2021年1月8日(金)KAAT 神奈川芸術劇場 <ホール>にて、KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『セールスマンの死』が開幕した。初日にあたり、舞台写真と出演者の風間杜夫、演出の長塚圭史のコメントが到着した。

本公演は、2019年4月よりKAAT 神奈川芸術劇場芸術参与を務める長塚が2018年11月に上演し、高く評価された『セールスマンの死』の再演。主人公ウィリー・ローマンの死に至る最期の2日間を描いた物語で、現代の日本・家族にも通じうる、競争社会の問題、親子の断絶、家庭の崩壊、若者の挫折感など、第二次世界大戦後に顕著になったアメリカ社会の影の部分を鋭くえぐっている。

風間杜夫  撮影:細野晋司

風間杜夫  撮影:細野晋司

(左から)風間杜夫、大谷亮介、村田雄浩  撮影:細野晋司

(左から)風間杜夫、大谷亮介、村田雄浩  撮影:細野晋司

主人公の老セールスマンを再び演じるのは風間杜夫。その他、片平なぎさ、山内圭哉、菅原永二、大谷亮介、村田雄浩のほか、加藤啓、智順(ちすん)ら、初演時の演技が高く評価されたオリジナルキャストが集結した。また新キャストとして、土屋佑壱、山本圭祐、佐野瑞稀、浜崎香帆が出演する。

舞台左奥に風間杜夫、片平なぎさ、右側手前に山内圭哉  撮影:細野晋司

舞台左奥に風間杜夫、片平なぎさ、右側手前に山内圭哉  撮影:細野晋司

(左から)菅原永二、風間杜夫、山内圭哉  撮影:細野晋司

(左から)菅原永二、風間杜夫、山内圭哉  撮影:細野晋司

長塚圭史  初日コメント 

再演により『セールスマンの死』をより深めることができて、シンプルに幸せを感じています。
この作品はもちろん優れた家族劇でもあるのですが、資本主義の矛盾を抱えながらもその閉塞感の中で生きるウィリー・ローマンの悲劇を描いた社会劇としての魅力が際立ちます。
感染症が世界中で猛威を奮う現在、2 年前の初演とは随分響き方が変わったのではないでしょうか。
70年前の戯曲が、現在に呼応し続けるというのはすごいことです。物語が現実と過去と幻想が混じり合う非常にモダンなつくりになっていることも含めて、改めて強靭な戯曲です。
こういう状況下でも、劇場の門戸を開いていられるというのは大きなことです。世界が激変した昨年の 2 月から、各劇場が感染症対策を必死に積み上げてきた財産だと思います。また一方で、いつも通りに劇場に来られないお客様に何を発信できるのか引き続き問われています。視界を広げるチャンスと思い、考え得る最良のものをお届けします。

風間杜夫  初日コメント 

初日が良い形で迎えられてほっとしています。
今回の再演では、現実と過去の記憶や妄想などが混在して進行していく物語の中で、ウィリー・ローマンのある種の困惑のタッチを意識的に強く出そうと、稽古の時から考えていました。
何でもネットで購入できる世の中で、人が人に会ってモノを売るというセールスマンという仕事も、人々の記憶から忘れ去られていく職業になっていくかもしれません。1950年頃の資本主義社会が発達するアメリカにおいて「稼げない人間はダメだ」という価値観の中で彼の悲劇が生まれますが、コロナ禍で分断や差別というものがさらに際立ったこの時代、ウィリーが置かれている状況に近いものが現代にもあり、よりお客様に多くのものをお届けできるような気がします。ぜひご覧いただきたいと思っています。

(左から)加藤啓、大谷亮介、片平なぎさ、菅原永二、山内圭哉  撮影:細野晋司

(左から)加藤啓、大谷亮介、片平なぎさ、菅原永二、山内圭哉  撮影:細野晋司

なお、KAAT 神奈川芸術劇場 <ホール>においては、イベント開催基準の50%以内の収容率を満たした上で、前後左右間隔を空けた座席配置、来場時の検温・手指消毒の実施、神奈川ラインコロナお知らせシステムの登録等、感染防止対策を万全に施した上で、上演している。1月12日(火)まで同劇場で上演後、岩手、松本でも実施される予定だ。