「座ってなんかいられない!もっと、クラシックを自由に楽しもう!」という新しい時代のクラシック音楽の楽しみを提案し、2018年、19年と国内最大の全野外型クラシック音楽祭としてセンセーショナルな話題を巻き起こした『STAND UP! CLASSIC FESTIVAL(スタンドアップクラシックフェスティバル)』。通称“スタクラ”が、2021年、さらなる進化を遂げて戻ってくる。

2021年は「PIANISM」がテーマ。5月3日(月・祝)、ゴールデン・ウィークのまっただ中に開催される『スタクラピアニズム』は、本来は2月に開催予定だったが、緊急事態宣言の発令とともに延期。晴れて、今回の開催が決定した。

今、最も目が離せない4人の男性ピアニストたちがクラシックの殿堂サントリーホールの大ホールを舞台に繰り広げる夢の”饗演“は、もちろん、フェスティバルのエキサイティング感も満載。当日のナビゲーターには、こちらも今を時めくヴォーカルグループ「LE VELVETS」の日野真一郎が決定。ナビゲーターだけでなく歌唱も披露する予定だという。

公演までいよいよ1ヶ月と迫る3月末、出演予定の4人のピアニストたちにイベントにかける意気込みを聞いた。インタビュー第一弾(当記事)では、出演予定の4人のうち高木竜馬と大井健をご紹介する。

Vol.1 髙木竜馬

舞台は誰もが憧れるサントリーホール。私にとって特別なものとなるはずです。
私自身も目一杯楽しみたいです!
 
髙木竜馬

髙木竜馬

インタビューのトップバッターは髙木竜馬。ウィーンと日本間を行き来する多忙な日々を送る髙木竜馬。昨年春、ウィーンで過ごした自粛期間中に、音楽というものの存在意義を問い続けたという。「自分自身を奮い立たせ、寄り添ってくれるものこそが音楽」と認識することができた、その日々の思いを忘れずに、「日本を世界一のクラシック大国にしたい」という信念を抱き続ける。髙木の情熱とパワーあふれる演奏を、臨場感あふれる客席空間やライブ配信でじっくりと味わいたい。

ピアニストとしての日々の鍛錬はもちろんのこと、ストイックに身体を鍛えたりと、自分自身に厳しいタイプに思えるが、今回の“フェスな”ステージを通して、ちょっとお茶目な髙木の素顔に出合えるかもしれない。

――まず始めに、スタクラピアニズムにかける髙木さんの意気込みをお聞かせください。

2018年に初めて赤レンガ倉庫で開催されたスタクラフェスに参加させて頂きました。日本でもクラシック音楽をメインに据えた大規模な“野外フェス”が開催されたことに、大きな感動を覚えました。どのお客様も笑顔があふれていて、横浜の潮風の薫りとともに、活気と熱気に満ち溢れた空気を肌で感じた時、日本のクラシック音楽の歴史に新たな一ページが刻まれた瞬間に立ち会えた幸せを噛みしめました。

長い歴史とともに育まれてきた深い伝統と文化を研究し、演奏を通してその素晴らしさと尊さを伝えること、そして後世に紡いでゆくことは、クラシック音楽に携わる身として最も大切だと考えています。そして、同時に、新たな可能性を見出して、さらなる発展に寄与することも重要です。今回のスタクラピアニズムでも、これら二つの要素が見事に溶け合った素晴らしい舞台となるよう、そして、今回はストリーミング配信もありますので、一人でも多くの方に、クラシックの素晴らしさと、「クラシックはこんなに楽しいんだ!」ということを感じて頂けるよう、精一杯演奏したいと思っています。

髙木竜馬

髙木竜馬

――約30分間のソロ演奏パートは、どのようなステージにしたいと考えていますか?

今回、ベートーヴェン、ショパン、グリーグの名曲を演奏する予定です。それぞれ何度も何度も舞台で演奏をしてきましたが、そのたびに新しい発見があり、不朽の名作であることの意義を実感しています。作曲家が遺した楽曲の偉大さと、私がそれぞれの曲に対して抱いている尊敬の念と愛情を、来場してくださったお客様、配信をご覧くださるお客様にお伝えできたらと考えています。今回の舞台は、誰もが憧れるサントリーホール。私にとっても特別な舞台となるはずです。同時に、今回はフェスでもありますので、私自身も目一杯楽しみたいです!

――髙木×角野(※同じく出演する角野隼斗)デュオで、ブラームスのハンガリー舞曲が聴けると伺いました。お二人が、どんな演奏を繰り広げるか楽しみで仕方ありませんが、アドリブ的なサプライズなども大いに期待できそうですか?

角野さんはクラシック音楽とその他のジャンルの音楽の境界線を越えて自由自在に活動しています。YouTubeのライブ配信を何度も拝見しましたが、アレンジの巧みさ、どのような脳内回路なのだろう?!と思うほどの凄まじい即興力に驚嘆しています。テンペラメント(感情の起伏などの表現)に満ちて、音楽を演奏する歓びにあふれた角野さんとの共演が、今から楽しみで仕方ありません。デュオについては、まだ打ち合わせなどはしていませんが、初共演ですので、事前にリハーサルを通して理解を深め、お互いの音楽への愛が弾け合う(はじけあう)、そのような舞台にできたらと考えています。

――髙木さんは、一年を通してウィーンに住んでいる日数のほうが多く、サッカーも大好き、お酒もかなり大好きと、正統派ピアニストの顔を持つ髙木さんからは、想像できない面もお持ちですね。今回のイベントでは、トークタイムもあるようですので、もし、髙木さんの素顔や日常について、MCに問われたとしたら、ご自身のどのような点を一番アピールしたいですか?

まず、次回のコンサートツアーの告知をさせて頂きたいです!お酒のことを話すのは少し気が引けるので(笑)、ウィーンの日常や趣味のことをお話できたら嬉しいですね。

ちなみに、この記事を読んだ方々だけに、ちょっとだけ……私の音楽以外の趣味:サッカー、ランニング、散歩、路地探索、サウナ、ラーメン……です。

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Vol.2 大井健

誰もイメージしたことのない「クラシック」がまだあるはずです。
お客様とアーティストみんなで未来をつなぐコンサートにしたいですね!
 
大井健

大井健

6月の新アルバムリリースとともに、6月4日(金)から9月19日(日)にかけて、北は北海道から西は九州までの日本全国12都市、オール・クラシック作品によるソロリサイタルツアーも予定されている大井健。昨年、ピアノデュオ「鍵盤男子」を勇退し、自らの道を歩み始めた大井は、今、ノリに乗っている。オンラインサロンをいち早く設立し、日頃から、あらゆるデジタル・デバイスを駆使してファンとの交流や意見交換を絶やさないのもアーティストとしての大井らしい魅力だ。つねに肩ひじの張らないクラシック音楽空間を創りあげることに全力を注いでいる大井が繰り出す数々のパフォーマンスに期待も高まる。

――まず始めに、『スタクラピアニズム』への期待や思い、意気込みをお聞かせください。

スタクラには2018年にも出演させて頂きました。心地よい潮風に吹かれて、クラシックアーティストとお客さんが一緒に楽しむ光景に嬉しさが込み上げたのを覚えています。ロックの野外フェスにアーティストとして参加したことがあるのですが、実は、フェスの空気感に嫉妬していたんです(笑)。ずっと、「クラシックでもできるはず」と思っていまして……。そんな思いが実現して本当に嬉しかったんです。

コロナ禍においては、イベントのあり方を根底から見直さなければいけなくなりましたが、スタクラは、今後、どのように形を変えたとしても、“イズム”という思いを継承して、息の長いイベントとして続いてゆくよう、僕自身もお手伝いができたら嬉しいです。

――約30分間のソロステージは、どのようなものにしたいと考えていますか? 

クラシックはもちろん、僕自身が作曲したオリジナル作品も演奏したいと考えています。「鍵盤男子」の活動で演奏していたナンバーも久しぶりに演奏したいですね。

大井健

大井健

――先日、3月14日(日)に東京で開催された『大井健presents ワインとピアノ 極上のマリアージュ』ホワイトデー公演では、LE VELVETSの宮原浩暢さんと共演されました。今回も、MCを務める(LE VELVETSの)日野真一郎さんとの歌×ピアノ共演が期待できそうでしょうか?

オペラのコレペティトールから演奏活動を開始したので、僕にとって、“伴奏”は自分自身を構成する大事な要素です。歌を聴きながら、その場でアレンジして場を盛り上げる、そんな立ち位置が大好きなんです。本番では、日野さんとぜひ共演できたらいいなと思っていますが……。もし実現したら、ブラボーの代わりに大きな拍手をくださいね!

――大井さんは、日頃から肩ひじの張らないクラシックコンサート開催やファンとの交流を熱心に心がけていますが、今回のようなGW中の大きなイベントで、日頃の思いをどのようなかたちでお客様に伝えられたらいいなと考えていますか?

オペラユニット「The Legend」やピアノデュオ「鍵盤男子」の活動を通して、クラシックの持つ柔軟性に気づかされました。表現方法はもちろん、鑑賞する場のあり方もさまざまです。最近はストリートライブでクラシックピアノが鳴り響く光景をよく見かけますよね。10年前では考えられなかったことです。僕自身も、クラシックの凄みは、容易に形を変えられるしなやかさと柔軟性の高さにもあるのではないかと考えています。誰もイメージしたことのない「クラシック」がまだあるはず!今回の「PIANISM」は、お客様とアーティストみんなで未来をつなぐコンサートにしたいですね。

『STAND UP! CLASSIC PIANISM』は、2021年5月3日(月・祝)14:00開演。サントリーホールでの会場公演のほか、イープラス「Streaming+」でのライブ配信(アーカイブあり)も予定されている。来場券・視聴券はともに4月3日(土)10:00より販売開始だ。

取材・文=朝岡久美子