2021年4月16日(金)東京・あうるすぽっとにて、FICTIONAL STAGE『亡国のワルツ』が開幕した。

今作は、毛利亘宏(少年社中)が作・演出する完全オリジナルの新作演劇作品。虚構の“日本”を舞台に毛利がこれまでにない社会派な作品をエンターテインメントにして上演する。

前山剛久、廣瀬友祐、北原里英、荒井敦史、廿浦裕介、長谷川太郎、多和田任益(梅棒)、奥田達士、小川菜摘の総勢9人の出演者が、革命家たちに紛れ込んだスパイを探すというスリリングな密室劇であり、激しいダイアローグがぶつかり合う会話劇に挑む。

このたびゲネプロのオフィシャルレポート、囲み取材での前山、廣瀬、北原、小川、作・演出を務める毛利のコメントおよび出演者のコメントが到着したので紹介しよう。

<ゲネプロ リポート>

冒頭、舞台上に戦闘服を着た一人の男——タナカ(廣瀬友祐)が現れる。周囲に響く銃声や通信している相手への発言から、彼が戦争の渦中にいることが想起され、幕開けから会場に緊張感が走る。軍事組織である自衛軍の存続と解散について世論が割れ、国家のあり方が問われている虚構の日本を舞台とした本作。その世界に暮らす日本人の危機感が提示されるシーンでもある。

カメラマン:金丸圭

カメラマン:金丸圭

カメラマン:金丸圭

カメラマン:金丸圭

カメラマン:金丸圭

カメラマン:金丸圭

 場面は変わり、廃れたアジトで革命家たちが仲間の到着を待っていた。ラジオから流れる、戦争を憂うリスナーからの投稿を読み上げるアナウンサーの声が、この国の現状を示唆している。快活なキャラクターのサトウ(多和田任益)、サトウのおしゃべりに仕方なく付き合いながらも、どこか影を感じさせるスズキ(前山剛久)、インテリ感ある立居振る舞いのヤマモト(荒井敦史)。3人が当たり障りのない挨拶を交わしていると、飄々としたタカハシ(廿浦裕介)、革命家で唯一女性のワタナベ(北原里英)、そして、タナカがやってくる。彼ら6人は、自衛軍解散を阻止するべく首謀者のルドラによって、首相誘拐というひとつの目的のために集められたはずだった。

カメラマン:金丸圭

カメラマン:金丸圭

カメラマン:金丸圭

カメラマン:金丸圭

 誘拐は成功したものの、裏切り者の存在によって1人が負傷、首相の断罪においても意見が食い違い、革命家たちは対立する。裏切り者をあぶり出す中で、絡み合っていたそれぞれの真意と欺瞞、関係性が明らかになり、事態は思わぬ方向へと向かっていく。

カメラマン:金丸圭

カメラマン:金丸圭

カメラマン:金丸圭

カメラマン:金丸圭

カメラマン:金丸圭

カメラマン:金丸圭

カメラマン:金丸圭

カメラマン:金丸圭

 ワンシチュエーションで展開される、探り合いや駆け引きといった心理戦に引き込まれる90分。張り詰めた空気の中で交わされる視線や俳優たちの息遣いが感じられ、銃を使った緩急あるアクションシーンも見応えがある。そして、今作の登場人物たちが持つ信念は国民の幸せな生活を願うものであり、誰が正しく、誰が間違っているのか、舞台を超えて自身にとっての正義を考えずにはいられないステージとなっている。劇場でしか体感できないものも確かにありつつ、ライブ配信など、映像ででも伝わる熱い想いや願いを感じて欲しい。

囲み取材 コメント

◆スズキ役 前山剛久

前山剛久 カメラマン:金丸圭

前山剛久 カメラマン:金丸圭

新型コロナウイルスの影響で演劇というものがまだまだすごく辛い状況にある中、この作品を上演できることがとてもうれしいです。

舞台セットに“2020 オリンピック 成功させよう”ということが書いてあるなど、結構攻めている作品なんです。こういうテーマで作った作品はなかなかないと思うのですが、今だからこそ、やる意味がすごくあると思っています。日本が好きか、自分が日本で今どんなことをしているか、などを改めて考えさせられる作品になっているので、そういう部分を感じていただけたら幸いです。

また、毛利さんらしい演出だなと思ったのが、日替わりパートが3か所くらいあるんです。社会派エンターテイメントということでハラハラしたところも見どころですが、笑えるところもあるので、個人的にはそこを楽しみに観ていただくのもいいと思います。

◆タナカ役 廣瀬友祐

廣瀬友祐 カメラマン:金丸圭

廣瀬友祐 カメラマン:金丸圭

とにかく初日を迎えられていることに、喜びと幸せ、安堵をとても感じています。自分たちの仲間でも、新型コロナウイルスの影響を受けて、公演中止だったり、まだ舞台に立てなかったり、場所を奪われてしまっている状況の中で、まずは無事にここまで来れたことがうれしいです。まだまだ、危険と隣合わせの日々が始まりますけれども、だからこそ一公演一公演、命をかけて舞台の上で頑張りたいなと思っています。

この作品は裏切り者がいるということで、この人が怪しいんじゃないかなと第一印象から疑いながら見ても面白いんじゃないかと思いますが、国を愛しているがゆえに強い信念、志をもって革命に身を投じている登場人物たちが生きる物語なので、僕としては舞台を愛している人間として、強い気持ちで強いエネルギーを舞台上から届けられたらと思っています。そういった熱量をとにかく感じていただけたらうれしいです。

◆ワタナベ役 北原里英

北原里英 カメラマン:金丸圭

北原里英 カメラマン:金丸圭

初日を迎えられて、ホッとしているというのが正直な感情です。本当に座組み一同、みんなで気をつけて、初日に向けて対策をたくさん練って稽古してきたので、まずは今日、初日の幕が上がることをとてもうれしく感じています。

革命家のお話ということで、銃を突きつけ合うようなシーンも出てきます。そういったところはお互い、本当に緊張感をもってやっているので、その緊張感の中に皆さんも引き込まれていくのではないかなと思っています。私としては、革命家の中で唯一の女性という役どころなので、女性らしいというよりは強い女性ではありますが、女性という部分を武器にできたらなと思いながら日々演じております。フィクションではあるけれども、今の日本に重なる部分もある演劇ですので、これを観た方にどう感じていただけるのか、お客様の前で上演するのを楽しみにしています。千穐楽まで誰1人欠けることなく走り抜けられるように、気をつけて頑張っていきたいなと思います。

◆草薙美里役 小川菜摘

小川菜摘 カメラマン:金丸圭

小川菜摘 カメラマン:金丸圭

お稽古で積み上げてきたものを今日から千穐楽まで、お客様の前で披露できることを今とてもうれしく思っております。

90分間、息をつく暇がないというか、お客様も確実に手に汗を握るだろうなとも思いますし、革命家たちの中に紛れ込んだ裏切り者をお客様も一緒に、「あの子なんじゃないの?」「彼なんじゃないの?」とドキドキしながら観劇してくださるんじゃないかと思います。私の役どころはちょっと秘密でございますが、これまでの演劇人生の中でこういった役を演じるのは初めてなので、自分でもどうなるのか、とてもワクワクしています。

毛利さんのこの攻めた作品は、観たお客様が絶対何かを自分自身に持って帰れるものだと思っていますし、社会に一石を投じる作品ではないかなと思っております。千穐楽まで頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

◆作・演出:毛利亘宏(少年社中)

作・演出:毛利亘宏(少年社中) カメラマン:金丸圭

作・演出:毛利亘宏(少年社中) カメラマン:金丸圭

初日をあけるということに困難をともなう、当たり前じゃない世の中になったということを噛み締めながら稽古をしておりました。本作は、今の日本を正面から正直に描いてみたいと思った作品です。こういった出口の見えない世の中だからこそエンターテイメントで、この国で生きていくとはどういうことなんだろうということを問いかける、そんな作品になっています。

初めての社会派作品ということで、いつもよりも嘘をつかないということに、すごく重きをおいたように思います。今の日本とは少し違う日本が舞台のフィクションなんですけれども、その世界で生きている人間の感情には嘘がないというところに、とことんこだわっています。また、オリンピックについてどんなことを思うかといった、あまりメディアでは語られていないようなことを舞台で扱ってみたり、そういった正直さにすごく意識をおいて作っていますね。

お客さんと対面したときに、お客さんのリアルに勝てるもの、お客さんと真剣勝負をしたいなと考えて作りましたので、劇場で、皆様に観ていただけることを本当に楽しみにしています。

カメラマン:金丸圭

カメラマン:金丸圭

出演者コメント

【ヤマモト役 荒井敦史】

本日無事にこうして初日を迎えることが出来てうれしく思います。ここからは日々感染対策など気をつけることはもちろんですが、この作品に更に向き合い色々な発見をしていけたらと思っています。作品の見所としては、誰が裏切り者なのか。劇場にお越しいただけるお客様も観劇しながらそれぞれの関係性や思い、その裏切り者を探ってみると面白いと思います。そして何より、役者陣も熱量もそうですが、その場に流れる緊迫した雰囲気なども感じていただけたら。

【タカハシ役 廿浦裕介】

まずは、誰一人欠けることなく全員で初日を迎えられたことを、心からうれしく思っています。稽古場で試行錯誤を重ね作られた作品が、お客様の心にどう届くか、今は期待と緊張で胸がいっぱいです。今回の舞台、稽古開始5日目には全員が台本を離した状態での通し稽古(最初から最後まで止めずに通す稽古)が行えました。責任感が強くお芝居に誠実な方々と共演できることに、只々感謝あるのみです。キャスト9人が作り上げる濃密な空気感、そして終盤に向かう怒涛の展開は必見。是非、劇場で目撃して下さい。お待ちしております。

【公安諜報員役 長谷川太郎】

稽古は常にマスクをしながらでしたが、そんなことを忘れるくらいの熱量でした。きっと本番はより凄いものに仕上がると確信してます。【亡国のワルツ】は今だからこそ生まれた作品だと思っています。「そぎおとした」というよりは「必要なものだけ」ですね。最後まで走り抜けられるように万全の対策をして、お届けします。シンプルかつソリッドな劇空間を是非楽しんでいただきたいです!

【サトウ役 多和田任益(梅棒)】

今の情勢の中で、幕を開けられること、舞台に立てることを、感謝しています。今回の9人の中で、荒井くんと僕が最年少なのですが、本番では先輩方から会話劇を通してさらに様々なことを吸収させていただこうと思います。昨年から生き方について改めて考え始めた方もきっと多いと思う中で、それぞれの意志、信念をもった人間たちのぶつかり合いは今だからこそ訴えかけるものがきっとあると感じています。これほどまでに真剣に、大事な何かのために命をかけて生きている人間がいるんだ、という生き様をお客様に届けられたらいいなと思います。それと、少年社中のお2人の日替わりタイムがあるのですが、毎回ツボをつかれるので、笑ってしまわないように頑張ります(笑)。

【草薙清貞役 奥田達士】

かつて無いほどのデリケートさで、大切に、大切に、毛利さん演出のもと、スタッフ一同、俳優一同で、こしらえてきた芝居です。過保護な育ち方をした芝居ですが、中身は過剰なほど突っ張った芝居になりました。初日を迎え、お披露目となるわけですが、芝居は消え去るから美しいと、私は思っていました。だけど、それは変わりました。今は、こう思うのです。お客様が御覧になり、一緒に過せる一瞬一瞬が、心の片隅に、ほんのわずかで構わないから、残るのであれば、本当に幸いだと。それが、今、かけがえのないものなのだと。