おうちをシアトリカルなエンタメ空間に! いま、自宅で鑑賞できる演劇・演芸・ミュージカル・ダンス・クラシック音楽の映像作品の中から、演劇関係者が激オシする「My Favorite 舞台映像」の3選をお届けします。今回は、落語の特選配信情報をお届けいたします。マニアにはもちろん、ビギナーにとっても絶好の機会ですよ。(SPICE編集部)

ホーム・シアトリカル・ホーム〜自宅カンゲキ1-2-3  [vol.30] <落語編>
「寄席や劇場による心意気あふれるオンライン落語配信」3選​ by 川添史子

【1】鈴本演芸場チャンネル
【2】渋谷らくご【六月例会】2020上半期昇進「顔見世特別公演」
【3】動楽亭リモート寄席

 

若手からベテランまで、落語家たちは今、さまざまな切り口で創意工夫を凝らした配信に取り組んでいます。緊急事態宣言を受けて寄席興行や落語会が軒並み中止となった2020年4月下旬の10日間、春風亭一之輔師匠が、寄席の高座に上る予定だった午後8時10分から落語をYouTube生配信したのは、鬱々とした日々の中で久々に心踊る、画期的な出来事でした。例年ならウキウキと見る桜の記憶も薄く、いつもと違う思いで過ごした春、千穐楽に掛かった「花見の仇討」は、1万人超の視聴者たちと一緒に眺めた、忘れられない花見の思い出です。

この6月1日から新宿末廣亭と浅草演芸ホールが営業を再開して少しずつ動き始め、少しホッとしましたが、落語会はまだまだ中止・延期がほとんど。しばし「生の場所」を奪われるピンチをバネに、喋ることを止めず、驚くほどの知恵とガッツを見せる落語家たちに続けとばかりに、寄席や劇場による配信も始まっています。配信は、子供からお年寄り、子育て中の世代、普段は落語が見られない地方の人も見られるのが強み。芸の世界の心意気あふれる試行錯誤が、コロナ収束後、観客の裾野の広がりにつながるかもしれません。「いつか生でみてもらう」ための工夫にも注目ください。
 

【1】鈴本演芸場チャンネル


上野の鈴本演芸場が、東京の寄席では初の公式YouTubeチャンネルを開設ーー「あの老舗が、いち早く!」と、この情報をニュースで知った時にはびっくりしました。6月の土曜&日曜、計8日間のライブ配信を実施予定で、7月末までアーカイブ視聴可能。3月下席に2日間休席となった、真打ち昇進披露公演の配信もあります。無料で見られますが、出演者支援として演芸場の公式ホームページで「芸人応援チケット」(1,000円)が購入でき、寄席再開後に500円の割引チケットになるという、なんともイキなシステムも(試しに購入してみましたが、久々に紙のチケットを発券して地味に感慨深かった……)。

先日、早速、最初の週の配信を見ました。前座さんは出ませんが、二ツ目さんからスタートし、漫才に奇術に紙切りなどの“イロモノさん”も出演、最後はトリの師匠をたっぷりと……お囃子さんの三味線も聴こえ「そのまんま寄席のカタチ」なので、しばらくすると脳内からパソコン画面が消えてゆき、寄席の匂いや、のんびりした空気を思い出して、ちょっとウルっとしました。

余談ですが、4月から橘家文蔵師匠がスタートさせた有料オンライン落語会「文蔵組落語会」も、生のお囃子入り。「プロの技術を提供するんだ」という心意気がビシビシ感じられますし、配信でも、“生の音”ってワクワク感があるから不思議です。小さな発見でした。

◆視聴方法は下記「配信情報」参照


【2】渋谷らくご【六月例会】2020上半期昇進「顔見世特別公演」


こちらは、毎月渋谷の映画館「ユーロスペース」で開催されている「渋谷らくご(通称シブラク)」の有料オンライン生配信。若者の観客も獲得しているシブラクは、初心者ウェルカムな構成が魅力で、伸び盛りでイキのいい若手の逸材が勢揃いします。6月は12日から16日の5日間で、初日は無料配信!

今年上半期、お披露目などが中止となり、満足に晴れの日を祝えなかった新二ツ目さん&新真打がズラリと。あぁ胸アツ企画……。キュレーションを手がけるサンキュータツオ氏は自身のツイッターで「大事なのは、『お披露目』ではなく『顔見世』であること。お披露目は、寄席なり、演者さんが開催する『お披露目公演』に行って応援してほしいです。そこには彼らの師匠もいますし、一門や理事も集まります。総出のお祭りです。『顔見世』は知ってもらうための、キッカケのひとつです」と企画意図をつづりました。まずはここで彼らの現在形を知って、未来しかない芸人たちを長く応援するのが落語ファンの鑑でせう。全団体の昇進した芸人がひと所に集うというのも珍しい出来事で、注目しています。

今回の配信では24時間のアーカイブもあるそうですが、シブラクは夜8時からと比較的遅めの回もあるので、平日もオンタイムでぜひ。

◆視聴方法は下記「配信情報」参照


【3】動楽亭リモート寄席


配信に乗り出したのは、お江戸のみにあらず。「動楽亭」(桂ざこば師匠が席亭を務める上方の寄席)が、6月24日からの5日連続全7公演、初めて生の落語会とインターネット配信を組み合わせた「リモート寄席」を開催します。個人的には、東京にいながらにして上方の落語家さんたちの高座が生配信で見られるとは、なんともありがたい企画です。米朝一門から2人ずつ日替わり出演で、トークコーナーもあり。

米朝事務所のYouTubeチャンネルには、この「リモート寄席」の視聴方法を指南する動画( https://youtu.be/pPWQd4ZqR6E  )もあり、とっても親切。ガラケーユーザー桂米團治師匠を生徒に、一門の“デジタルコンテンツ班”リーダーの桂弥太郎さんが「絶対に諦めないでください!」と粘り強く懇切丁寧に解説しているので、「どうもこういうのは難しくって」という方も、ぜひ挑戦してみてください。

ちなみに、最新情報が更新されていく上方落語家の動画配信チャンネル一覧(天満天神繁昌亭公式ホームページ: https://www.hanjotei.jp/kawaraban/16291/ )は、配信している芸人情報が一目で見られて便利です。江戸落語とはまた違う華やぎ、艶やかさのある上方落語の魅力に、これを機会にはまってください。

◆視聴方法は下記「配信情報」参照

文=川添史子