おうちをシアトリカルなエンタメ空間に! いま、自宅で鑑賞できる演劇・ミュージカル・ダンス・クラシック音楽の映像作品の中から、演劇関係者が激オシする「My Favorite 舞台映像」の3選をお届けします。(SPICE編集部)

 

ホーム・シアトリカル・ホーム〜自宅カンゲキ1-2-3  [vol.47] <宝塚編>
4月の「TAKARAZUKA SKY STAGE」​お勧め3作品の見どころ紹介​ by 藤本真由

 
【1】『EXCITER!!』('10年花組・宝塚)
【2】『DANCE OLYMPIA-Welcome to 2020-』('20年花組・東京国際フォーラム ホールC)
【3】『SUPER VOYAGER!−希望の海へ−』('18年雪組・東京・千秋楽)

 

宝塚歌劇専門チャンネル「TAKARAZUKA SKY STAGE」の4月放送のラインアップより、見逃せない3作品の見どころをご紹介!

【1】『EXCITER!!』('10年花組・宝塚)

『EXCITER!!』(’10年花組・宝塚)

『EXCITER!!』(’10年花組・宝塚)

 近年の花組を代表するショーといえば、多くの人が真っ先に名前を挙げるであろう作品が、藤井大介作・演出の『EXCITER!!』である。ノリのいい楽曲、真っ赤なコスチュームに身を包んだ出演者たちによる、「♪バチバチバチ ショートする熱視線で」とのパッショネイトな歌詞に合わせた振りも印象的なこのショーは、花組男役陣のかっこよさ、花組娘役陣のセクシーさ、その真髄を余すことなく伝えてくれる。2009年に真飛聖&桜乃彩音のトップコンビのもと初演され、2010年にはトップ娘役に蘭乃はなを迎えて再演。2017年には明日海りお&仙名彩世のトップコンビのもと、『EXCITER‼︎2017』として全国ツアー公演にて上演され、翌2018年には『EXCITER‼︎2018』として、柚香光、水美舞斗、華優希、舞空瞳らの出演で全国ツアー公演にお目見えした。今では花組の熱い心意気を伝える演目としてすっかり人気作品となっているが、2010年の上演の際は、場面の変更等があるとはいえ、初演から1年も経たないうちに同じショーが再演されるのか……と思ったことも事実。しかしながら、花組生は一丸となってこのショーの再演に挑み、花組のヒット演目へと育て上げた。その上でも、2010年公演(『麗しのサブリナ』と2本立てで上演)の意味は非常に大きかった。

 なかでも人気を呼んだのが、トップスター真飛聖が眼鏡姿&アニメ声でキュートに演じる平凡なサラリーマンMr.YU。ツキもない彼は冴えない日々を送っているが、「チェンジBOX」に入って、あっという間に究極のイケメンに変身! 弱気だったのが、キャラまで、“ノーなんて言わせない”と超強気自信満々モードにチェンジする。Mr.YUは真飛の当たり役となり、サヨナラショーにも登場した。かっこよく変身してからも実は大好きなパンダがあしらわれているスーツを着ているかわいいMr.YUにご注目!

放送:2021年4月26日(17:45)

 

【2】『DANCE OLYMPIA-Welcome to 2020-』('20年花組・東京国際フォーラム ホールC)

『DANCE OLYMPIA』-Welcome to 2020-('20年花組・東京国際フォーラム ホールC)柚香光

『DANCE OLYMPIA』-Welcome to 2020-('20年花組・東京国際フォーラム ホールC)柚香光

 『EXCITER!!』の真飛聖の花組男役DNAを濃厚に受け継ぐのが、現花組トップスターの柚香光である。その柚香のトッププレお披露目公演となったのが、2020年1月、東京国際フォーラム ホールCで上演されたダンス・コンサート『DANCE OLYMPIA』。作・演出は稲葉太地。東京オリンピック&パラリンピックが開催される予定だった2020年の幕開きを飾る公演ということもあり、華やかなスポーツの祭典を意識しての演出があちらこちらに施されていた。柚香は、第一幕では、現代にタイムスリップしてしまったギリシャ神話の英雄アキレウスに扮しているのだが、見慣れない現代の事象のあれこれに突っ込むその“心の声”のとぼけ具合に、大いにコメディセンスを感じさせて。第二幕では、エネルギッシュな和太鼓の場面、スパニッシュの場面、そして、宝塚最古の組の一つである花組が上演してきた作品の歌でつづる場面などが、バラエティ豊かに繰り広げられていく。

 まだほんの下級生の時代から、舞台上で強烈に放つ「俺を見ろ!」の心意気が頼もしかった柚香光だが、この公演でも、これがトッププレお披露目とは思えないような堂々たる舞台を展開。花組育ちの男役のかっこよさを存分に発揮し、出演者をぐいぐいと率いていく。スパニッシュの場面では、宝塚の男役ならではのストイシズムが、フラメンコのピンと張りつめた精神世界にマッチして、見応えのある場面となっていた。彼女のダンスはエレガントながらキレ味があり、跳躍にも浮遊感を感じさせる。その後、宝塚大劇場でのトップお披露目公演『はいからさんが通る』では当たり役である伊集院忍少尉役で好演を見せ、今年に入って上演された『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』ではブロードウェイ・ミュージカルに挑戦してコメディセンスを発揮するなど活躍中。そんな柚香の魅力が堪能できる作品だ。

放送:2021年4月18日(21:00)、22日(20:00)、25日(15:00)、27日(24:00)※5月放送もあり

 

【3】『SUPER VOYAGER!−希望の海へ−』('18年雪組・東京・千秋楽)

『SUPER-VOYAGER!』−希望の海へ−('18年雪組・東京・千秋楽)望海風斗・真彩希帆(左)

『SUPER-VOYAGER!』−希望の海へ−('18年雪組・東京・千秋楽)望海風斗・真彩希帆(左)

 2021年4月11日、『fff−フォルティッシッシモ−〜歓喜に歌え!〜−ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン−』『シルクロード〜盗賊と宝石〜』東京宝塚劇場千秋楽をもって、雪組トップコンビ、望海風斗&真彩希帆が、宝塚生活に別れを告げる。『SUPER VOYAGER!−希望の海へ−』は、そんな二人のトップお披露目公演として上演されたレヴュー作品である(『ひかりふる路(みち)〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』と2本立てで上演)。作・演出を担当したのは野口幸作。ショー&レヴュー作品を主に手がけてきており、ブロードウェイ・ミュージカル『ON THE TOWN』(2019)の潤色・演出にもあたった経験がある。望海風斗と真彩希帆の二人は、それぞれの芸名にある一字ずつを組み合わせて“希望コンビ”と呼ばれているのだが、その語もタイトルに織り込み、新生雪組の“船出”を祝うべく、「望(HOPE)」「海(OCEAN)」「風(WIND)」「斗(BIG DIPPER)」と、トップスター望海風斗の芸名にちなんだ場面を展開していくという凝りよう。横浜市出身の望海にふさわしく、青と白を基調にしたマリンルックで出演者が居並ぶ場面はスタイリッシュな色彩感覚が見どころである。トップになってからの望海は、お披露目公演の革命家ロベスピエールに始まり、退団公演の作曲家ベートーヴェンに至るまで、どこかクセのある役柄をたびたび演じて好評を得てきたが、この作品ではさわやかな魅力を大いにふりまいている。ちなみに、望海といえば、宝塚ファン時代、月組トップスターだった天海祐希に憧れていて、彼女に語りかけるような日記を書いていたという微笑ましいエピソードが広く知られるところなのだが、この作品ではなんとそのエピソードまで採用。その名も<DIARY−夢の宙船−>なる場面の歌詞に出てくるフレーズに、ぜひご注目を!

放送:2021年4月10日(14:45)※放送済

 

文=藤本真由(舞台評論家)