シス・カンパニーが安部公房の戯曲『友達』を2021年9月に東京・新国立劇場小劇場で、10月に大阪・サンケイホールブリーゼで上演する。上演台本・演出は、加藤拓也。

『友達』は、ある一人暮らしの男のアパートに隣人愛を唱える謎の一家が闖入し占拠する不条理な物語。小説、戯曲、映像作品と幅広い分野で活躍した安部公房が自身の小説『闖入者』をベースに戯曲化した作品で、1967年に青年座で初演され、同年の谷崎潤一郎賞を受賞。三島由紀夫をして「安部公房氏の傑作」と言わしめた。

男をジワジワと取り囲んでいく9人家族や周囲の人々の論理に、上演台本・演出の担当として大胆に切り込むのは、『たむらさん』(2020年10月上演)でシス・カンパニーとタッグを組んだ加藤拓也。現在、NHKよるドラ『きれいのくに』脚本でも注目を集めている気鋭の劇作家だ。

そしてこのほど、注目のキャスト陣が発表された。不条理な状況に追い込まれていく「男」を演じる鈴木浩介に迫るのは、安部の主宰した劇団「安部公房スタジオ」出身の浅野和之、硬軟自在な演技で魅了するキムラ緑子、第28回読売演劇大賞最優秀男優賞に輝く山崎一が率いる謎の3兄弟・3姉妹たち。その中でも、ドラマ「姉ちゃんの恋人」での共演が人気を呼んだ有村架純、林遣都が、今度は小劇場空間で家族として登場する。有村は、2014年『ジャンヌ・ダルク』以来7年ぶり2度目の舞台出演という点でも注目だ。他に、岩男海史、大窪人衛、富山えり子、伊原六花、内藤裕志、長友郁真、手塚祐介、西尾まり、鷲尾真知子の盤石な布陣が実現する。
 

<ストーリー> ある夜、ひとりの男(鈴木浩介)の日常に忍び寄る、見知らぬ「9人家族」の足音。祖父(浅野和之)、父母(山崎一・キムラ緑子)、3人兄弟(林遣都・岩男海史・大窪人衛)、3人姉妹(富山えり子・有村架純・伊原六花)から成る9人家族は、それぞれに親しげな笑みを浮かべ、口々に隣人愛を唱えながら、あっという間に男の部屋を占拠してしまう。何が何だかわからないまま、管理人(鷲尾真知子)、警官(長友郁真・手塚祐介)、婚約者(西尾まり)、弁護士(内藤裕志)と、次々に助けを求め、この不条理な状況説明を試みるが埒があかない。しかも、彼らは、どんどん「家族の論理」に加勢していく流れに…。一体、この「9人家族」の目的は何なのか? どこからが日常で、どこからが非日常なのか? この男を待ち受けるのは、悲劇なのか、はたまた救済なのか?