『「錆色のアーマ」外伝 -碧空の梟-(あおのふくろう)』が2021年4月15日(木)、東京・品川プリンスホテル クラブeXにて開幕した。舞台版を皮切りにメディアミックス展開を行う“逆2.5次元”プロジェクトとして、2017年に上演されてきた舞台『錆色のアーマ』の第三弾。開幕直前に行われたゲネプロの模様をお届けする。

『錆色のアーマ』は、戦乱の世で天下統一を夢見た男たちの生き様を描いたオリジナルストーリー。舞台版では“アーマ”と呼ばれる武器を携えた男たちの集団・雑賀衆の頭である孫一(佐藤大樹)と織田信長(増田俊樹)らの死闘が描かれてきた。本作は、秀吉との戦を脱し、紀州の山奥に里を移そうとしていた紀ノ國、雑賀衆を軸に新たな物語が描かれる外伝となっている。


本作での鍵を握るのは、日の御門に仕える精鋭集団“梟”。各地に散る神器・十種神宝(とくさのかんだから)を求め暗躍し、なかでも橘 東雲(仲田博喜)、橘 未布留(櫻井圭登)、橘 羽矢十(富園力也)の橘三兄弟は最強とうたわれていた。





橘三兄弟が熊野の神域を目指していた頃、雑賀衆もまた熊野権現に里神を迎える願いを立てに向かっていた。紀の国筆頭・藤白(石渡真修)と鶴首(荒木健太朗)、黒氷(平田裕一郎)、アゲハ(神里優希)の三人のアーマ使いが登場する。



さらに、妖である茨木童子(佐藤永典)と酒吞童子(田中しげ美)も神器を求め、同じ場所を目指していた。三つの勢力が邂逅し、禊の試練を果たすうちに、過去の因縁が明らかになっていく。




シリーズに新たな彩りを与えた橘三兄弟。次男・東雲は剣の達人として圧倒的な強さを誇りながらも、事あるごとに“一人反省会”をして落ち込んでしまう性格で、人間味あふれる人柄が印象的だった。弟二人を溺愛する長男・未布留はどこか掴みどころがなく、抜群の存在感。兄たちを尊敬してやまない三男・羽矢十の無邪気さにも心が和み、些細な掛け合いからも兄弟の絆と信頼感を垣間見ることができた。



同シリーズの見どころのひとつが、アーマなどの武器を使った戦闘シーン。円形舞台が最大限に活用され、間近で見られるのも本公演の醍醐味だろう。宿敵同士だけではなく、意外な組み合わせによる対決も繰り広げられ、ダイレクトに伝わってくる気迫に何度も息を飲んだ。


ラストには、宴の時間と題したライブパートが。しっとりと歌い上げて物語の余韻に浸ったかと思えば、お祭り騒ぎなナンバーへ。エンディングまでテンションが上がりっぱなしだった。


本編でも重要な要素となる、雑賀衆にまつわる過去が明らかになる場面もあり、今後の展開が楽しみになる物語となっていた。シリーズの動向としては、コミカライズ第二弾『錆色のアーマ 黎明』が『月刊コミックジーン』(KADOKAWA)6月号より連載が開始される。ぜひ併せてチェックしてみたい。

スタッフ・キャスト  コメント

■演出・上演台本: 元吉庸泰
1年間、羽を休め続けた梟がようやく飛び立つことができます。
稽古場ではできうる限りの感染対策をしつつ、俳優たちとスタッフにより『錆色のアーマ』を体現する演劇作品が組み上がっています。まだまだとても不安定な世の中、舞台作品を作り、上演できる喜びを噛み締めつつ。
私たちにできることは、安心してお客様全員が楽しめるようになるまで、しっかりと歩くことだと思います。
外伝、碧空の梟。私たちにできることを精一杯詰め込みました。
劇場で、配信で、そしてこの先の未来のどこかで。この物語を楽しんでくだされば嬉しいです。

■橘 東雲 役: 仲田博喜
お待たせしました。皆の思いが繋がり、いよいよ『錆色のアーマ』が開幕いたします。
一年越しの思いも、今やるからこその意味も、しっかりと舞台の上で熱量に変えて届けたいと思います。
“逆 2.5 次元”、自分たちの生き様が原作になる。
橘兄弟を愛してもらえるように、そして雑賀衆も妖も、どのキャラクターも魅力的なので是非色んな生き様を観てもらえたら嬉しいです。
円形劇場ということで、それぞれの席からしか見られない表情もあるかと思います。僕自身初の円形の舞台、その空間を楽しみたいと思います。本編終了後にはライブパートもあるので、そちらもお楽しみに!
千秋楽まで全員で駆け抜けていきたいと思いますので、最後まで応援よろしくお願いします。

■鶴首 役: 荒木健太朗
2017年にスタートした舞台『錆色のアーマ』がこの度、外伝として上演されることとなりました。当初は昨年にお披露目される作品でしたが、新型コロナウイルスの影響により中止となり、また、こうして皆様にご観劇いただけると思うと喜びもひとしおです。
今作は、雑賀衆の過去の蟠り、後悔、橘兄弟の願いと許しの話です。はじめて『錆色のアーマ』を観る方にも楽しんでいただけるものになっていますし、シリーズのファンの方には色々解明される部分もありますので楽しんでいただければと思っています。残念ながら劇場に足を運べない方も配信もありますので、是非ご利用ください。
また『錆色のアーマ』は舞台先行でそこからメディアミックスへ派生していく、いわゆる“逆2.5次元”として展開していくのも魅力です。こちらの方も今後の吉報をお待ちください。
千秋楽まで一つひとつ大事に精進して参ります。キャスト、スタッフ一同、お待ちしております。

取材・文・撮影=潮田茗