『RUSH BALL 2021』SHISHAMO

SEが鳴り、ドラムの吉川美冴貴がタオルを掲げて颯爽と現れ、松岡彩(Ba)と宮崎朝子(Gt.Vo)もそれぞれ手を挙げて、ひとりずつ現れる。シンプルな登場だけど絵になるなと眺めていると、宮崎が可愛らしく「『RUSH BALL』! 『RUSH BALL』!」と軽く呟くように声に出し、1曲目「君と夏フェス」が始まる……と何気に書き出したが、宮崎のギターの鳴りが可愛い声とは真逆で、まぁ、もうエグいほどの凄みを聴かせる。少し前から個人的にずっと思っていたが、宮崎は今とんでもないギターヒーローへと日々成長している。

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素晴らしき伸びの良いスタートダッシュを見せて、今年6月にリリースされた最新アルバム『SHISHAMO7』から凄みそのままながらも、なだらかなメロディーの「中毒」へ。同じく最新アルバム収録の「かわいい」はドラムの速いカウントから入るが、松岡のベースもぶっとく日々成長していて思わず聴き惚れる。

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バンドの屋台骨である吉川のドラムも日々成長していてと、少女たちの確実な成長を目の当たりに出来ている今日のライブだが、特筆すべきは4曲目「夏の恋人」であった。ちょうど5年前の楽曲であり、当時も夏の終わりを感じさせるミディアムバラードにドキッとさせられたが、今日は別格だった。風も吹き涼しさを感じた時間帯だったとはいえ、まだまだ真夏の野外イベントであるわけで、そんな中で、このテンポで堂々と勝負するのもカッコ良いし、私のような40過ぎの大人だけでなく、まだまだ騒ぎたい暴れたい年頃のキッズたちが真剣に耳を傾けて持っていかれている様は何とも言えずカッコ良すぎた。情緒、風情、切なさ、儚さ、全てが、この日の「夏の恋人」にはあった。

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「後2曲です」と宮崎が明かし、あの馴染みのギターカッティングから一気にドーンと持っていってくれたのは、今や国民的知名度を持つ「明日も」。ステージ横のビジョンに今のリアルなライブ映像が映し出され、その下に直筆の歌詞も映し出される。<良いことばかりじゃないからさ>という歌詞が、こんな御時世だけに、いつも以上に沁みる……。

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ラストナンバーは畳みかけるように「明日はない」。「明日も」同様、ビジョンにリアルなライブ映像と直筆な歌詞が映し出されるが、最後に大きく「明日はない」と映し出されて終わるのは、めちゃくちゃクールで痺れた……。まだまだ年齢的にはヤングではあるが、とても大人なライブを届けてくれた3人であった。

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取材・文=鈴木淳史 撮影=渡邉一生

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