2021年4月27日(火)Zepp Hanedaにてツアー最終公演を迎えた『We are The BONEZ Tour 2021』。その模様をレポートする。

2021年4月27日。この日はThe BONEZの歴史における重要な日として記憶されることになるに違ない。去る4月5日、KT Zepp Yokohamaでの公演を皮切りにスタートした『We are The BONEZ Tour 2021』が、この日、Zepp Hanedaで幕を閉じた。すべての演奏を終えたメンバーたちが客席に向けて深々と頭を下げ、「ありがとうございました!」と直球すぎる感謝の言葉を高らかに発したのは、午後9時を少しばかり過ぎた頃のこと。その少し前にJESSEが口にしたのは改めての「心配掛けました。ただいま。」、そしてステージを去る間際に聞こえたのは「ジャパニーズ・バンド代表、The BONEZでした!」という言葉だった。まさにこれら3つの言葉に象徴されるような感謝の気持ち、帰還を果たしたという実感、そしてバンドとしての確信と自負を感じさせられるライヴだった。
 Photo by Yoshifumi Shimizu

 Photo by Yoshifumi Shimizu

このバンドの前身となるJESSE and The BONEZが始動したのは2012年11月のこと。それからすでに8年半もの月日が経過しているわけだが、彼らのこれまでの歩みは決して順風満帆なものではなく、無敵状態での順調な前進を続けたところで思いがけない落とし穴に出くわすような展開の連続だった。そうした波乱万丈にオトシマエをつけ、まさに生まれ変わるべく昨年の5月から7月にかけては『re:BIRTH』と銘打たれたツアーが組まれていたわけだが、言うまでもなく新型コロナ禍の影響によりその全日程が中止に。結果的には、2020年7月に配信された猪苗代湖畔でのライヴが、サポート・ギタリストにKokiを迎えた新体制のお披露目の機会となった。
 
通常通りのライヴができないからこその配信。常にステージを主戦場、存在証明の場としてきた彼らにとって、それはまさに前代未聞のパンデミックゆえの、必要に迫られながらの苦渋の選択だった。そして残念なことに、本来あるべき形でのライヴ開催がままならない状況はいまだに続いている。むしろ、多くのアーティストたちが安全面において万全の態勢を敷きながら公演実績を重ねてきたことで、いくぶん規制が緩やかになりつつあったところで今回の緊急事態宣言再発令に至ったこともあり、ステージに立つ当事者たちばかりではなく、興行に携わる関係者、そしてライヴを日常生活に欠かせないものと考える人たちが今現在受けているダメージには計り知れないものがある。
 Photo by Yoshifumi Shimizu

 Photo by Yoshifumi Shimizu

皮肉なことに、今回のツアー・ファイナル公演は、そうした規制に伴ういくつかの偶然により実現可能になったものでもあった。ふたたび緊急事態宣言が出るとの情報が公になったのは4月23日のこと、そして実際にそれが発令となったのが同25日付のことだった。その日をもって、同日から5月にかけての公演について中止や延期措置の発表が相次ぐことになったわけだが、該当地区でのすべてのライヴについて一斉に中止・延期することには、宣言が週末だったこともあり情報伝達などの面でも無理があると言わざるを得ない。そこで各音楽団体が協議の末に下したのが、4月25日から27日にかけての3日間を経過措置期間とする、という判断だった。

要するに、あまりに急なことで対応調整が追い付かないのも無理はないから、感染拡大防止対策をとったうえでの公演開催であるならばその期間中に限っては許可される、ということ。そしてThe BONEZの公演は、その期間最後の日に組まれていたというわけだ。まさに、滑り込みセーフ。ここで“幸運”という言葉を用いるのは不適切かもしれないが、このライヴが実現に至ったのは、そうした“日付のマジック”の恩恵からでもあったのだった。
 
そうした公演実施に関する経緯、バンドが歩んできた道程の物語といったものを抜きにしても、この日のライヴは足りないものなど皆無だと感じられるほどに素晴らしいものだった。実のところ演奏曲目自体は、4月5日のツアー初日とまったく同じではあった。が、その初日の時点ですら2年ぶりのライヴとは思えないグルーヴやタイトさ、バンド内に発生するリアルタイムな化学反応の素晴らしさが存分に感じれたのに、そうしたすべてがいっそう強力に機能しているのが伝わってきたのだ。それこそがまさに、バンドが生きている、ということの証だろう。ステージ上のJESSEは、「熱しやすく冷めやすい」というのとは違うものの、何かに対する動機が少しでも下降し始めると一気に冷めてしまうという自らの性分を認めながら、ツアー初日に感無量としか言いようのない気持ちになり、だからこそその後の日程について、自分の熱がそれ以下になってしまうのではないかという不安を感じていた、と語っていた。ただ、現実には大阪でも、福岡でも、彼自身の言葉によれば「冷めるどころか燃えた」のだという。そうした各地での公演を経たうえで、まさしく彼らは今現在なりの最高潮というものをこの最終夜に味わうことになったのだった。
 Photo by Yoshifumi Shimizu

 Photo by Yoshifumi Shimizu

“We are The BONEZ”という自らにとっての新たなテーマ・ソングを掲げながら始まった今回の全6公演というコンパクトなツアーは、結果、最高の形で幕を閉じた。確かにオーディエンスの側は不自由を強いられることになった。しかし、オール・スタンディングであるはずのフロアに椅子が並べられていようと、マスク着用が義務付けられ声を発することすら禁じられていようと、演者と観衆の間での意思の疎通は可能だということ、エネルギーの交感は起き得るのだということを、ステージ上の4人のみならず、その場いた誰もが感じていたに違ない。

しかも、物語はそれだけでは終わらなかった。5月29日、『We are The BONEZ Tour 2021 PLUS』と銘打ちながら、このツアーの追加公演が開催されることが決定したのだ。新たな約束の場所は、Zepp Tokyo。もちろんその日までに事態がどれほどポジティヴな方向へと変わっているかはわからないし、油断することは許されない。が、またそこで新たなマジックが生まれ、The BONEZが本当の意味での再生にまた一歩近付くことは間違いないだろう。その場での再会を願いながら、規制だらけの毎日をなんとか安全に切り抜けていきたいところだ。そして、もうひとつ痛感させられたこと。それはライヴというものが時と場合によっては“不急”であることもあるはずだが、絶対に“不要”なものではない、ということである。

(文:増田勇一)
 
追加公演は5月29日にZepp Tokyoにて全席指定、定められたガイドラインを遵守のうえ、感染拡大防止策を徹底し開催される。チケットは現在、プレオーダー受付中となっている。