本日、2021年2月2日(火)に歌舞伎座『二月大歌舞伎(にがつおおかぶき)』が初日を迎えた。本公演の開幕にあたって第一部の舞台写真が届いたので紹介する。(第二部の舞台写真を追加)

『二月大歌舞伎』の幕開きを飾るのは、義太夫狂言の名作『本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)』。歌舞伎の「三姫」に数えられる八重垣姫は、優美な動きの中に恋する娘の一途な情念が描かれる女方の大役。当月は、中村魁春が17年ぶりに八重垣姫を勤める。公演では、絢爛豪華な錦絵のように、歌舞伎の色彩美あふれる舞台に、客席からは大きな拍手が送られた。

二幕目は、『泥棒と若殿(どろぼうとわかとの)』。人情の機微を描く山本周五郎の原作で、昭和43(1968)年に初演された作品。尾上松緑演じる伝九郎が、坂東巳之助演じる松平成信が幽閉されている廃墟の御殿へ泥棒に入ったことがきっかけとなり、心の交流が生まれていく。強面ながらどこか愛嬌があって情け深い泥棒と、気高くも厭世的な悲運の若殿。立場の異なる二人の絆を描いた切なく温かい物語に、客席は感動に包まれた。

第二部は、『於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)』で幕開け。惚れた男のために悪事を働く「悪婆」と呼ばれる役柄の坂東玉三郎演じるお六と、片岡仁左衛門演じる強悪な喜兵衛の夫婦。二人は、河豚にあたった男の死体を利用し、油屋を強請って金を手に入れることを思いつき……。本演目は夫婦の風情には凄みが漂い、四世鶴屋南北らしさあふれる作品。仁左衛門と玉三郎が魅せる、悪の魅力をたっぷりと堪能できる。また、灸をすえる場面では手指を消毒する仕草が取り入れられ、丁稚長太役の寺嶋眞秀がハキハキと「これで安心、安全」と言うと、客席は笑いに包まれた。

二幕目の『神田祭(かんだまつり)』では、仁左衛門演じる粋な鳶頭と、玉三郎演じる艶やかな芸者が江戸の風情を賑やかに舞い踊る。本作では、神田祭の様子を清元の舞踊にした華やかな舞台を楽しめる。

第三部は、十七世中村勘三郎三十三回忌追善狂言を、十七世の孫にあたる中村勘九郎・中村七之助兄弟、そして曾孫にあたる中村勘太郎・中村長三郎兄弟の出演により上演する。
一幕目は『奥州安達原 袖萩祭文(おうしゅうあだちがはら そではぎさいもん)』。十七世勘三郎が当り役として度々上演した袖萩と貞任の二役を、七之助が初役で袖萩を、勘九郎が袖萩の夫・貞任を勤める。また、袖萩と貞任の娘お君を勘九郎の次男・長三郎(7歳)が演じることでも話題となっている。また、中村梅玉、中村東蔵、中村歌六、中村芝翫はじめ、追善に相応しく豪華な顔ぶれが揃っている。
二幕目は、『連獅子(れんじし)』。親から子へと中村屋が大切に演じてきた歌舞伎舞踊の大曲で、当月は、狂言師右近後に親獅子の精を勘九郎が、狂言師左近後に仔獅子の精を勘九郎の長男・勘太郎が勤め、親子の情愛と豪快な毛振りを披露する。勘太郎が、本興行では最年少の9歳という若さで仔獅子の精に挑む舞台に期待したい。

歌舞伎座では、引き続き出演者・観客は各部総入れ替え、客席数は50%を維持して公演を行う。また、緊急事態宣言の発出に伴う行政よりの協力依頼を受け、当初発表の開演時刻を各部とも繰り上げ、第三部は午後8時までに終演する。歌舞伎座はお客様に安心して歌舞伎をお楽しみいただけますよう、換気や消毒を徹底するなど、今後も感染予防対策に万全を期してまいります、とのこと。

『二月大歌舞伎』は2月27日(土)千穐楽まで、歌舞伎座で上演中。

※写真の無断転載禁止
※公演が終了しましたので舞台写真の掲載を取り下げしました。