2021年9月に、KAAT神奈川芸術劇場<ホール>にて上演される、KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『近松心中物語』(全国ツアーあり)。本公演の全キャスト・スタッフ・日程が解禁となった。

本作は、KAAT神奈川芸術劇場2021年度ラインアップ発表会にて発表されていた公演で、長塚圭史芸術監督による2021年メインシーズンの演出第一弾でもある。戦後を代表する劇作家・秋元松代の代表作『近松心中物語』は、近松門左衛門の「冥土の飛脚」をベースに他作品の要素を加え、近松作品の魅力をふんだんに盛り込んだシンプルで力強い言葉と、故・蜷川幸雄氏の劇的な演出により、観客からの圧倒的支持を得て1000回を超えて上演され、演劇界の金字塔と称された。

元禄時代、境遇の違う二つの恋の情景を、華やかな演出で描いたことで人気を博し、長塚は、格差を問われる現在を深く突き刺す、普遍的な戯曲と捉え、俳優とともに台詞の魅力を紐解きながら新たな『近松心中物語』を創り上げる。

『近松心中物語』

『近松心中物語』

コロナ禍を経て、新たな格差、価値観の相違が拡大し続ける現在。KAAT神奈川芸術劇場は、戯曲に描かれた、心中に追い詰められる生と貧富の普遍を見つめ直し、この作品が2021年の我々自身ととりまく社会を問う道標となることを目指すそうだ。

出演者には注目の俳優がそろった。主軸となる男女二組には、亀屋忠兵衛に人間味あふれる演技と存在感で長塚からの信頼も厚い田中哲司。傘屋与兵衛に映画『御法度』でのデビュー以来、圧倒的な個性と魅力で常に注目を集める松田龍平。遊女梅川には数々のミュージカル作品のヒロインを演じ、舞台を軸に活動の場を広げる笹本玲奈。与兵衛の妻・お亀には、注目の若手実力派女優として多彩に活躍する石橋静河。また、忠兵衛の飛脚屋仲間・丹波屋八右衛門には、確かな存在感と彩りを備える石倉三郎。お亀の母・お今にはストレートプレイでの活躍も光る元宝塚トップスターの朝海ひかる、その他にも、多方面で活躍する個性が光る俳優が出演する。

(上段左から)笹本玲奈、田中哲司、松田龍平、石橋静河(下段から)朝海ひかる、石倉三郎、長塚圭史、スチャダラパー

(上段左から)笹本玲奈、田中哲司、松田龍平、石橋静河(下段から)朝海ひかる、石倉三郎、長塚圭史、スチャダラパー

これまで50人規模の多くの出演者で描かれてきた戯曲を、長塚は19人の出演者とともに描く。多くの兼役を演じ分ける実力派俳優陣と、個々の魅力を生かして紡がれる情景も大きな見どころとなっている。そして、音楽は、昨年デビュー30周年を迎えたラップグループ、スチャダラパーが担当。ラップ×近松心中物語―異色の組み合わせにも、期待が高まる。

本公演は、2021年9月4日(土)〜20日(月・祝)KAAT神奈川芸術劇場<ホール>にて上演後、北九州、豊橋、兵庫、枚方、松本にて全国ツアーが行われる。

上演にあたって  演出:長塚圭史  コメント

元禄の世に咲いた境遇の違う二つの恋の情景は、
格差を問われる現在により深く突き刺さります。

この戯曲の煌びやかさの本性を改めて炙り出し、
台詞の深淵を紐解いて、現在ここに追い詰められた生の肉体を描き出したいのです。

金に追い詰められる忠兵衛と梅川のあまりに切ない境涯と、
裕福ながらも自ら堕ちることに愛を見出す若いお亀の純真。
そしてそうした世間と折り合いがつかぬかのように
この情景を心に留めて次代へ繋がってゆく与兵衛。
この四人の人間模様を現代に抽出したい。

神奈川県が生んだ稀代の劇作家秋元松代の代表作。
KAAT神奈川芸術劇場初のシーズン制、演出第一弾に決めたことは
必然と言って過言ではありません。

近松門左衛門の浄瑠璃から元禄の人間模様を力強く現在に描き出した
秋元戯曲の台詞の力を体現出来ればと。

音楽:スチャダラパー  コメント

■ANI
芸術監督からのご指名により、大役任されました。
期待に添えるよう気張っていきます。

■Bose
数々の名優、作家たちによって再演が繰り返されてきた大きな作品の音楽を担当するにあたって、我々としては「まともに立ち向かっても勝てるわけがない」を合言葉に、
反則スレスレのカウンターパンチを狙って、頑張っていきたいと思っています。

■SHINCO
令和と江戸を繋ぐという長塚さんのチャレンジに、何とか力添えになれるよう、
スチャダラなりのやり方で頑張りたいと思います。
 

【あらすじ】
物語は元禄時代、大阪・新町(遊郭街)で始まる。
真面目な飛脚屋亀屋の養子・忠兵衛は、新町の遊女・梅川に出会い、互いに一目で恋に落ちる。
梅川に、さるお大尽からの身請け話が持ち上がる。
金に困った忠兵衛は、幼馴染みの古道具商傘屋の婿養子・与兵衛に金を借りにいく。与兵衛が快く貸してくれた50両で、梅川の身請けの手付金を払い安堵する忠兵衛と梅川の元に、大尽からの身請けの後金300両が届いてしまう。一方 お人よしで心優しい与兵衛は、与兵衛に恋い焦がれる女房のお亀、舅姑とともに、大店の婿養子として身の置き所のない想いを抱いて暮らしていたのだった。
忠兵衛と梅川/与兵衛とお亀。華やかな元禄の世に生きる境遇の違う男女二組。
恋い焦がれる人と共にいるために心中を選ぶ、それぞれの恋を描く……。