ヒグチアイが、2021年6月11日(金)東京・日本橋三井ホールで、自主企画公演『HIGUCHIAI presents 好きな人の好きな人 − 入 梅 −』を開催した。
今回のライブはヒグチアイが "好きな人"を招く自主企画シリーズ。かねてよりその楽曲が大好きだと公言してきた、THE CHARM PARKとの弾き語りツーマンが東阪2公演で実現した形だ。
ライブは、「東京にて」で幕を開けた。オリンピック前の東京という時代性を持った、今まさに東京で聴きたい楽曲。目まぐるしく変わっていく東京の街と、そこで生きる自分という存在を誰もが漠然とイメージし、それぞれの思いが胸に去来したはずだ。
「久しぶりじゃないけどすごく久しぶりな気がする東京でのライブ。来てくれてありがとう。」短めのMCに続いて演奏された「風と影」では、青白くゆらめく炎のようなヒグチアイ特有の熱で観客を引きつけていく。
「まさか今日こんなに晴れると思わなくて。暦の上では今日から入梅なんですけど、そううまくはいかないですね(笑) 私の声は湿度が高めだと思います。」そして今回の自主企画公演で初披露となった未発表曲「火々」「悲しい歌がある理由」の2曲が続く。
ライブ後半戦は「走馬灯」で始まった。さらに昨年9月に発売されたベストアルバム「樋口愛」にも収録されている2曲が続く。「ココロジェリーフィッシュ」は入梅らしい、いつもよりモイスチャー成分多めのアレンジでしっとりと歌われた。「わたしはわたしのためのわたしでありたい」は金曜日の渇いた心に特に沁みただろう。終始観客の耳と心を捉えて離さないままライブパフォーマンスはクライマックスを迎えた。
最後は、ヒグチアイの前に素晴らしいステージを終えていたTHE CHARM PARKをステージに招き入れ、4月に配信リリースされた最新曲「縁」をセッションし、晴れやかな笑顔でライブを終えた。同じ空間で行われているライブを共有したという幸福感が拍手と共に会場全体を包み込んだ。

撮影 : 藤井拓

撮影 : 藤井拓

THE CHARM PARK 撮影 : 藤井拓

THE CHARM PARK 撮影 : 藤井拓

鳴り止まない拍手に応え「次いつみんなに会えるかなと考えていたら、どうしてももう一曲やりたくなっちゃいました。」と急遽予定外のアンコールへ。
今のところライブでのみ披露されている未発表曲「mmm」(ハミング)の演奏が始まる。コロナ禍の世界を憂いながら生への希望を見出そうとする切なる願い、あるいは祈りのように響く、コロナ後に生まれた楽曲だ。
「口を閉じて歌うことをハミングと言います。」曲中でピアノを弾きながらそう告げると、2021年の今という時間を生きる会場全員の意識が一つになったような一体感が生まれた。
「いつかこの歌がラララで歌える日がきますように。また会える日までどうか生きていて。」心が潤うとはこういうことなんだろうと思える、入梅というタイトルどおりの公演が幕を閉じた。
この日のライブで垣間見せたアーティストとしての充実度や、まもなくミュージックビデオも100万回再生に達する新曲「縁」の好調な動きなど、ヒグチアイの今後の活動に期待したい。

撮影 : 藤井拓

撮影 : 藤井拓