大宮エリー展『Peace within you』が、2019年5月30日(木)〜6月15日(土)まで、東京・六本木の小山登美夫ギャラリーにて開催される。本展では、大宮が2018年に瀬戸内を旅して描いた新作ペインティングと、旧作を展示する。

本展で発表する新作は、2018年LEXUS社からの瀬戸内の冊子の制作依頼から端を発している。大宮が初めて瀬戸内を訪れたのは2006年、ベネッセの美術館だった。2015年の40歳の誕生日に瀬戸内、イサム・ノグチ庭園美術館をひとり訪れ心を奪われた大宮は、瀬戸内での体験を絵にしたいとずっと思っており、今回の件で再訪し実現することになった。

イサム・ノグチ作品「エナジー・ヴォイド」から大宮が感じた、やわらなか心、小さなしあわせ、小さな平和。いとおしい気持ち。やさしいはかなげなもの。そんなインスピレーションを作品にしたのが、「イサム・ノグチの手紙」の2点だ。

イサム・ノグチの手紙 5ページ目 a letter from ISAMU NOGUCHI p5 2019 acrylic on canvas 151.0 x 121.0 cm (C)Ellie Omiya

イサム・ノグチの手紙 5ページ目 a letter from ISAMU NOGUCHI p5 2019 acrylic on canvas 151.0 x 121.0 cm (C)Ellie Omiya

「エナジー・ヴォイドは窓だった。両手で作った窓。そしてその奥に私が見たのは、草原。小さな野花が二輪。寄り添うように咲いていたのだった。」(大宮エリー「無性に、瀬戸内の海が見たくなる、ときがある。」、『BEYOND BY LEXUS』WINTER、Lexus International、2019)

「瀬戸内の海、朝5時43分」、「瀬戸内の海 夕方5時32分」は、2017年に瀬戸内の伯方島を訪れた際に大宮が忘れられなかった光景を絵にしようと、2018年再訪して海を眺めた想いが交錯する。明け方に目撃したエメラルドグリーンの海と空。あの色合いを再び見たいと日の出を待つが、きれいはきれいでもあの日の色ではない。毎回色は違うけれど、海と空の色が同じ色に近づく現象を見ることができ、あの日の色を思い出すには十分だった。海を眺める民宿がまるで船のようで、海に浮かんでいる錯覚とともに、瀬戸内の海の平穏さに心が調律されるようだったと言う。

瀬戸内の海、夕方5時32分    sea of setouchi, pm 5:32 2019 acrylic on canvas 59.0 x 94.5 cm (C)Ellie Omiya

瀬戸内の海、夕方5時32分 sea of setouchi, pm 5:32 2019 acrylic on canvas 59.0 x 94.5 cm (C)Ellie Omiya

本展覧会タイトルについて、大宮は次のように述べる。

「『Peace within you ーあなたのなかの平和』イサム・ノグチのエナジー・ヴォイドの、輪の奥に、彼のねがった平和が見えたんです。おだやかで、ちいさな、かけがえのない平和。原爆反対のメッセージを込めたイサム・ノグチからのてがみのように感じました。友人と訪れ朝まで飲みあかして宿から見た、せとうちの海。その、平らな水面に、平和を感じました。友人の横顔も、穏やかでした。あなたのなかの平和。というタイトルはそんなところからきました」

イサム・ノグチの手紙 23ページ目 a letter from ISAMU NOGUCHI p23 2019 acrylic on canvas 150.0 x 123.0 cm (C)Ellie Omiya

イサム・ノグチの手紙 23ページ目 a letter from ISAMU NOGUCHI p23 2019 acrylic on canvas 150.0 x 123.0 cm (C)Ellie Omiya

自然のエネルギーや波動、感動や発見。心躍る体験や、生きている喜び、自由や勇気。大宮作品は、日常の喧噪や慌ただしさで忘れがちな、大切なものを思い出させてくれるだろう。