歌舞伎座にて、2021年2月2日(火)から『二月大歌舞伎(にがつおおかぶき)』(2月2日初日〜2月27日千穐楽 休演日:8日、18日)が開幕する。本公演の第三部では十七世中村勘三郎三十三回忌追善狂言として、十七世に所縁の『奥州安達原 袖萩祭文』、『連獅子』を十七世の孫にあたる中村勘九郎・七之助兄弟を中心に上演するが、この度、公演に先立ち、十七世中村勘三郎追善狂言特別ポスター2枚が公開された。

十七世中村勘三郎

十七世中村勘三郎

1月中旬、中村勘九郎、中村七之助、中村勘太郎、中村長三郎のスチール撮影が行われた。撮影は、カメラマンの篠山紀信。これまで十八世勘三郎との交流をはじめ、中村屋の写真を数々手がけている篠山氏。平成29年2月の勘太郎、長三郎兄弟の初舞台の際にも『門出二人桃太郎』の撮影をしていることもあり、勘太郎と長三郎も和やかなムードでの撮影が行われたそうだ。

歌舞伎座『奥州安達原 袖萩祭文』ポスター(袖萩=中村七之助、お君=中村長三郎)  撮影:篠山紀信

歌舞伎座『奥州安達原 袖萩祭文』ポスター(袖萩=中村七之助、お君=中村長三郎)  撮影:篠山紀信

『奥州安達原』では、十七世勘三郎の当り役であった安倍貞任と袖萩をそれぞれ勘九郎と七之助が勤め、また娘お君を長三郎が勤める。ポスターに写るのは、むしろを被って雪道を進む袖萩とお君の親子。お君は目の見えない母親に寄り添い、甲斐甲斐しくその手を引く。このあとに待ち受ける悲劇を思うと、二人の健気な姿がよりいっそう胸に迫ってくる。

歌舞伎座『連獅子』ポスター(親獅子の精=中村勘九郎、仔獅子の精=中村勘太郎)  撮影:篠山紀信

歌舞伎座『連獅子』ポスター(親獅子の精=中村勘九郎、仔獅子の精=中村勘太郎)  撮影:篠山紀信

『連獅子』では、親獅子の精を勘九郎が、仔獅子の精を勘太郎が勤め、十七世勘三郎を偲ぶ。きりりと引き締まった表情の二人からは、親から子へと、中村屋が大切に演じてきた『連獅子』を継いでいくという喜びと覚悟が伝わってくる。本公演では最年少の9歳にして、仔獅子の精に初めて挑む勘太郎。本ポスターでは、指の先にまで込められた気合が感じられる、鮮やかかつ力強い一枚に仕上がっている。

撮影後、初めて本番さながらの衣裳とかつらをつけた勘太郎と長三郎はふたりの指導のもと急遽稽古が行われるという熱の入りようで、2月2日(火)の初日に向けて、新たなステップとなったそうだ。

これらの特別ポスターは、歌舞伎座のほか、東京メトロの主要駅に掲出。また、歌舞伎座地下2階の木挽町広場や、1階お土産処「木挽町」などでも販売されるので、注目しよう。

なお、歌舞伎座では、1月に引き続き三部制(各部総入れ替え、幕間あり、各2演目)で開催され、この度の緊急事態宣言の発出に伴う行政よりの協力依頼を受け、当初発表の開演時刻を各部とも繰り上げ、第三部は午後8時までに終演する。

『奥州安達原 袖萩祭文』
平安時代末期、源義家らによって滅ぼされた奥州安倍一族の再興を志す貞任と宗任兄弟による復讐を軸に、それに関わる家族の悲劇が描かれた時代物の傑作。前半は哀れな袖萩と健気な娘お君、後半は貞任の豪快さがみどころの義太夫狂言の名作。十七世勘三郎が当り役として度々早替りで演じた袖萩と貞任の二役を、七之助が初役で袖萩を、勘九郎が袖萩の夫・貞任を勤め、袖萩と貞任の娘お君を長三郎が勤める注目の舞台。

 

『連獅子』
能の「石橋」をもとにした長唄の舞踊で、歌舞伎の人気舞踊のひとつです。前半は獅子の親子の厳しくも温かい情愛を描き、ユーモラスな間狂言「宗論」をはさんで、後半は獅子の精が豪快かつ華麗な毛振りを見せます。十七世から十八世勘三郎へ、そして勘九郎・七之助兄弟へ――親から子へと、中村屋が大切に演じてきた舞踊の大曲です。今回は、勘九郎の狂言師右近後に親獅子の精、勘太郎の狂言師左近後に仔獅子の精という配役。勘太郎の長男・勘九郎は9歳という若さで、仔獅子の精を勤め、本公演では最年少となる。