです。そんな二人の間をホイット役の瀧川英次さんが取り持ってくれて、無事読み合わせができました」と笑顔を見せると、章平も「出だしの部分は特にね」と嬉しそうに振り返っていた。

約3時間に渡る濃密な群像劇。ジョージがレニーに対して抱く感情がどのように変化し、露出してくるのか。最後の一瞬まで目が離せない作品だ。

取材・文・撮影=こむらさき