『GREASE』は、1970年代にブロードウェイで初演が行われた青春学園ミュージカルの金字塔だ。ジョン・トラボルタとオリビア・ニュートン=ジョン主演で映画化もされ、世界興行収入4億ドルという大ヒットを記録した今作が、2021年10月30日(土)からのシアター1010でのプレビュー公演を皮切りに、東京、愛知、大阪、神奈川で上演される。今回の会見には、三浦宏規、屋比久知奈、有澤樟太郎、田村芽実らキャスト陣と、翻訳・訳詞・演出の上田一豪が登壇した。

ーー稽古が始まってしばらく経つと思いますが、進み具合や手応えはいかがですか?

上田:進んでいるんですけど、真ん中のお二人(三浦・屋比久)が(『レ・ミゼラブル』で)フランスに行かれてたから(笑)。とりあえず二幕までざっくりついて、頭に戻って細かい整理をつけ始めています。元気が必要でスタミナが大事な作品なので、反復練習を欠かさず、エネルギーを蓄えながら稽古していくという感じ。とても順調に進んでいます。

上田一豪

上田一豪

ーー後から合流した三浦さん・屋比久さん、手応えはどうでしょうか?

三浦:衝撃の速さで、戸惑っています。フランスに行く前に一幕を通して、フランスから帰ってきて二幕。稽古が始まってからまだ二週間ほどですが、ざっくり通して酸欠になり、これはマチソワ大変だぞとみんなで言い合っています。僕が言うのも変なんですが、カンパニーは本当に若いんです。でも、一番元気なのは一豪さん(笑)。先陣を切ってダンスを踊り、僕たちを活気づけてくれています。一豪さんにお尻を叩かれて、これから毎日反復練習していこうという段階ですね。

三浦宏規

三浦宏規

屋比久:稽古の進みも早いですし、ここから深めて固めなきゃいけないと気合を入れ直しているところです。作品に流れる空気感をみんなで積み重ねてきている段階で、とても楽しく稽古をさせていただいていますね。もちろん体力も必要ですし、課題はたくさんあるんですけど、皆さんにお見せできるのが楽しみな段階になってきています。

屋比久知奈

屋比久知奈

ーー有澤さんと田村さんはいかがでしょう。

有澤:毎日、明日から本番なのかなってスピードと熱量で稽古しています。一豪さんが飛び抜けた明るさで現場を盛り上げてくれて。他の現場の人に教えたくなるような盛り上げ方をしてくれる(笑)。でも、細かくやるところは的確な意見をくれます。あと、僕は今まで、食べ物や生活は「ザ・日本人」みたいな平凡な暮らしだったんですが、とりあえず大好きなうどんなどを一旦やめて、ハンバーガー、肉メインの食事に変えました!

上田:役作りで?

有澤:そうです!

上田:俺、今日(ハンバーガー)食べてきたよ。

有澤:僕は普通におにぎり食べちゃったんですけど(笑)。

三浦:あかんやろ(笑)。

有澤:あとは、一豪さんが稽古場で言っていた「説明のいらない楽しさ」を目指したいです。そのためにスキルアップして、皆さんが納得できる『GREASE』を届けられたらいいなと思っています。

有澤樟太郎

有澤樟太郎

田村:毎日の稽古場が楽しくて、仕事なんですけど青春を送っているみたいな感じがしています。この作品は、私たちステージ側の人間が楽しんでなんぼだと思うんです。その楽しさやいっぱいのエネルギーをお客様に届けられるよう、稽古場からみんなで思いっきり楽しんで、頑張っていきたいなって思っています。

田村芽実

田村芽実

ーー稽古場の雰囲気やエピソードを教えてください。

三浦:女性チームは初対面の方多いですよね?

屋比久・田村:みんな初対面。

三浦:けど、ずーっと一緒に居るんですよね。で、男性チームも5人ずっと一緒。本当に、Pink LadiesとT-Birdsなんじゃないかってくらい。

有澤:稽古場の席が男子グループと、なぜかPink Ladies+宏規なんですよ。だからいつも、宏規がこっちにくる(笑)。

三浦:やっぱり、男性4人で盛り上がってるの見ると混ざりたくなる(笑)。

有澤:関係性ができてるよね。

三浦:そうだね。学校みたいって思ったりします。女性陣はどう?

屋比久:私たちはすごく仲良くて。個性がそれぞれ全く違っていて、似てるところがあるようでなくて、ないようであるみたいな。すごくバランスの良い5人なので、話していて楽しいし、お互いをリスペクトしている関係です。

田村:その空気感が作品の中でも上手く出て、皆さんに伝わったらいいなと思います。私の相手役はケニッキー役の有澤さんなんですけど、年も上の方なのにすごく気さくに接してくださって毎日楽しいです。

三浦:年も上の方なのにって、そんな変わらなくない?(笑)。

田村:でも3つ上なので(笑)。

有澤:カンパニーは飛び抜けて明るい人が多くて、根暗な人がいないですね。この稽古場にいるとパワーをもらえます。

ーー男子チーム、女子チームそれぞれの仲の良さについて、エピソードはありますか?

有澤:宏規とかは稽古を抜けてたんですが、振り覚えの速さが尋常じゃなくて。僕たちが丸一日かけたのに1時間しかない。けど、そこまで疲れた様子もなくすぐ覚えてたんです。自分が情けなくなっちゃうくらい……。

三浦:どうしたの(笑)?

有澤:いや、宏規とお仕事するの久しぶりなんですけど、立派な大人になったなと。前はまだ子供っぽさがあったもん。

三浦:ちょっと何言ってるか分からなかったですけど。

有澤:褒めてんの(笑)!

三浦:だって「仲の良いエピソード」って言われてんのに(笑)。

有澤:尊敬してますって話。

三浦:僕はT-Birdsのメンバー、皇希くん以外は顔見知りというか共演したことがある方が多いんです。だからやっぱり仲は良い。でも、共演が何年かぶりだったり、僕以外は「名前は知ってたけど共演するのは初めて」ってメンバー同士もいて。役柄がちょっと不良みたいなのもあって、仲間だけどライバル意識みたいなのも少しある。それが良い方向に働けば良いなと思ってます。わーっと楽しくやるのも良いんですけど、切磋琢磨してやってきたいって気持ちも強いですね。そういった意味では非常にバランスがいいかな。それぞれ個性があって得意なジャンルが全く違う、素敵なメンバーとやれてるなって思います。

ーーPink Ladiesはどうですか?

屋比久:わいわいやってるT-Birdsを「元気だねぇ」って言いながら眺めてます(笑)。

田村:「何話してるんだろうね?」って。

屋比久:女性陣はわりと落ち着いてるんです。でも、めいめいはじめ、おやつをつまむのが好きなので、みんなで駄菓子とかおやつを持ち寄ってそれぞれの机に置いておくのが日課になってます。

田村:こういう時期なので、ケータリングとかがないんですよ。だから、小分けのお菓子を買ってきて。

屋比久:朝来ると必ず何か置いてあるっていう。すごく優しい子たちの集まりで、あったかいです。でも、めいめいが急に「みんなで変顔勝負しようよ」って和ませてくれたりして、ずっと笑ってる気がしますね。


ーー上田さんが演出する上でのこだわりを教えてください。

上田:この作品が1970年代に作られてから50年経ってるし、作品自体、1950年代の懐古なんですよね。僕らからすると、架空の時代くらい遠い昔の話。アメリカと日本の違いもあるけど、それ以上に、価値観とか当時の男性と女性の関係性とか、時代による違いが大きくて。ただ、作品のテーマは、若者たちのエネルギーとか、鬱屈したモヤモヤをどうやってカラッとさせて、音楽とダンスでエネルギッシュに伝えていくかっていうことなんです。

あとは、今この作品を上演するうえで、お客さんに「あれ?」って思ってほしくないんですよね。当時の文化や背景はちゃんとお伝えするけど、その中で生まれる男女の関係性や恋、問題解決の過程は、今の人間が見てもストンと落ちるようにしたいなと思って、色々調整させていただきました。

それと、皆さんがこの作品で一番にイメージするのは、やっぱり映画だと思うんです。実は映画と元の台本ってかなり違っていて。映画のイメージやアイコニックな部分からあまり逸脱しないよう、整合性をとっています。東宝さんの頑張りで映画版の楽曲もうまく使えるようにしてもらって、すごく盛り沢山ですね。キラキラした若者たちの素晴らしい世界をお届けしつつ、今の世界で生きる僕らが観ても共感できる作品にしたいというのが僕の願いです。

ーーファッションも魅力的な作品ですが、衣裳を身に付けての感想、一押しポイントがあれば教えてください。


三浦:そうですね。やっぱり髪型。今の時代だとなかなかしない髪型ですけど、僕のおじいちゃんがリーゼントみたいな感じで、毎日ポマードでセットしてたんです。だから意外と馴染みがあるというか。本番は自分たちで(髪型を)作るかもしれないんですけど、できなかったらおじいちゃんに聞こうと考えています。自分に似合うかは置いておいて、このスタイルは非常にかっこいいなと思いますね。

有澤:革ジャンにデニムにリーゼント。若者たちが、自分が好きなことにまっすぐ素直に突き進んでいた時代のファッションを着ることで気が引き締まります。個人的に好きなのは、ダニーが着てるシャツ。

三浦:ただの黒Tシャツだよ?

有澤:ちょっと首が詰まってる感じと、パンツにインしてる感じ。映画でもすごい好きなんですよ。一豪さんの演出で、舞台のダニーもめちゃくちゃかっこいいです。誰もがかっこいいって言う分かりやすさみたいなのがある。

屋比久:私は清楚というか、ピュアなイメージ。こういう格好はあまりしないので、まだソワソワしているんですけど、かわいい衣裳を着られてすごく嬉しいです。それと、ストーリーが進むにつれてサンディ自身も変化して、最後にまた違う一面を見せることになります。その時の衣裳にもドキドキワクワクしているので、ぜひ注目していただきたいです。

田村:私はこういう時代やファッションが元々すごく好きなので、着ることができて嬉しいです。でも、女性は「おしゃれは我慢」という時代で、お腹はキュッとしまっているし、スカートもタイト。ファッションのバリエーションが今より少なかった時代だと思うので、服に自分を寄せていこうとしています。稽古場でも腹筋をして、本番までにウエストを絞れるように頑張っています。

ーーロックンロール全盛期の50年代を描いた作品です。音楽の難しさや魅力を教えてください。

上田:耳馴染みがよくて、一回聞いたらなんとなく覚えられるキャッチーなメロディですよね。聞いててワクワクするし、分かりやすくかっこいい。頭を一生懸命使って聴くというより、ビートを感じるっていう。映画を見て、こんなに踊っていいんだ! って思うじゃないですか。今はいろんなタイプのミュージカルが出てきているけど、この作品は「ミュージカルって、歌って踊ってなんか楽しいよね」っていうエネルギーに溢れていると思います。バラードも意外といいメロディが多いので、それも見所ですね。

三浦:名曲ばかりですよね。イントロドンしたらすぐ当てられるってくらい、印象に残る曲が多い。実際にやってても楽しいし、今回(演奏も)生ですから一段階ギアが上がるというか、体が勝手に動き出しちゃう。客席の皆さんも心が躍ると思うので、楽しみに待っていてもらえたら。

屋比久:キャッチーだし、すごくかっこいいダンスがついていて、楽しくてワクワクする楽曲ばかりです。あと、アクセントとかリズムの取り方、動きが、馴染みのあるものとちょっと違っていて。この作品の空気感を固めていく上で大切な要素になると思うので、みんなで作っていけたらと思っています。

有澤:みんなに「どの曲が好き?」って聞くとバラバラなくらい名曲揃い。あと、音楽の話で家族と盛り上がることってなかったんですけど、『GREASE』のおかげで、実家に帰った時に初めておじいちゃん、おばあちゃんと音楽の話ができて本当に嬉しかったです。稽古中、音楽に助けられているところもあるし、本当に楽しい作品になっていると思うので、注目していただけたらと思います。

田村:時代の違いだと思うんですけど、今の曲と比べると、ものすごく速いビートの曲はなかったり、すごいテクニックが必要な曲もあんまりなかったり、一見簡単なんです。でも、その分演じる側が感情や表現で一つひとつ埋めていかないと成立しないと思います。音楽を通して色々な選択肢を与えられているなっていう嬉しさと同時に、ちゃんと自分で選びとって表現しないとお客様に伝わらないし、楽しんでいただけないっていう怖さもあって。真剣に、音楽や作品に向き合っていかないといけないと思っています。

ーー最後に、三浦さんから一言お願いします。

三浦:今日見ていただいた通り、楽しく稽古は進んでいて、ここから本番に向けて一つひとつ積み上げていく作業になります。信頼できる素敵な仲間たちと、演出の一豪さんと共に、この素敵な作品を作りあげていくのが楽しみですし、早く皆さんにお届けしたいと思っています。『GREASE』チームのパワー、エネルギーを皆さんに与えて、劇場を出るときに「元気をもらったな」と思ってもらえたら僕たちも嬉しいです。そのためにあと3週間ほど、稽古を頑張ってまいります。ぜひ皆さん楽しみに待っていてください!


また、会見後にはPV撮影のリハーサルも行われた。キャスト陣は振りを確認しあったり、決めポーズを練習したりと、学園祭のような和やかで楽しい雰囲気。


PVはT-BirdsとPink Ladiesのメンバーが勢揃いし、作中で披露される名曲を歌って踊る、楽しさ満点のメドレーとなっている。『GREASE』のポップでキュートな世界と魅力溢れる楽曲がぎゅっと詰まっており、公演への期待が高まった。








なお、本作は2021年10月30日(土)、シアター1010でのプレビュー公演からスタートし、相模女子大学グリーンホールでの大千秋楽まで、東京・愛知・大阪・神奈川の四都市で上演される。