CS放送局「衛星劇場」にて、2021年7月11日(日)午後5:30より、M&Oplaysプロデュース『白昼夢』がテレビ初放送される。この度、菊田一夫演劇賞・大賞を受賞した風間杜夫よりメッセージが到着したので紹介する。

本作は、「流山ブルーバード」(2017年)に続く、赤堀雅秋とM&Oplaysのコラボ公演第2弾。赤堀作品には初参加の三宅弘城、吉岡里帆、赤堀作品には欠かせない俳優・荒川良々、風間杜夫、そして赤堀本人が出演し、社会になじめず「引きこもり」となった弟を持つ兄と、その父親を中心に、現代社会において、落ちこぼれてしまった者たちのもがきと再生を5人の俳優たちが創り上げた濃密な人間ドラマだ。

M&Oplaysプロデュース『白昼夢』舞台写真  撮影:宮川舞子

M&Oplaysプロデュース『白昼夢』舞台写真  撮影:宮川舞子

M&Oplaysプロデュース『白昼夢』舞台写真  撮影:宮川舞子

M&Oplaysプロデュース『白昼夢』舞台写真  撮影:宮川舞子

風間は、『セールスマンの死』のウィリー・ローマン役、『女の一生』の堤章介役、そして本作『白昼夢』の高橋清役の演技が評価され、菊田一夫演劇賞の大賞を受賞。受賞の喜びと共に、今回の『白昼夢』の放送に寄せてメッセージが届いた。

M&Oplaysプロデュース『白昼夢』舞台写真  撮影:宮川舞子

M&Oplaysプロデュース『白昼夢』舞台写真  撮影:宮川舞子

風間杜夫 

菊田一夫演劇賞の本義は自分の演劇活動とは離れたところにあると考えていたので、思いもかけない受賞で、それも大賞と聞いた時には驚きました。対象作品『白昼夢』『セールスマンの死』『女の一生』は、時代や政治背景は異なっても、そこに色濃く描かれているのはいずれも、ヒーローではなく社会の歪みに翻弄される弱者です。コロナ禍で疲弊する現社会にも反映されて、作品の力によるところが大きいと思います。また、いわゆる商業演劇から小劇場まで、ジャンルを問わずに評価を得たということは、現代においてはもはや、演劇に垣根は無いのだとの証かもしれません。

『白昼夢』は引き込もりの弟とその兄、そして父親の物語。そこに支援団体の職員が出入りし始めることで、歪みながら均衡を保っていた家族の間に、さざ波が立ちだして―。それぞれに闇を抱えた5人の、夏、秋、冬、春、季節を巡った交流を綴ります。作品のメッセージはと聞かれれば、「それでも生きていく。喜劇。」このキャッチフレーズに込められていると、僕は感じています。個々に様々な問題を内包しながら、人はそれでも生きていく。その姿は、あたかも喜
劇のよう。そして終焉を迎える時にはこうも思うかもしれない。果たしてこの人生という物語は、白昼の夢ではなかったのか。『白昼夢』は、赤堀雅秋が生み出した珠玉の作品です。

『白昼夢』は、映像作品としても非常に見応えがあります。ワンセット舞台の夏から春にかけての一年が、季節のみならずその折々の登場人物の心情に合わせるかのように、音や明かりや美術を生かして、繊細に演出されています。この作品は特に、台詞の一つ一つの裏側に人物の思いが潜んでいて、その役者の表情もまた、複雑な深層心理を表しています。カメラの眼を通して観る役者の表情は、客席からは探りきれなかった至近距離を可能にして、より深い臨場感を生み出しています。

今、社会は極めていびつな状況です。コロナウイルスが、身体だけではなく心も追い詰めています。舞台で生身の肉体を晒すことによって、お客様に少しでもエネルギーをお届けすることが出来れば、役者として本望です。演劇の生命力を信じて、これからも舞台に立ち続けたいと思います。

M&Oplaysプロデュース『白昼夢』舞台写真  撮影:宮川舞子

M&Oplaysプロデュース『白昼夢』舞台写真  撮影:宮川舞子