2003年の連載開始より、世界累計シリーズ発行部数が3000万を超え、社会現象にもなった大ヒット漫画『DEATH NOTE』。2006年の映画化を経て、2015年ついに舞台化、フランク・ワイルドホーンが作曲を手がけ、栗山民也演出で『デスノート THE MUSICAL』が登場した。浦井健治、柿澤勇人、小池徹平らミュージカル界を席巻する俳優たちと世界的クリエイター陣のコラボレーションは大好評を博し、同年韓国版が上演。2017年には日本、韓国で再演をされ、日本人キャストによる台湾公演も大ヒットを記録。誰もが楽しめる一流エンターテイメントへと成長した。そして2020年、キャストを一新しての再々演が決定した。死神が退屈しのぎに地上に落とした「死のノート」(デスノート)を拾った成績優秀な高校生・夜神月(やがみライト)役は、村井良大と甲斐翔真のWキャスト。『RENT』や『魔界転生』『アダムス・ファミリー』など多くの舞台に出演し、昨年はバラエティー番組『俺旅。シーズン4』(テレビ東京他)で等身大の姿を見せた村井に、大ヒット作『デスノート THE MUSICAL』の初出演に向き合う覚悟を聞いた。

村井良大

村井良大

――前回、甲斐さん、高橋颯さんとの鼎談がSPICEで公開され、夜神月を演じることについて「大丈夫かな」とおしゃっていましたが、村井さん自身、役者としての心境の変化はありましたか?

最近、僕に求められている像が、自分が思っているイメージと変わってきているような気がしています。がっつり3枚目をやる時もあれば、2枚目をやる時もあるし、悪役をする時もあるし……。「俺は何なんだろう!?」みたいな(笑)。でも、今は可能性が広がっている時間なのかなと思うと、ありがたいと思います。ずっと同じような役をやるより、「この役は村井くんできるでしょう」とか「村井くんにやってほしい」と思ってもらえるのは本当にありがたいことなので。役者って、役をいただかないと何もできない。配役されないと、どうにもこうにも作用しないというか。

――個人的な感想ですが、村井さんは優等生役のイメージが強いので、夜神月のようなダークサイドに堕ちていく役は楽しみです。

悪役は結構好きなんです。優等生役のイメージもありますが、あえて逆のことをやらせたいと思ってもらえると、すごく嬉しくて燃えます。昔、野生児の役を演じたのですが(舞台『マホロバ』/2014年)、それは王子と野生児が主軸になって進む物語でした。最初は王子の役に……という流れだったのですが、逆に「村井くんが野生児をするのはどうだろう」という話になって決まりました。僕もそういう役がやりたくて。泥臭い感じも大好きですし、その時はすごく楽しんでやれました。当初「イメージがない」という声もあったのですが、僕のなかにはイメージを壊していきたいという欲もあって。一つのキャラクターに納まらない方が役者としては良いかなと思うので、できるだけ様々な役をやりたいなと思っています。

――いろんな役柄をされるなかで、どういうタイプが素の村井さんに近いですか?

普段はもう老人です(笑)。家でぼーっとしているので……。ぼーっとしているおじいちゃんの役とかやりたいですね(笑)。微生物のように生きているような役とかやりたいな。ある意味、一番ピッタリなような気がします。でもそこにいるだけ、というのも難しいですね(笑)。

村井良大

村井良大

――村井さんは、稽古などで相手役のどういうところを見ますか?

目を見ちゃいますね。すごく目を見るので、ちょっとでも目の表情が動いたりすると、すごく気にしちゃうんです。

――気にするというのは?

「今、何思った?」って。そういうことを気にしてしまい歌詞とか間違えたりするから、逆によく見ない方がいいのかなって思う時もあります。でも、やっぱり目ってすごく物語っているから仲間と会話する時は目を見ないと信用できないんです。

――舞台で演じる時は他にどういうことを気にされますか?

体の向きとか……。あとは、相手の役者さんの気が迫ってくると、セリフになくても「はい」って衝動的に返事してたり。それは台本になくても思わず口をついて出ることがありますね。舞台に立っている時に正直でいる人間が一番強いので、その気持ちを意識した方がいいと思うんです。あとはセリフの重さ、軽さによって伝わり方が結構変わってくるじゃないですか。思考して作っていかないと生っぽい言葉にならないというか。ミュージカルでマイクを入れると、普通にしゃべるくらいの音量だと、ぼわーと響いてセリフが聞こえづらいこともあって。そうならないように意識しています。

村井良大

村井良大

――観る側としては、セリフは聞こえて当たり前という感覚があります。

何を言っているか分かんないと観客はストレスを感じますよね。感情は分かるけど、何て言ってるんだ?みたいな(笑)。感情もなくしちゃいけないですし、そこのバランスは考えますね。

――気持ちを込めすぎても観客が置いていかれてしまう……。

そうですね。だからこそ大事なことは、その場で正直でいることだなと思います。

――『デスノート THE MUSICAL』の公式サイトで、歴代夜神月役の浦井健治さんと柿澤勇人さんがコメントを出されていますが、ご覧になりましたか?

はい! 拝読して、大変なんだということは伝わってきました(笑)。柿澤さんがおっしゃる1幕ラストの幸福感も分かりますし、浦井さんがおっしゃる鬱になる感じも分かりますね。これは韓国版を観て思ったことですが、韓国版は僕らの知っているエルを飛び越えてきたんです。エルっぽいけど、こんなエルなんだ!という新しい部分を感じました。舞台って、突き抜けているぐらいがいいと思うんです。突き抜けていても「これはこれでエルだな」と思えたので、僕らも「こんなライト、確かにいるかもね」とか、「風貌は全然違うけど、ライトだったな」とか「新しい夜神月だね」思ってもらえる作品にできるのではないかなって。お客様は現実離れしたものを観にこられるので、強い表現力で突破しようとする感じとか、舞台の面白さだと思いますし『デスノート THE MUSICAL』にまだまだ無限の可能性あるところを見出していきたいです。

村井良大

村井良大

――テーマ曲「デスノート」を歌われたMVが公開されていますが、楽曲を歌ってみていかがでしたか?

意外とアップテンポな曲、メジャーな曲が多くて。そこが難しくもあるけど、『デスノート』の世界観を象徴しています。その中でもテーマ曲「デスノート」は曲の落とし方をどうするかで今後の夜神月の人生が決まっていくということを重視しながら歌いたいなと思ったんですけど、MVはMV用として撮ったので、どちらかというと歌メインでした。本番はそこにセリフも入ってくるので、雰囲気も変わってくると思います。さらに、MVでは、元のキーより2音上げてもらったので少しキーが高めなんです。そこも含めて、自分らしい夜神月ができたらいいなと思いました。

――今回はキャスト一新というのも見どころの一つです。

演出の栗山民也さんも台本を調整されていて。それは栗山さんのなかに前回よりさらに改善して、さらにブラッシュアップしたいという思いがあるからだと聞いています。キャストも変わるので、今、僕らが頑張らないと4回目はできないと思っているので『デスノート THE MUSICAL』を今後も続けるために、なんとか頑張らないと……。

――何でもそうですが、2回目は1回目の反省点を踏まえて改善できますが、3回目はそれ以上のもの、その先のものを期待されますよね。

それはめちゃめちゃ感じます(笑)。今回は今まで出ていた人が誰もいないので、これは「何とかしないと」って、気合を入れて作らなきゃと思いますね。

――最後に、改めて意気込みを聞かせてください。

僕はまず、初めて『デスノート THE MUSICAL』を観る方を感動させたい。だからこそ、このメンバーでできることを探していかないとと思うんです。このメンバーが良くなれば、作品が良くなるから。そういう意味ではこれまでのライトを模倣しても意味がないので、あまり気にせずに挑もうと思います。僕が感じたものを出さないとお客様が入り込めないから、自分に正直に作りたいと思います。栗山さんの作品に出られること、元々ファンである作品に出られるという嬉しさもありますし、自分の中で培ってきたものをどう出すか、そしてこの作品を経てどう感じるか。そういう部分でも挑戦的な作品になると思います。

村井良大

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取材・文=Iwamoto.K 撮影=田浦ボン