9月26日〜27日/10月3日〜4日の4Daysにわたり配信される、太陽光発電のエネルギーを活用したロックフェス『THE SOLAR BUDOKAN 2020』。生ライブと各地で収録したライブ映像の両方を、オンラインで楽しめるスタイルの同フェスにおいて、唯一有観客の会場でのライブ収録となったのが、9月13日に東京・中野サンプラザ開催された、『THE SOLAR BUDOKAN IN SUNPLAZA』だ。会場定員の1/3程度となるおよそ700名のオーディエンスを前に、それぞれのスタイルでライブを繰り広げたストレイテナー、奥田民生、OAU、そしてゲストとしてプレイしたオーガナイザーの佐藤タイジ。そして終演後、フロントマンの4名が集まった座談会の場が設けられた。聞き手は同フェスのプロデューサー・松葉泰明氏。久々の有観客ライブを終え、そして各々お酒も少々(?)入った状態で繰り広げられるトークの行方やいかに?

――まずは、乾杯!

奥田民生:こんなことさ、最近してないでしょ?

佐藤タイジ:してないよ、全然。

ホリエアツシ:乾杯も遠目から、みたいな感じですよね。

――あらためまして今日の『THE SOLAR BUDOKAN IN SUNPLAZA』の感想からお願いします。

ホリエ:ストレイテナーは8ヶ月ぶりにお客さんの前でやるライブだったので。まあ、やっぱり緊張したんですけど、すごく気持ちよくて。こういうステージに立たせていただいて、本当にありがとうございますっていう。

TOSHI-LOW:俺も緊張するかと思ったんですけど、俺の一個前に出た人がめっちゃ緊張してたので。その「緊張してんだぁ……!」っていうのを見て、緊張がほぐれて、良い演奏ができて、良かったです!

タイジ:ははははは!

ホリエ:お客さんも、あれでほぐれた感じで。僕らのときはお客さんもまだ緊張してましたからね。

民生:いや、ホント緊張して。1ヶ月位前に大阪でもやったんですけど、大阪はもうちょっと広くてお客さんが遠かったからか、今日はなんか異様に緊張して、俺。声が「んっんっ」って。

TOSHI-LOW:なってたよねぇ。

民生:ビビった。どうしたらいいか分からなくなった。

TOSHI-LOW:だって、途中のMCでビビってないふりしてたもん。すごいビビってるってことだよね(笑)。

民生:俺がなんか様子が違うのを、お客さんもソデのスタッフも全員わかって、全員緊張した(笑)。(最後の2曲で)タイジが出てきてから、俺は真の姿になったから。なんていうんですかね?  この、お客さんはいるけど、騒げないからお客さんもどうしたらいいか分からない、でも久々だし嬉しいし、その嬉しさを表現できないし。

タイジ:みんな固ーい感じやね。

民生:なんともね。あの中で俺が堂々とできなかったのは……本当すいませんでした(笑)。

ホリエ:でもあれでみんな、「あ、協力し合わなきゃダメなんだ」っていう空気になって(笑)。

――タイジさんは今日、自分のアクトというよりはオーガナイザーとゲストプレイでの出演でしたけど、どうでした?

タイジ:そりゃもう、超楽しかったですよ。武道館ができなかったから中野サンプラザになったんだけど、良かったね、むしろ。音も良かったし。

TOSHI-LOW:毎年ここでいいんじゃない?

民生:中野ソーラーでいいよ。

――(笑)。民生さんはその武道館で2012年に行われた、最初の『SOLAR BUDOKAN』以来で出演いただいて。

タイジ:お待ちしておりました。モジャモジャ(の髪型)になってからは初めてちゃう?

民生:俺はね、MCでも言いましたけど、何年か前にこれ(タイジのアフロ)に憧れてやろうと思ったんですよ。今はちょっと小さくなったんだけど、ちょっと育ってきたなっていう、1年くらい前がそうだったんですけど、でもやっぱり本家には勝てないから。なんなら会いたくなかったんですよ(笑)。

TOSHI-LOW:大と小みたいになっちゃうからね。

民生:だから(SOLAR BUDOKANに)出てなかったんです。

タイジ:マジで?(笑)

――今年、コロナでライブが中止になる中で、TOSHI-LOWさんのニューアコ(『New Acoustic Camp』)は「やる」という決断をして。『THE SOLAR BUDOKAN』も形は違えど「やる」ことにしてここに至るわけですけど、ニューアコのオーガナイザーとして中止をしなかった心境としては?

TOSHI-LOW:要は、やめようと思ったんですけど、思えば思うほど、俺は根性が曲がってるから、隙間を見つけられるというか。「こんだけ(観客を)入れていい」とか、野外だったら感染のリスクが少ないとかってことをちゃんと守れるんだったら、あえて、いま言われてる内容を守ってやってみるっていうのは……言い方はすげえ変なんですけど、未知なる世界に行くのって、俺は嫌いじゃなくて。
だって、今後コロナが無くなるとは限らないし、コロナ以外の菌もあるかもしれないから、新しい生活スタイルができてきて。正直、コロナが終わっても、いきなりみんながハグする世界には戻らないと思うんですね。

タイジ:そうなんだよね。

TOSHI-LOW:だったらこの段階で、ちゃんと手を洗ったりっていうのを守った上でやれる最低限をやってみるのが、今年やれることかなと思って。ゼロを1にしてみたかったっていうのが正直なところで。だって、どこに行ったって誰が伝染るかなんて分からない社会で生きてる中で、音楽が好きな人はそのリスクを負いながらコンサートやフェスを楽しむスタイルになっていくわけだから。だったら早めに一歩を作ってしまった方がいいかなって、俺は思っちゃってるタイプです。

タイジ:一緒やな。できることをやっておかないと、この先の方がきつくなる可能性もあるわけやんか。いまできることをやっておいたら、もし来年もっとハードになったとしても、何かやりようがあるかもしらんっていう。経験みたいなものはやらないと蓄積せえへんわけやんか。感染防止対策とかも、いまできることは全てやっておいて開催する。やめないっていうことの方が……

TOSHI-LOW:やめても良いと思うのよ、今年に関しては。イキってやる必要はないし、俺らがやったから良いとかでもなくて、こういうやり方だったらフェスやコンサートや……ライブハウスもそう。いま困窮してる人たち、音楽が好きな人たちが幸せになってほしい。ライブハウスを“悪”にしてる社会とかワイドショーなんか、どうでもいい。俺はこっちを救いたい。

民生:そうやってTOSHI-LOWが、何かをやってくれる後に続きたいと思います!

タイジ:はははははは!

TOSHI-LOW:じゃあ、来年ニューアコ出てね?(笑)

民生:出る出る。出てないと本当ダメだっていうのが今日わかったから。

ホリエ:まさか、このキャリアで“場慣れ”が必要なんですか(笑)。

民生:55にもなって、「リハやっときゃよかったな」「曲順も決めときゃよかった」って(笑)。

――今日はお客さんが700人入ってましたけど、このあともっと多くの方に配信で観てもらうわけで。配信ライブに関してはみなさんどんな思いでいますか。

民生:話が続きますけど、今日みたいな空気は、今日の中野サンプラザの中では、それはそれでちゃんとなってるんですよ。成り立ってるんですけど、それを俯瞰で画面で見る人は「めっちゃ緊張してるやん」っていうだけの……(一同笑)。それが怖いなぁと思ってね。
配信というものは、めっちゃ良いと思うんですよ。すぐできるし、新しい世界なところもあるでしょ?  俺らはずっとライブハウスやホールでやってきたけど。

TOSHI-LOW:そういう現場主義みたいじゃないところでも楽しめるっていう。

民生:そう。それは絶対に良いことやから。正直、テクノロジーの進歩みたいなことは分からないので……なんかまだ不便なこともあるでしょ?  ネット環境で遅れるとか。そういうのがもっと進化したら、ライブ会場も盛り上がるけど、他の人もどんどん盛り上がるみたいなことがあっても絶対良いと思うし、会場だけで盛り上がるのも良いと思うし、両方あるよね。

タイジ:配信となったら世界中でシェアできるわけやんか。それは俺、おもろいなと思って。

――ホリエさんは配信ライブについて、どうですか?

ホリエ:僕は正直、プレイするにあたって……今日はお客さんがいましたけど、お客さんがいないと自分のテンションが露骨に顔に出ちゃうというか。自分のプレイに向き合うことはできるけど、目線とか下向いちゃうんですよね。この間、スタジオで配信ライブしたときも、カンペもないのにずっと斜め下見てる、みたいな感じになっちゃって。

民生:あのね、そういうときにカメラをガッと見れるのは限られた人なのよ。(タイジに)お前、見るでしょ?

タイジ:いや。……まぁ見るかもわからんけど……俺はね、シアターブルックで配信ライブやったんやけど、すげえ楽しくて。

ホリエ:演奏は楽しいんですよ。音を出すっていうのは。あとはMCで、真面目なことを言ったら、メンバーから「やっと緊張がほぐれたところで、MCでまた緊張したじゃねえか」って怒られたんですけど(笑)、そんなこともありますからね。……でもやっぱり、テレビでしかロックバンドを見てこなかった時代ってあるじゃないですか。

タイジ:小ちゃい頃とか特にね。

ホリエ:高校1年のとき長崎の公会堂で観た、初めてのロックアーティストが民生さんなんですよ。

民生:おお! マジで?

ホリエ:それまでは何年間もスタジオライブみたいなのしか観てこなかったから、そのスタジオライブみたいに、画面を通してもカッコよく魅せるバンドにならなきゃなと思いました。今さら。

民生:たしかに、俺もテレビで見るダウン・タウン・ブギウギ・バンドが大好きだったわけですよ。俺は初めてライブを観ることができたのがダウン・タウン・ブギウギ・バンドで、やっぱり(テレビと)全っっ然違ってカッコいいわけ、生演奏って。それを「楽しそう!」と思って憧れたんだけど、そういうテレビじゃわからないことが当然あるじゃないですか。やっぱりさ、いくらYouTubeで観れるようになっても、生には敵わない。
だから俺は、無観客ライブの配信っていうのはどうなのかな?ってずっと思っていて。実はやってないんですよ、あんまり。俺らが楽しんでるところを観てもらうっていう考えはわかるんですけど……。

TOSHI-LOW:あとは、年に何回もそれをやると、観てる方も飽きない?  簡単に観れるものって簡単に忘れてしまうし、チャンネルを変えるみたいに変えてしまうから、やっても何回かとしか思えないかな。

民生:だから配信するんだったら、今までやってることじゃないことをしないとな、と思って俺はやってるんです。

TOSHI-LOW:大食い?

民生:ははは!  大食いはいま一番無理!  めっちゃ小食なの。

TOSHI-LOW:じゃあ激辛?

民生:激辛の方がまだいいな。

TOSHI-LOW:試しに一回4人で、YouTubeで激辛食べない?

タイジ:嫌だぁー!

民生:しょぼい結果になるよ(笑)。それはそれでいいね、誰も成功しない激辛番組。

TOSHI-LOW:2分くらいでみんな(俯いて)こう……(笑)。

――『SOLAR BUDOKAN』の話に戻そうかと思うんですけど(笑)、民生さんは8年ぶりで――

TOSHI-LOW:なんでOTはあんまり出てないの?

民生:それがね、本当になんでかわからないんですよ。毎回呼ばれてて、全然良いんだけどね。

ホリエ:『SOLAR BUDOKAN』って、先輩の先輩の先輩みたいな、どこまでも先輩がいるじゃないですか。そこに民生さんの居場所がないとかですか?  先輩博物館みたいなんですよ、僕からしたら(笑)。

民生:まぁ中間管理職ですからね、俺たちは。

TOSHI-LOW:まだ?

タイジ:いやぁ、まだまだ上がおるもん! いまだギンギンの先輩おるもん。

ホリエ:だけど居心地は良いんですよ。今のフェスって、僕らですら一番上になったりとかしてて、居心地悪いんです。『SOLAR BUDOKAN』に行ったらすーごくいい。

民生:若手だもんね。

ホリエ:先輩たちがご機嫌にクダを巻いているっていう空間で。

タイジ:おるもんねぇ(笑)。

民生:そういう人、好きやん?

タイジ:好き。

民生:イベントですけど、どうしてもこの人のキャラは関係あるから。この人の友達が来るって話でしょ?  結果。それはやっぱりタイジのイベントだってことですよね。

――そんな『SOLAR BUDOKAN』、今年の配信も観てほしいなっていう話に……

TOSHI-LOW:どうやって持っていこうか(笑)。

民生:今日のこれが配信されるわけでしょ?  本当のライブとは全然違いますけど、けど、良いと思うんですよ。観る人が増えたり。いろいろな家庭環境とか、子供が小ちゃいとか、いるわけでしょ。そういう来れない人も観れるわけだから、やる人もそれを考えてやるべきやと思うし。

タイジ:それは本当そうだよ。

ホリエ:ライブの尺って、どれくらい流れるんですか。

タイジ:全部だよ。

TOSHI-LOW:え、フル?

タイジ:当たり前だよ!

ホリエ:それはすごいですよ。だって、ワンマンくらいの(ライブ)を観れる。

民生:最初の半分はカットしてほしいなぁ(笑)。急に自信満々になってるところくらいから流してもらって。

タイジ:全然そういう風には思わんかったけどな、まぁ、何しゃべってるかわからんけど、歌はピッチええなぁみたいな。

ホリエ:民生さんはいつでも、広島市民球場だろうが、小ちゃいバーみたいなところにフラッと来て弾き語ってるみたいな人なんだな、と思って観てました。

民生:俺はそれを理想だと思ってて、どんなところに行っても人の家で歌ってるみたいな感じでやりたい。全然そうは行かなかったけどね……。

TOSHI-LOW:そんな珍しい奥田民生が観れるのは、この配信だけ!

タイジ:ナイス!!(笑)  これはなかなか無いよー?

民生:でも声の調子は良かった。だって減ってないじゃない。

ホリエ:そうですね。

TOSHI-LOW:そうだよね、ボーカリストみんなそう。

民生:やっぱり(ライブが)続くと削れてくるので、休まないとちょっとずつ出なくなってくるんですよね。それが今この時期は全くないから、上(の音域)が伸びやかに出る。

TOSHI-LOW:OTは、地方に前乗りしたときに飲みにいっちゃうわけ。それで俺に自慢げに、「俺の本当に良い声を誰も聞いたことない」って。「それ、いま飲んでるからでしょ!」(一同笑)。

民生:そう、俺しか聴いたことないと思う。……でも、あんまり良いのも違うでしょ?  俺の絶好調は、聴いてる人はあんまり、「これは違う」って。

TOSHI-LOW:みんな、前の日飲んでちょい掠れくらいに慣れてるからね。

民生:調子良いときは関係ないときです。歩いてるときとか。本番中は一切ないです(笑)。

――それではここらへんで締めたいと思います。

タイジ:本当、今日はありがとうございました!

構成・文=風間大洋 撮影=柴田恵理