新国立劇場によるフルオーディション企画の第5弾が、この度、発表された。

小川絵梨子芸術監督が、その就任とともに打ち出した柱のひとつが「すべての出演者をオーディションで決定する」フルオーディション企画。その第5弾となる今回、2021年4月に上演したフルオーディション第3弾『斬られの仙太』を手掛けた上村聡史を再び迎えて、『エンジェルス・イン・アメリカ』二部作を一挙上演することが決定した。

第5弾『エンジェルス・イン・アメリカ』は、2021年10月25日(月)より応募を開始、12月にオーディションを開催し、合格者には23年2月からスタートする稽古に参加、4,5月の連続上演の公演に出演してもらうとのこと(オーディションの詳細は下記にて)。

本企画の開始にあたって、芸術監督の小川絵梨子、演出家の上村聡史より応募者に向けたコメントが到着した。

演劇芸術監督・小川絵梨子 

『かもめ』、『反応工程』、『斬られの仙太』、『イロアセル』に続く、フルオーディション第5弾が決定いたしました。作品は、1991,92年の初演から世界中で愛され続け、20世紀の最も重要な現代戯曲とも言われるトニー・クシュナー作『エンジェルス・イン・アメリカ』です。この作品は第一部「Millennium Approaches」と第二部「Perestroika」に分かれており、この度の公演では、第一部と第二部を新国立劇場小劇場にて一挙上演いたします。演出には『斬られの仙太』をフルオーディションで作り上げてくださった上村聡史さんを再びお迎えしました。

個人的にも大好きな作品ですが、本作品は、変化が起こったとき、それを否定して安定を図るのか、それとも不安定でも進歩を選ぶのか、その葛藤と再生が描かれていると私は考えています。混乱と不安の今の時代に、根源的な人間の本質の一つでもある「変化すること」を、私たちはどう捉え、それにどう反応していくのかを考える機会になればと思っております。

この作品に興味を持って下さった方には、是非、オーディションに参加していただけましたら幸いです。 今年のオーディションにて、新しい出会い、嬉しい再会がたくさんありますことを祈っております。

演出家・上村聡史

フルオーディション企画も今回で5回目となり、回を追うごとに「自らの意思で創作現場へ赴むく」という企画の根幹が、すくすくと育まれ、本企画が心地よい刺激と熱量に溢れる作品を生み出しているように感じます。そのようなシリーズ企画に再び、取り組めることに喜びを覚えつつ、今回はシリーズの生長にふさわしい、20世紀を代表する名作、『エンジェルス・イン・アメリカ』に挑みます。

今から約40年前、1980年代のニューヨークを舞台に、社会の変革期に生きる人々を、疫病によって混乱を引き起こす愛を、多様化への不寛容に苦しむ精神と肉体を、そして己の変革に果敢に挑む魂を、これらをユーモアに満ちた力強さで描きたいと思います。そして、その姿を通し、セクシャリティ、すなわち生きていく上での自由・解放に対し、今も強かな政治力でステレオタイプを固持する無意識、無自覚に一石を投じる作品を目指します。

8名の出演者で8時間近い大作を上演することは並々ならぬ技術、個性、そして意気込みが必要になるかと思います。また、今回は二部作形式の上演で、稽古日程も多くなりますので、タフな体力と精神力も必要です。こう書くと、ゾッとするかもしれませんが、なによりも、作者トニー・クシュナーの宝石箱のような劇世界・文体を想像していく作業は、演じることの喜びに加え、表現の尊さを感じることのできる体験になるでしょう。

是非、ご応募いただけたら何よりです。

新国立劇場は、第5弾にして、長丁場のプロダクションとなりますが、皆様からのご応募、心よりお待ちしております、とメッセージを寄せている。