劇団☆新感線の41周年春興行となる「Yellow⚡新感線『月影花之丞大逆転』」が、2021年2月26日(金)より東京と大阪にて上演される。本作は、2003年に上演された『花の紅天狗』(初演・1996年)のスピンオフ作品として、強烈なテンションと存在感の持ち主である月影花之丞が再び登場し、ハチャメチャな展開で笑いの渦に巻き込んでいく新感線ならではの王道コメディ。

1月25日(月)都内で本作の製作発表が行われ、主演を務める古田新太、そして阿部サダヲ、浜中文一、西野七瀬、そしてタイトルロールの月影花之丞を演じる木野花が、脚本の中島かずき、演出のいのうえひでのりと共に出席した。この会見の模様をレポートする。

会見が行なわれるステージ上には、映画『エマニエル夫人』で夫人が妖しい魅力を放ちながら座っていたゴージャスな籐椅子が中央に置かれ、その周りをパイプ椅子が取り囲んでいた。司会の中井美穂が登壇者を呼び込むと、月影のロゴがプリントされた白Tシャツにえんじ色のジャージを羽織ったキャストたちが、中島、いのうえとともに姿を表し、最後に木野が月影先生の姿で登場した。

木野花

木野花

木野は「よもやもう一度花之丞をやれるとは思っていなかったので、すっかり忘れておりました」と微笑みを浮かべるが、18年ぶりだが全然当時と変わらないと指摘されると「正直、しめた! と思いました。と言うのも初演、再演とやり残し感があって……。いのうえさんの段取りが徐々に厳しく増えていき、今回は流石に慣れたかなと思っていたら全然段取りが物にならず。まるで初演のよう。今回は18年間抱えていた想いのリベンジ、今度こそ大逆転を、と思っていたんですが、連日泣きたい気持ちです」と苦笑いを浮かべていた。

中島かずき

中島かずき

中島は「まず断っておきたいのが、この作品は18年前の『花の紅天狗』の続編ではありません。いってみればこれは月影シリーズの第二弾にあたるものかと。橋本じゅんの轟天シリーズ、古田新太の五右衛門シリーズ、そして木野花の月影シリーズという位置づけなので、前の作品を観ていなくても全く問題はありません」と解説。「昨年の夏にプロデューサーから来年の春には公演をやりたい、メンバーはこんな感じで10人くらいで、と見せられたんですが、そこに木野花さんの名前を見つけて『だったら月影をやりたいな』と、いのうえと打ち合わせをしたらいのうえも同じことを思っていたようで、じゃあその方向でやりましょうと話がどんどん決まって」と、当時を振り返っていた。
「何年か前からあたためていたネタがあったので、書いていたら楽しかったです。なかば木野花さんに書かされていたような気がします」と語る中島は「手の上に花之丞さんがいて「ここはこう書きなよ」って言われている気がする」とイメージを伝えると「私はそんなことはしないわよ」と木野がぼそっと突っ込んでいた。

いのうえひでのり

いのうえひでのり

いのうえは「重い話よりは楽しい話をしたい」と思い、中島が言ったように「木野さんがいるなら月影だなと」と月影の上演はマストだったと述べた。なお、本作はミュージカルなのか? と聞かれると「正確にはミュージカルではないんだけど、ことさらミュージカルの要素は入れてます。40歳以下の人には伝わらないんじゃないかって古田に言われましたが。某家庭教師のCMで使われている国民的アニメなどが使われていると匂わせておいたほうがいいかな」って不敵な笑いを浮かべていた。

古田新太

古田新太

主演を務める古田は「今稽古中なんですが、何が面白いのか分からない状態です(笑)。実は稽古中のものを見せるのがいちばんおもしろいんじゃないなって思うくらい。木野先生が本当にまったく段取りを覚えてないので。オイラは『じいじ』という役名なんですが、『ばあば』って呼ぶんですよ! そんな面白いことを稽古場でされたら本番がもったいないなって。オイラたちを楽しませようとしているのかと」と笑いながら語ると「そんな余裕はない! ただ、花之丞でいようとすると木野花が崩壊してしまって」と木野が抵抗すると「違う! 木野花がそうなんだから(笑)」と突っ込み返されて一同大笑いとなっていた。

阿部サダヲ

阿部サダヲ

阿部は「こういう笑いに特化した舞台に立てるのが嬉しいです。特に木野花さんと古田さんのやり取りが。この前稽古中に二人がやり取りしているときにちょうど救急車が通りがかったんですが、古田さんが「(木野花を)迎えにきたよ」って。それが一番面白かった。あと木野さんが『力技』という言葉を『太っ腹』と言い間違えたり」などと稽古中の木野の言動を次々と暴露していた。

浜中文一

浜中文一

今回、新感線に初参加となる浜中は「初めて新感線の作品に出ることが凄く嬉しいです。稽古の話をいろいろな人に聞いてたんですが、思ってた以上に面白くて。僕、個人的には古田さんと阿部さんは『木更津キャッツアイ』で二人が出演していたのが凄く印象に残っていて。そんな二人と一緒に芝居ができることが嬉しいです。二人と稽古してずっと笑っています」とコメント。ちなみに周りの人たちからは「新感線の稽古はキツイと聞いていた。動くから。でも僕は若い方なんですが、意外と動きがなくて、むしろ古田さんたちの方が凄く動くので申し訳ない気持ちです」

いのうえは、浜中が以前出演した舞台の印象を「清潔感のある変態」と表現して高く評価していると語り「元々こういう人なのかなと思っていたが、新派やいろいろな舞台に出て芝居をやっていると知り、ああ上手い子なんだなと」と認識したと話していた。

浜中文一

浜中文一

今回浜中には、古田と阿部の間で翻弄される役どころ。ツッコミ役として期待していると語っていたが、阿部に浜中の変態度合いを聞いたところ「まだ変態らしいところは見てないよね。……机舐めたりしないよね」と謎の確認をし、浜中を狼狽させていた。

西野七瀬

西野七瀬

西野は新感線の舞台はもとより、演劇に出演するのが今回初めて。「稽古初日とかは緊張しすぎて誰の目も見れなくて、ストレッチですら力が入ってガチガチになっていたんですが、昨日くらいから面白いなと思えるようになった」と笑顔を見せる。新感線の芝居の印象は「声が大きい」とのこと。稽古でも古田から声を出せと言われていると語っていた。
緊張が取れない西野に、木野は「ここの舞台を経験したら、だいたいの芝居は大丈夫になるんじゃないかな」と励ましていた。


そして改めて木野は「ほぼ全編笑いですが、根底に演劇愛と劇団愛が溢れている。そこがとてもリアルなんです。面白いんだけど、時々台詞が『深いな』って思いますね。いい芝居になると思います」と嬉しそうに語っていた。

木野花

木野花

取材・文=こむらさき  撮影=田中亜紀