全世界、累計発行部数1億部超えの伝説的人気コミック「北斗の拳」が、日本発のオリジナルミュージカルとして、2021年12月、東京・日生劇場にて上演される。タイトルは、ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター〜北斗の拳〜』。音楽にフランク・ワイルドホーン、演出に石丸さち子、脚本・作詞に高橋亜子というトップクリエイターたちが集結して創作される注目の本作において、ケンシロウの兄・トキ役は、ミュージカル界でますます存在感が光る、加藤和樹と小野田龍之介がダブルキャストで挑む。このほど、加藤和樹のビジュアル撮影のレポートが届いたので紹介する。

2021年8月上旬のある日、ミュージカル『フィスト・オブ・ノース・スター〜北斗の拳〜』でトキ役を務める加藤和樹のビジュアル撮影が行われた。

この撮影のために自身の体重を増加し、筋肉をつけて撮影現場に現れた加藤和樹。簡素なシャツとパンツに革のベルト、ニュアンスのあるシルバーヘアから覗く細いヘッドバンドの中央に光るのは小さな赤い石。余計なモノを削ぎ落とした衣装でトキとして撮影に挑む。

加藤和樹 ビジュアル撮影の様子     (C)武論尊・原哲夫/コアミックス 1983 版権許諾証GS-111

加藤和樹 ビジュアル撮影の様子     (C)武論尊・原哲夫/コアミックス 1983 版権許諾証GS-111

姿見で全身チェックをしながら「嬉しいですね、トキになれるとは」と声を弾ませつつカメラの前へ。自然に足を開き、スッと呼吸を整え、静かにレンズを見つめる。やがてその目に柔和だが確実に力強い光が宿り、両手を正面で合わせてゆっくりと全身に力を漲らせれば──そこにいるのは紛れもなくトキだ。そのままカメラマンの指示に従って北斗神拳の型へ。生命力としなやかさが感じられるスムーズなムーヴィング、豊かな手の表情、ブレない体幹、視線。原作監修の方からも「これはちょっとすごいですよ!」との声が上がる。

加藤和樹 ビジュアル撮影の様子     (C)武論尊・原哲夫/コアミックス 1983 版権許諾証GS-111

加藤和樹 ビジュアル撮影の様子     (C)武論尊・原哲夫/コアミックス 1983 版権許諾証GS-111

最初のモニターチェック。スタッフがPC前に集まる中、加藤は自身の立ち位置から動かない。天井を仰ぐように静かに空を見つめ、太極拳のような動きを繰り返しながらひたすらコンセントレーションを高め続ける。その様子に触発されるように撮影もググッと熱を帯びていく。「すごくいいです!」と声をかけられながら、振り向きざま、少し無理めのポージングもすんなりと決める。重厚な型と慈悲を湛えた表情がライトに照らされる刹那、ギリシア彫刻と見間違えるほどの高潔さでトキとして存在する加藤。その後も「北斗有情破顔拳」など背後に荒野が見えるようなドラマティックな場面を重ね、静の中に強さを感じるポートレートや目を閉じた印象的な1枚まで。撮るべきカットをノンストップで制覇した、スピード感のあるシューティングが繰り広げられた。

「終了です!」の声で初めて笑顔を見せモニターに駆け寄る。ともに充実した撮影を全うしたスタッフと歓談する姿から伝わるのは、作品に寄せる深い愛情と揺るぎない情熱。その思いはこうしてまた一歩、本番へと近づいていくのだ。

加藤和樹 コメント

漫画もアニメも大好きだった「北斗の拳」がグランドミュージカルに! 僕自身もこの世界観をどう舞台に立ち上げていくのかと想像は膨らむばかりですが……でもね、フランク・ワイルドホーンさんの豊かな楽曲と、役者以上に役や作品を理解し一心同体になって作品創りに臨んでくださる石丸さち子さんの演出ですから、これはもう「愛に満ちた作品になるぞ」と確信しています。

トキはラオウをも凌ぐ実力者でありながら、死の灰を被り病気になり、北斗神拳を人を倒すためではなく人を救うために使いたいと考える、慈悲と強さに満ちた人物。本当に自分自身、この作品の中で一番好きなキャラクターなんです。大人になった今、改めて原作に触れ、さらにその生き様に魅せられています。僕もトキのように大きな心で演じたいですね。

「ひでぶっ!!」「あべし!!」と血の気の多いシーンもお馴染みですが(笑)、お客様にはぜひここに描かれている男たちの熱さ、ただのバトル漫画ではない壮大で深い深い魅力に触れて欲しい。男と男が命を削りあって闘う姿に燃え、彼らがそれぞれに抱く愛に感動し、その信念に共感してもらえたら──。“本気で『北斗の拳』をやったらこうなる”という、衝撃的に満ちたミュージカルの楽しさに出会っていただきたいです。

本番に向け太極拳の稽古も続けていきたいし、身体も……どれくらいムキムキにすればいいんだろう?? そこもまた漫画原作の難しさであり楽しさでもあり。原作ファンの方々の期待にもお応え出来るよう、作品世界の研究はもちろん、ビジュアルの再現も追求していきたいと思っています。どうぞお楽しみに!

取材・文=横澤由香