ゴジゲン待望の新作公演『朱春(すばる)』が2021年4月1日(木)より下北沢ザ・スズナリにて上演される。開幕を一週間後に控えた3月下旬の稽古場レポートが届いたので、紹介する。

主宰・松居大悟が何度も推敲を重ねてきた脚本がついに完成した。この日は初めての通し稽古である。

松居大悟

松居大悟

解散を決めた6人組お笑いユニットが、最後の演目を終え温泉宿の一室で語らう場面から物語は始まる。解散発表をどうするか話していると、隣の部屋から若者たちの騒ぐ声が聞こえ過去を思い出したり、真面目な話をしようとしても、どうしても脱線してしまったり……。そんな登場人物たちに笑わせられながらも、温泉宿という場面設定も相まって、どこか哀愁漂う雰囲気が作り込まれている。

善雄善雄

善雄善雄

本折最強さとし

本折最強さとし

タイトルの「朱春」は“青春”を過ぎても“朱夏”(人生の真っ盛りの壮年期)になりきれない男たちを表す。作中では、年を重ね若者の時代を通り過ぎた大人たちと、これから大人になる若者の姿、どちらも描かれている。若者役も同じくゴジゲンの劇団員が演じ分けることで、一層切なさを感じた。観劇しながら彼らに共感し、自らの過去に思いを馳せる人は少なくないだろう。ゴジゲンの特徴である、些細な情景を切り取り、誰もが知っているのに置いてきぼりにしていた感情にそっと触れる作風がより色濃く表れている。


後半では、目次立樹演じるお笑いユニットのリーダー権田を取り巻く、思いもよらぬ展開で物語が加速し、余韻たっぷりの結末へと収束していく。ゴジゲン初進出となるザ・スズナリの舞台構造を効果的に使った演出を予定しているそうで、期待が高まる。

奥村徹也

奥村徹也

(左から)目次立樹、東迎昂史郎

(左から)目次立樹、東迎昂史郎

稽古を終えると三々五々帰っていく劇団員たち。決してずっと一緒になんていないけれど、明日また稽古が始まれば“ゴジゲン”にいつでも戻れる。そこには、まさに「朱春」の登場人物たちに通ずる彼らの姿があった。

東京では日々暖かさが増し、桜の満開が観測された。心置きなく花見を楽しむことができない昨今、春真っ只中の若者は勿論、春を懐かしむ全ての人に「朱春」を劇場でぜひ見届けてほしい。

公演は4月1日(木)から4月11日(日)まで下北沢ザ・スズナリにて。4月10日(土)14時、19時は配信公演もあり。チケットは好評発売中。


写真=関信行