りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館専属舞踊団 Noism Company Niigata(ノイズム・カンパニー・ニイガタ)が、2021年7月、『春の祭典』など芸術監督の金森穣演出振付の4作品を、りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館〈劇場〉(7月2日〜4日)、彩の国さいたま芸術劇場〈大ホール〉(7月23日〜25日)、札幌文化芸術劇場 hitaru(7月31日)にて上演する。このほど金森が令和3年春の褒章において紫綬褒章を受章したが、受章後初の公演となる。

Noism0+Nosim1+Noism2『春の祭典』(2020年) 撮影:村井勇

Noism0+Nosim1+Noism2『春の祭典』(2020年) 撮影:村井勇

イーゴリ・ストラヴィンスキー作曲《春の祭典》は、1913年に初演された。ストラヴィンスキー一流の不協和音が奏でる強靭なエネルギーは、音楽・舞踊を始めとする多くの芸術に影響を及ぼしてきた。初演時のヴァーツラフ・ニジンスキー、金森の師でもある巨匠モーリス・ベジャール、鬼才ピナ・バウシュらによる舞台は一世を風靡し、今も踊り継がれる。

Noism0+Nosim1+Noism2『春の祭典』(2020年) 撮影:村井勇

Noism0+Nosim1+Noism2『春の祭典』(2020年) 撮影:村井勇

そうした偉大な先人の業績を踏まえた先に生まれたのが、金森演出振付のNoism版『春の祭典』(出演:Noism0、Noism1、Noism2)だ。金森のインスピレーションの基となったのは、“もし《春の祭典》を演奏するオーケストラが踊り出したら?”。オーケストラの演奏者それぞれのパートをダンサーたちが担うことによって、「音楽の精神、人間という生物の精神的痙攣を表現できるかもしれない。21 世紀の生贄達を表現できるかもしれない。 これが、私が『春の祭典』創作に着手する動機である」と金森は明かしている。

Noism0+Nosim1+Noism2『春の祭典』(2020年) 撮影:村井勇

Noism0+Nosim1+Noism2『春の祭典』(2020年) 撮影:村井勇

元々は2020年夏の本公演で《春の祭典》に挑む予定だった。だが、感染症対策のため規模を縮小して「プレビュー公演」という形で公開された。今年は奇しくもストラヴィンスキー没後50年、満を持して本公演に登場する。プロフェッショナル選抜メンバーによるNoism0(ノイズムゼロ)、プロフェッショナルカンパニーNoism1(ノイズムワン)、研修生カンパニーNoism2(ノイズムツー)の3つの集団の総力を結集して世に問う新たな『春の祭典』に刮目したい。

Noism0+Noism1『FratresⅢ』(2020年) 撮影:村井勇

Noism0+Noism1『FratresⅢ』(2020年) 撮影:村井勇

『Fratres Ⅲ』(出演:Noism0、Noism1)の音楽はアルヴォ・ペルトの《Fratres》で、『春の祭典』と同様、昨年の「プレビュー公演」において初演された。Noismにおける集団性を追求した連作の最終章であり、金森のソロと群舞がせめぎ合う。金森は「個人の献身(祈り)と集団の献身(祈り)は融合する事なく拮抗し“続ける”。そう、続くということこそが本作における祈りの主題である」と述べる。精神性が高く研ぎ澄まされた踊りに圧倒されるだろう。

Noism0『夏の名残のバラ』(2019年) 撮影:篠山紀信

Noism0『夏の名残のバラ』(2019年) 撮影:篠山紀信

そして、芸術選奨文部科学大臣賞、日本ダンスフォーラム賞大賞受賞記念として、金森の『夏の名残のバラ』(出演:Noism0、2019年初演の『シネマトダンス–3 つの小品』より )を再演する。長年Noismの屋台骨を支え続け、金森の創造の源泉として活躍する井関佐和子(副芸術監督)に捧げられた佳作だ。今春、井関が芸術選奨文部科学大臣賞を、金森が日本ダンスフォーラム賞大賞を受賞したが、双方の授賞理由に挙げられており、この度受賞を記念しての再演が叶う。

映像舞踊『BOLERO 2020』より画像引用

映像舞踊『BOLERO 2020』より画像引用

さらに、映像舞踊『BOLERO 2020』(演出振付:金森穣 編集:遠藤龍)を上映。Noism初の「映像のための舞踊作品」として昨夏創作されオンライン上で公開中の作品を、劇場の大スクリーンで触れる得難い機会になるはずだ。

3つの異なる特性を持つ集団が協働する群舞から、ベテランの円熟した踊り、映像作品上映まで多彩な演目揃い。新潟発Noismの現在が熱く濃く凝縮された公演になるのは間違いあるまい。

文=高橋森彦