『hide Birthday Party 2020 Sing along live“Hi-Ho!”』2020.12.13(SUN)川崎CLUB CITTA’

hideの56回目の誕生日となる12月13日(水)、初となる無観客有料配信ライブ『hide Birthday Party 2020 Sing along live“Hi-Ho!”』が川崎・CLUB CITTA’にて開催された。今年はhideが永眠して22年目、23回忌を迎えるメモリアルイヤー。毎年、彼の誕生日や命日に合わせ、ゆかりのあるアーティストやたくさんのファンが集まり、賑やかなパーティが行われてきた。5月のメモリアルデイには、『Sing along live“Hi-Ho”』として、今なお色褪せることなく愛され、輝き続けるhideの名曲を会場に集まったアーティストやファンと共に歌うトリビュートライブが予定されていたが、新型コロナウイルスの影響により開催中止に。今回、幻となっていたイベントが無観客での有料配信ライブとして実現した。

ライブ当日、SNSではhideの誕生日を祝うメッセージが次々にアップされていた。直接会場に行けずとも、「ハッシュタグ」をつけてメッセージを投稿すれば、全国のファンと思いを繋げることができる。寂しいけれど、なんだか気持ちはほっこりとしてくる。そして思うのは「hideが今のこの日本の、世界の音楽シーン、情勢を見れば何を感じるだろう……」ということ。高い先見性とエンタメ精神たっぷりだった彼は、いつだって人が考える一歩先を歩き、誰も想像し得ないことをやってきた。ソロワークでのサウンドデザインはもちろん、自身のブランド、レコードレーベルとして「LEMONed」を設立。夏フェスなんて言葉がなかった時代から自身がプロデュースする大型複合イベントを開催したり、パソコンが一般的に普及していない中でも、いち早く自身のホームページを開設してファンとチャットで交流を取っていた。また、都内のクラブでイベントを同時開催して各会場をネットで中継し、観客がイベントを回遊するという、ネット配信ライブとサーキット型イベントの先駆けともいえるイベントを次々に手掛けていた。そんな彼なら、今のこの時代だってきっと面白がってカルチャーを発信しているかもしれない。そんなことを想像しながら、開演の時間を待っていた。

開演前には、レジデントDJを務めるFM802DJ・浅井博章によるイベントやアーティスト紹介のアナウンスが流れる。hideのオフィシャルイベントでもお馴染みの氏の声を聞くだけで、気分が徐々に高まっていく。この日のライブに合わせて数量限定発売されたワイヤレスイヤホン「hide TRUE WIRELESS STEREO EARPHONES」を装着していることもあって、周辺の音がしっかりと遮断され、良質な音声でライブに集中できたのも良い。

『hide Birthday Party 2020 Sing along live“Hi-Ho!”』

『hide Birthday Party 2020 Sing along live“Hi-Ho!”』

この日のライブは木村世治(ZEPPET STORE)、defspiral、CUTT(SPEED OF LIGHTS/shame)を中心に、スペシャルゲストにMAGUMI(LÄ-PPISCH/MAGUMI AND THE BREATHLESS)、PATA(X JAPAN/Ra:IN)、TUSK(THE SLUT BANKS/ex-ZI:KILL)、山本恭司(BOWWOW/VOW WOW/WILD FLAG)が登場。SEに「PSYCHOMMUNITY」が流れ、ステージの幕が上がる。ステージ上には衣装も様々なhide人形があちこちに並べられている。

『hide Birthday Party 2020 Sing along live“Hi-Ho!”』

『hide Birthday Party 2020 Sing along live“Hi-Ho!”』

ライブはdefspiralのMASATO(Gt)、RYO(Ba)、MASAKI(Dr)と、CUTTによる演奏のもと、木村世治、TAKA、CUTTが「DICE」を代わる代わる歌っていく。画面越しにライブを観る観客も一緒に歌えるよう、スクリーンには歌詞が映し出されている。続く「Beauty & Stupid」、「騒いで歌って、最高のバースデーにしましょう! 自宅!! アリーナ!」と木村とTAKAが煽り、CUTTはhideのトレードマークでもあったサングラスを着用し、歌いまわしもhideを意識するように満面の笑みを浮かべて歌う。MASATO、RYO、MASAKIの楽器隊は楽曲の世界観を忠実に再現しつつも、しっかりと個性を打ち出したサウンドで盛り立てていく。MCではCUTTが「観ているみんなの気持ちが伝わってくるようで、どうにかなってしまいそうなんですけど……」と、無観客の配信ライブに戸惑いつつも、観客の思いはしっかりと伝わっていると語る。木村も「アリーナの最前列で楽しんでもらえたら」と、これまでとは違うライブスタイルでも存分に楽しめるようにと、積極的に声をかける。

『hide Birthday Party 2020 Sing along live“Hi-Ho!”』

『hide Birthday Party 2020 Sing along live“Hi-Ho!”』

ハイテンションな盛り上げ隊長・CUTTがボーカルを取る「50%&50%」では背景のスクリーンに映るhideに両手を広げてみたり、ライブ映像と同じように投げキスをしたりとhide愛がひしひしと伝わってくる。「DOUBT」ではラウドなバンドサウンドに乗せ、TAKAが妖艶に、木村はzilchの楽曲「SPACE MONKEY PUNKS FROM JAPAN」をパンキッシュに歌い上げる。煌びやかな照明も雰囲気たっぷりで、より没入感が欲しいと部屋のライトを消してみたらライブ感もぐっと高まってきた。何度も聴き込んだ曲は流れてくる歌詞を見ずとも歌えるのだけれど、映像として映し出されると詞世界がしっかりと感情に入り込んできて、hideの描く詞の世界観に改めて魅せられてしまう。

『hide Birthday Party 2020 Sing along live“Hi-Ho!”』

『hide Birthday Party 2020 Sing along live“Hi-Ho!”』

ライブ中盤はスペシャルゲストによるステージへと続く。生前のhideとの交友が紹介されるなか、MAGUMIは「ピンクスパイダー」をエネルギッシュに歌い上げる。TUSKは近所に住んでいたというhideとの思い出話を語りつつ、「最近はどこで飲んでますか!」と呼びかけ、アコギ1本で「GOOD BYE」を熱い歌声で披露。hideのファッションでもお馴染みだった、迷彩柄のパンツにビビッドな黄色のTシャツ姿からもhide愛が伝わってくる。そして、hideが少年時代から憧れていたギタリスト・山本恭司は同日に自身の公演があったため、事前収録で参加。少年時代のhideが地元・横須賀で開催されたBOWWOWの楽屋に押しかけてきたというエピソードはファンの間でも有名だ。「可愛い子だな」と当時のエピソードを振り返りつつ、シャイな一面を持ちつつも突然楽屋に入ってしまう大胆な行動力に、のちのhideの人物像が繋がっていると語る山本。「hideはこの世からいなくなってしまったけど、これからも作品は生き残りつづけるし、僕や皆さんの心の中でずっと共に生きているから」と、可愛い弟分との思い出を優しく静かに語り、「hideのバースデーを祝って僕からも1曲プレゼントを」と「FLAME」を披露。美しい旋律が流れるインスト曲にBOWWOW「Ave Maria」を組み込み、卓越したギタープレイを披露してくれた。

『hide Birthday Party 2020 Sing along live“Hi-Ho!”』

『hide Birthday Party 2020 Sing along live“Hi-Ho!”』

ステージは再び、木村世治、TAKA、CUTTがボーカルをとって「LEMONed I Scream」「ever free」へと続く。アコースティックからバンド編成へと繋がるライブで、ボーカリストの魅力をたっぷりと届ける3人。hideの楽曲は楽しいやカッコイイという印象はもちろん、どんなに激しいロックサウンドからも優しさを感じることができる。この日のライブも、ミドルテンポにアレンジされたサウンドだからこそ、オリジナル曲が本来持つメロディの優しさを改めて感じとることができた。

『hide Birthday Party 2020 Sing along live“Hi-Ho!”』

『hide Birthday Party 2020 Sing along live“Hi-Ho!”』

ライブ後半にスペシャルゲストとして登場したのはPATA! hideの盟友であり相棒であり、助っ人怪人でもある彼の登場にステージのお祝いムードはさらに高まっていく。「CEREBRATION」の演奏に合わせ、スクリーンでは拡声器を持ってステージを練り歩くhideのライブ映像が流れる。PATAのギタープレイ越しにhideの演奏シーンが一緒に映し出され、ツインギターが実現したような感覚もあって興奮が止まない! 「もっとぶっ飛んでいきましょうか!」とTAKAが煽ると、お祭りムードがさらに高まり、ここからは次々に名曲が披露されていく。

「ROCKET DIVE」では<3, 2, 1 GO!>のお馴染みのカウントダウンでhideの表情がアップで映し出され、「TELL ME」では<Singin’ my song for me.Singin’ your song for you>の歌詞がぐっと心を刺してくる。hideが描いてきた楽曲はいつだって感情を鼓舞し、彼が紡いだ言葉は聴く者の心に寄り添ってくれた。ファンのみなさんと同じく、記者の私にもたくさんの思い出がたくさんあって、思わずメモを取りながら涙がこぼれてしまった。そんなとき、PATAが「お茶の間のみなさん、こんばんはでございます」と、相変わらずの飄々とした出で立ちでカメラに向かって挨拶するものだから、思わず吹き出して笑ってしまった。CUTTも「(スクリーンに映るhideから)熱量を感じる!」と、語るようにステージにいる出演者も、配信を見ているファンもきっと同じ気持ちなのだろう。ライブは「MISERY」、出演者&巨大hide人形も総出で「Hi-Ho」と続き、ピースフルでハッピーな気持ちのまま『hide Birthday Party 2020』は幕を閉じた。

『hide Birthday Party 2020 Sing along live“Hi-Ho!”』

『hide Birthday Party 2020 Sing along live“Hi-Ho!”』

公演終了後、hideの23回忌メモリアルイヤープロジェクトとして2021年に続く様々な情報が解禁された。『hide The 23rd Memorial』として映画制作を開始。過去に閉館したミュージアム「hide MUSEUM」が再始動し、23回忌特別展示『PSYCHOVISION-hide MUSEUM Since 2000-』を開催。今月12月1日にはhideオリジナルのワイヤレスイヤホン・hide TRUE WIRELESS STEREO EARPHONESの「rocket dive Type」が発売された。さらに、音楽雑誌「FOOL’S MATE」に掲載された記事を集めたアーカイヴブックの発売が決定。付録には、この日のライブにも出演したTUSKも共作した、HIDE発案・企画・音楽・主演も手掛けた幻の映像作品『Seth et Holth(セス・エ・ホルス)』のデジタルリマスターDVDがつく。気になる詳細はオフィシャルHPをチェックしよう。

取材・文=黒田奈保子