someno kyoto 3rd Anniversary Special『Sing N' Play』2020.9.30(WED)京都・someno kyoto

これまでにAnly、eill、chay、NEIGHBORS COMPLAIN、Rude-α、Rei、Leolaらが出演し、その日限りのコラボレーションが好評のライブシリーズ『Sing N' Play』。約1年ぶりとなる第5回目が、今年で3周年を迎えた京都のアコースティック専門ライブハウスsomeno kyotoにて、無観客配信ライブとして開催された。出演は前回に引き続き、AnlyとNEIGHBORS COMPLAINのOTO(Vo.Key)。事前にオンラインミーティングを重ねリモートで新曲を作り上げるなど、並々ならぬ想いで挑んだ一夜に迫る。

京都の街並みからsomeno kyotoへの道のりがチルアウトなBGMと共にシームレスに非日常へと誘うオープニングムービーから、すでに『Sing N' Play』の物語は始まっていた。ステージへと目線が移れば、そこにはすでに準備万端のAnlyとOTOの姿が。昨年同様、Anlyの「Moonlight」とNEIGHBORS COMPLAINの「Night Drivin’」がシンクロしていくマッシュアップで魅せた幕開けだったが、客席からのクラップが合流した前回とはまた別味の、2人のシンプルなグルーヴが心地いい。

Anly

Anly

「皆さんこんばんは、someno kyotoにようこそ!」(OTO)

「someno kyotoさん、3周年おめでとうございます!」(Anly)

慣れ親しんだsomeno kyotoのアニバーサリーに祝福の言葉を捧げたかと思えば、「COFFEE」ではAnlyの軽やかでファンキーなボーカルとOTOのピアノに酔いしれ、「ゆらゆら揺れていきますか!」(OTO)と口火を切った「Aurora」では、2人のしなやかな歌声によるかけ合いが、スウィートでアーバンなムードを演出。やはりこの組み合わせは極上だったと、約1年の時を経た待望の再共演に早くも感じさせられる。

Anlyのドラマチックなギターに高ぶらずにはいられない「太陽に笑え」では、OTOのピアノと歌声が楽曲のボトムを絶妙なさじ加減で支え、「楽しんでいきますか!」(OTO)とスリリングなピアノがすべり込んだ「Gotcha Feelin’」では、のびやかな2人の歌声が夜に溶けていく様がもう最高! ライブの、音楽の力を、存分に味わえるこの幸福な時間たるや……。

OTO(NEIGHBORS COMPLAIN)

OTO(NEIGHBORS COMPLAIN)

「ここからはジャジーな曲を2曲お届けしようかと。部屋の明かりをちょっと暗くして聴いてもらいたいと思います」(OTO)と歌い上げたのは、「Babygirl」。男女ボーカルでドラマを描いていく2人の『Sing N' Play』は、楽曲の造形がより高解像度で脳裏に浮かぶような贅沢さ。OTOのボイスパーカッションにAnlyが艶やかに言葉を重ねた「Sleep」もクールで、昨年と同じ組み合わせ、同じ曲でも新たなテイストが楽しめるのは、まさにライブの、『Sing N' Play』の化学反応であると言えるだろう。

ここで、「今日一番ドキドキしてるパートが来ました。ここからは1人ずつ演奏しようかなということで、お互いの曲を自由にカバーする『Sing N' Play』ならではのチャレンジを」(Anly)と、それぞれの持ち曲をカバーし合うセクションへ。まずは、「一番最初にワンマンを見に行ったときにすごく印象に残っていた曲」と、OTOがAnlyの「DREAM ON」をカバー。男性ボーカルで聴くそれもまた、ひと味違った切なさでじんわり胸に沁みわたる。そして、「ラップでめっちゃ難しい曲ですけど、ループペダルアレンジでお届けしようかなと思います!」と、AnlyはNEIGHBORS COMPLAINの「Continue..?(feat. Jinmenusagi)」を披露。カメラに向かってハンドマイクでラップする光景が、何とも新鮮かつエモーショナルに響く。

「いや、すっごいわ。配信を見てる人は画面越しでこの迫力じゃないですか? それを一番近くで生で見てるから……ホンマにカッコよかったな」(OTO)

「「DREAM ON」最高でした! 逆輸入したいんですけど(笑)」(Anly)

「ライブが決まって、この日のために特別なことができないかなと話し合って。何か希望のあるメッセージを届けたいよねと、2人でリモートで曲を作ってきました。いろんなことがあるけど、僕がここにいるのは、君がそこにいてくれるからなんだよ、というメッセージをこの曲に込めました」(OTO)

『Sing N' Play』

『Sing N' Play』

事前にYouTubeに公開されていた2人のオンラインミーティングでもその制作過程が露わになっていたが、ただの共演でもコラボでもなく新曲まで作ってしまうのは、まさに『Sing N' Play』ならではのスペシャリティ! 「ラベンダー」と名付けられた甘く優しいメロディには、思わずうっとりと聴き入ってしまう(音源化希望!)。

「この曲でほっこりしてくれたら嬉しいな」(OTO)

「私がほっこりしてるから大丈夫(笑)」(Anly)

「ここからは切り替えてテンション上げていきますか! 準備OK!?(OTO)」

後半戦は、Anlyの「BRAND NEW DAY」とNEIGHBORS COMPLAINの「Shine On」を変幻自在に行き来する再びのマッシュアップから、「まだまだ揺れていきましょう!(OTO)」と、ボーカルを巧みにスイッチし色とりどりの風景を見せる「Got It Goin’ On」、ループペダルを駆使したイントロから勇ましいビートで前進する「Not Alone」と、この2人だからこそ、『Sing N' Play』だからこそ、そしてsomeno kyotoだからこその絶景が続く。配信であろうとそこには音楽と人と場所があり、それがライブという奇跡を作り上げることを改めて思い知らされる。

『Sing N' Play』

『Sing N' Play』

『Sing N' Play』

『Sing N' Play』

最後の「We’ll Never Die」ではOTOの包み込むようなピアノとコーラスに導かれ、Anlyが荘厳で力強い歌世界をsomeno kyotoに作り上げていく。全編にわたって映像に差し込まれた生け花もイベントの雰囲気を引き立てるのに一役買っており、終演後に流れた映像作品のようなエンドロールには、画面越しに大きな拍手が聴こえてくるかのよう。

アフタートークでは、AnlyとOTOをイメージして生けられたという美しい花々を前に、「改めて3周年おめでとうございます!」と2人が乾杯。「いろんなスタッフの人に支えられながら、こだわりにこだわり抜いてやっと届けられた」とOTOが語ったのも大いに頷ける。ライブの代替品ではなく、配信だからできることに惜しみない情熱とクリエイティブが注がれた『Sing N' Play』だった。

『Sing N' Play』

『Sing N' Play』

取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=ハヤシマコ