本年度は“ハイブリッド型のオンラインフェス”として開催することを発表している『THE SOLAR BUDOKAN』。……一体どういうことなのか?  観客を入れるのか、入れないのか? 生なのか収録なのか? 全ての発表を追えていない限り、少々分かりにくいかもしれない。

結論から言えば、9月26〜27日、10月3〜4日という4日間の開催日程の中には観客を入れるライブもあるし、入れないライブもあって、生のライブも収録のライブも混在している、というもの。“複数の方式を組み合わせた”という意味でのハイブリッド型だ。実際それはどういった内容となるのか、そのポイントとなる部分を、現在絶賛制作中のフェス運営チームに聞くことができたので、現状で判明している内容をまとめておきたいと思う。チケット購入など迷っている方の参考になれば幸いです。

まず、例年は『中津川 THE SOLAR BUDOKAN』として開催され、ファンにも出演アーティストにも愛されているこのフェス、今年は中津川会場でライブは行われるのか?という点から。これは、「行われる」でOK。ただし、新型コロナウィルスの感染状況を鑑み、名古屋や東京など大都市からの人の移動を避けるため、中津川での有観客ライブは行わないこととなっているので、残念ながら参加者があの会場の空気を直接味わうことは叶わない。その代わり、事前収録の会場として使用(現時点で既に10-FEETが収録済み)するほか、9月26日・27日の生配信の会場にもなっており、このフェスに特に関わりの深い、ACIDMANやa flood of circleといった面々の出演が予定されているとのこと。

10-FEET  撮影=MASANORI NARUSE (中津川での収録風景)

10-FEET 撮影=MASANORI NARUSE (中津川での収録風景)

ちょうど「事前収録」と「生配信」の話が出たので、そこの部分についても説明しておきたい。開催当日に我々がPCやスマホ越しに観ることになるライブは、先ほども触れたとおり、生と収録が混在する。全体の割合としては、日にもよるが収録と生が大体半々というイメージになりそうだ。「生じゃないのか…」と思う方もいるかもしれないが、過去のライブ映像放映などではなく、この『THE SOLAR BUDOKAN』のためだけに演奏している映像である上、生と何ら変わりなく当日のその時間に初めてヨーイドンで流れるので、あまり気にならないのでは?と思う。それよりも、普段の環境とは違うシチュエーションでのライブを観ることができる、というプレミア感の方が勝るのではないだろうか。

次に、有観客のライブ開催について。当日の生配信会場については、基本的に無観客だ。中津川以外の各事前収録会場(猪苗代やビルボード東京、その他東京近郊の会場も準備中らしい)に関しても無観客収録がほとんどだが、唯一、9月13日の中野サンプラザでの事前収録のみ、観客を入れた状態で行われる。もちろん感染対策を万全にした上で、キャパシティも本来の収容人員からすれば1/3程度の700名に限定されるプレミアムなライブとなり、クラウドファンディングのリターンメニュー等でチケットは既にSOLD OUT。配信での視聴を楽しみに待つほかない。このサンプラザへの出演が決定しているのが、奥田民生、佐藤タイジ、ストレイテナー、OAUとなっている。

春以降、配信でライブを観るという行為が一般的になりつつある中で、既に何かしらの配信ライブを観た、という方も少なくないと思うが、実際のところリアルのライブと配信は別物だ、という実感を持った方がほとんどではないだろうか。今回、4日にわたっての開催となることも、その中で様々な会場からのライブが流れることも、リアルと配信の違い、もっと言えば“配信ライブならでは”の問題と密接に関係してくる。一番大きいのは、「そんなに長時間視聴し続けられないよね」という点だろう。

普段のフェスであれば、10時間やそこらはライブが断続的に行われることになり、飲んだり食べたりしながらそれを観ることになるが、オンラインフェスの場合、各ご家庭など日常生活の間で果たしてPCの前に10時間いられるだろうか?という話になってくる。まあ、ほとんどの人が無理だと思う。であれば、1日あたり本来の半分程度の時間とし、その上で、例年よりは少なくなるものの、なるべくたくさんのアーティストを観てもらいたい。そんな想いゆえの4Days開催なのである。

加えて、その日のライブ全てが同じ環境から配信されるよりも、屋内、屋外、別地方など、出演者それぞれに所縁があったり表現に合っていたりする場所からのライブが続く方が、観ていて飽きが来づらいはずだ。生と収録の両方が存在することで、ステージの転換時間の問題も解決する。間にトークコーナーなどを挟むパターンも存在するが、そうなるとどうしてもフェスというよりテレビ番組っぽくなってしまうし。なるべくならその日の出演アーティストを1組でも多く観てほしい、というのは、元々フェス側が抱いている想いであり、それはこのオンラインフェスに於いても同じ。適度なボリューム感とバリエーションを用意するという点でも、このハイブリッド型は理にかなっているといえる。

観る側としては、4日間フルも良し、単日でも、2日でも、観たいアーティストや都合に合わせて選べるようになっている上、アーカイヴもそれぞれ残るから、リアルタイム視聴が難しい日は後から観るのも当然アリだ。

進捗の話をすると、発表されているラインナップの中で、既に収録に臨んだアーティストもいれば、これから収録をする、もしくは生での出演など、大方が決定しつつあるところだ。これを書いている目の前でも実は、とあるバンドがライブ収録をしている。また、意志のあるフェスとして毎年のように参加しているアーティストも多いフェスだけあって、これまで配信ライブを行なっていなかったりするアーティストまでもが出演することも見逃せない。既に日割りまで発表されているが、これから明らかになる出演者、ギリギリまで出演へ向け調整しているアーティストもいるようなので、続報にも大いに期待したいところだ。

過去開催時のフードエリア

過去開催時のフードエリア

あ、そうそう。フェスといえばお酒とご飯である、という僕の持論に賛同してくれる方には朗報が一つ。地元の食材を活かしたメニューを中心に、25種にも及ぶ“フェス飯”が自宅に届く事前通販が、9月13日(日)23:59まで行われているのである。岩魚とか、飛騨牛とか、恵那鷄とか……あと、地酒まであるじゃないか! なお、ビールは無いので、最寄りのスーパー、コンビニ等でお求めください。

まあ、これを読んでもまだ、いまいち分かったような分からないような気分かもしれない。それはもう、やむを得ないです。なにしろ、制作サイドも出演するアーティストも、未だ誰もやったことのない、体験したことのないことをしようとしているので。我々にできることはきっと、とにかく4日間のライブを楽しみに、仕事の予定や体調を整えつつ、お酒とご飯の用意をして当日を迎えることだと思う。

文=風間"太陽"