2019年12月7日(土)、東京・紀伊國屋ホールにて舞台『月の獣』が初日を迎えた。

アメリカ・ウィスコンシン州出身のリチャード・カリノスキ―が、第一次世界大戦中に起きたアルメニア人迫害の実話に基づいて描いた『月の獣(Beast on the Moon)』は、1995年の初演から今日まで19か国語に翻訳、20か国以上で上演され、2001年にはフランス演劇界で最も権威ある「モリエール賞」を受賞している。

日本での初演は2015年。その際にも演出を手掛けた日本を代表する演出家・栗山民也が、映画、ドラマ、舞台と幅広いフィールドで活躍する眞島秀和と、早くから実力派女優として注目されていた岸井ゆきのをはじめ力強く魅力的な出演者の方々とタッグを組み、再び演出する。時代、国、民族、社会・・・状況は変われども変わることがない、ふれあい、繋がり、絆に飢えて愛を渇望する人の姿、お互いの苦しい過去を受け入れ、真の夫婦、そして家族になっていくーー 人間の本質を描いた本作品の開幕にあたり、舞台写真と演出家・栗山民也、主演・アラム役の眞島秀和、ヒロイン・セタ役の岸井ゆきのの初日コメントが到着した。

栗山民也(演出)

自分で決めたことなのでしょうがないのですが、毎日の生活のほとんどが稽古場か劇場なのです。でもそれは演劇のために生きているというわけじゃなく、昨日よりも少しでもよく生きるために演劇は必要なんだ、と思っていたいからなのです。この作品の稽古をしながら、なぜかそんなことばかり考えていました。
それほどに、この劇からは人間の命や感情や運命、そして人々の「信じること」について、極めてシリアスにいろんな声が聴こえてくるのです。誰もが世界から必要とされているということを、この劇から知るのです。人としっかりと向き合いぶつかり、どこまでも触れあい話し合うということ。歴史を簡単に消し去ってしまうこの呆れた嘘ばかりの時代の中で、この物語が少しでも私たちのこれからの魂の栄養になればと願っています。

眞島秀和

写真:矢野智美

写真:矢野智美

無事に初日を迎える事ができて感謝しております。
時代や歴史的な事件が背景にある中でも社会の基本にあるのは家族であり、夫婦であり、その中でぶつかり合ってそれぞれの形になっていく、というのがこの作品の魅力のひとつだと思います。4人の演者で作る、ある家族の限られた世界観の話ですが、そこにある普遍的なところをお客様に感じていただきたいです。

岸井ゆきの

写真:矢野智美

写真:矢野智美

歴史ある紀伊國屋ホールの力を借り、『月の獣』の世界観も、稽古場の時より数段、濃いものになっていると思います。寒い日が続きますが、劇場は暖かくて、なんだか炬燵の似合うような匂いがします。
家族とは何か…圧倒的な答えがないのはどの世界でも同じだと思います。
この年の瀬『月の獣』を観て、自分の中の家族の在り方をぜひ、探してみてください。

舞台『月の獣』は、2019年12月7日(土)〜23日(月)紀伊國屋ホール(東京公演)、その後、2019年12月25日(水)りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場(新潟公演)、2019年12月28日(土)〜12月29日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール(兵庫公演)にて上演される。