演出家・蜷川幸雄の代表作の一つで、今年の七回忌を前に現在上演中の舞台『ムサシ』が、初めて配信されることになった。配信期間は2021年10月24日(日)17:00〜10月31日(日)まで、 期間中は何度も視聴可能。 販売期間は10月31日(日)20時30分までとなる。

井上ひさし×蜷川幸雄という日本の演劇界を代表する顔合わせで、2009年に初演を迎えた『ムサシ』。その後も日本のみならず海外でも再演を重ね、命の尊さ、そして復讐の連鎖を断ち切ることの大切さという普遍的なテーマを笑いと共に扱うこの作品は「禅コメディー」とも呼ばれ、各地で評価されてきた。 

今回の映像では、作品本編に加え、バックステージの紹介やキャストのコメント映像も観ることができる。藤原竜也、溝端淳平、鈴木杏、 塚本幸男、吉田鋼太郎、白石加代子といった、長年この作品を支えてきた豪華キャスト陣の演技を、劇場とは違った角度から観ることができる。

左より 溝端淳平(佐々木小次郎役)、 藤原竜也(宮本武蔵役)(撮影:田中亜紀) 撮影:田中亜紀

左より 溝端淳平(佐々木小次郎役)、 藤原竜也(宮本武蔵役)(撮影:田中亜紀) 撮影:田中亜紀

 
▼あらすじ
慶長17年(1612)陰暦4月13日正午。
豊前国小倉沖の舟島。 真昼の太陽が照り付けるなか、 宮本武蔵(藤原竜也)と佐々木小次郎(溝端淳平)が、 たがいにきびしく睨みあっている。 小次郎は愛刀「物干し竿」を抜き放ち、 武蔵は背に隠した木刀を深く構える。 武蔵が不意に声をあげる。 「この勝負、 おぬしの負けと決まった」。 約束の刻限から半日近くも待たされた小次郎の苛立ちは、 すでに頂点に達していた。 小次郎が動き、 勝負は一撃で決まった。 勝ったのは武蔵。 検死役の藩医に「お手当を!」と叫び、 疾風のごとく舟島を立ち去る武蔵。 佐々木小次郎の「巌流」をとって、 後に「巌流島の決闘」と呼ばれることになる世紀の大一番は、 こうして一瞬のうちに終わり、 そして……物語はここから始まる。
舟島の決闘から6年後の、 元和4年(1618)夏。
鎌倉は佐助ヶ谷、 源氏山宝蓮寺。 名もなき小さなこの寺で、 いままさに寺開きの参籠禅がとり行なわれようとしていた。 大徳寺の長老・沢庵宗彭(塚本幸男)を導師に迎え、 能狂い柳生宗矩(吉田鋼太郎)、 寺の大檀那である木屋まい(白石加代子)と筆屋乙女(鈴木杏)、 そして寺の作事を務めたあの宮本武蔵も参加している。
ところがそこへ、 小次郎があらわれた。 舟島でかろうじて一命をとりとめた小次郎は、 武蔵憎しの一念で武蔵のゆくへを追いかけて、 ここ宝蓮寺でついに宿敵をとらえたのだ。 今度こそは「五分と五分」で決着をつけよと、 小次郎は武蔵に「果し合い状」をつきつける。
こうして、 世に並ぶ者なき二大剣客、 宮本武蔵と佐々木小次郎の、 命をかけた再対決が、 「三日後の朝」と約束されるのだが………。