10月30日(土)に開催されたワールド女子プロレス・ディアナ横浜ラジアントホール大会にて、『ストロングスタイルプロレス提供試合』タイガー・クイーンvs.伊藤薫が行われた。タイガー・クイーンは生みの親である初代タイガーマスク直伝の新技からの体固めで、レジェンド・伊藤薫を下し、シングルマッチ4連勝を飾った。


10月22日の『初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレスVol.13〜初代タイガーマスク40周年記念第3弾〜』後楽園大会で、長与千種の遺伝子を受け継いだ彩羽匠を撃破したタイガー・クイーン。この日は第2試合で女子プロレス界のレジェンド・伊藤薫との対戦となった。

伊藤薫は、タイガー・クイーンが指導を受けるジャガー横田が全日本女子プロレスにおけるコーチ時代の教え子。タイガー・クイーンから見ると言わば姉弟子でもあるが、そのレジェンド相手に臆することなく、ゴングと同時に奇襲のボディーアタックからサマーソルトキックを見舞って先手を取る。しかし伊藤薫もすかさず体当たりを返し、ペースを握らせない。


タイガーステップで間合いを計るタイガー・クイーンに対し、リストを固めにいく伊藤薫。タイガー・クイーンが回転してカニばさみ、クロスチョップを放つと、伊藤薫はコーナーに振ってのラリアートを見舞う。スーパーヘビーの豪腕に崩れたタイガー・クイーンの腰に狙いを定めた伊藤薫は、キャメルクラッチで

「マスクを剥いでやろうか?」

と精神的にも揺さぶりをかけて老獪さもみせつつ、逆エビで締め上げる。

セコンドについたジャガー横田の導きでロープに逃れたタイガー・クイーンだが、伊藤薫は膝へのエルボー、ワンハンド式ボディプレス、フロントスープレックス、さらにセントーンと波状攻撃。堪らず場外へ逃れたタイガー・クイーンだが、伊藤薫のセコンド・梅咲遥に羽交い締めに捕らえられる。そこへドロップキックを狙った伊藤薫が跳んできたが、咄嗟に体を入れ替えて誤蹴を誘う。



自爆した伊藤薫を場外戦へ引き込んだタイガー・クイーンは、額をエプロンへ打ち付け、彩羽匠戦でも見せた、コーナーポストからのラ・ケプラーダを狙う。これを読んだ伊藤薫が必死に脚にしがみつくと、場外へ蹴落としたタイガー・クイーンは、エプロンからノーモーションでのラ・ケプラーダという想定外の空中殺法をみせる。



この捨て身とも言える大技でペースを掴んだタイガー・クイーンは、リングに這い戻った伊藤薫の背中へ跳び蹴りを見舞うと、引きずり起こしてネックチャンスリードロップで畳みかけ、タイガースプレックス2021の体勢に。しかし伊藤薫はこれを必死に堪えると、ラリアート一閃。一回転したタイガー・クイーンに対し、必殺のダイビングフットスタンプを叩き込み、さらにパワーボムに抱え上げる。だが空中で蘇生したタイガー・クイーンは身体を捻って脱出すると、回転蹴りでふらつかせた巨体を掴まえ、美麗な人間橋を描き、ジャーマンスープレックスホールドで叩きつける。これを何とかカウント2で返した伊藤薫に対し、コーナーへ駆け上がったタイガー・クイーンが、回転しながら身体を浴びせる初代タイガーマスク直伝の新技を初披露し、見事3カウントを奪った。


■試合後のジャガー横田コメント

――今回、伊藤薫戦が決まった経緯について

「今はまだ挑戦する気持ちで試合に挑んでいく段階ですので、学びのあるレジェンド選手、トップの選手を中心に私が順番に声をかけています。これだけ話題になっている選手ですので、みんな『スケジュールが合えば』という事で返事はもらっていますので、試合を組んでいきたいと思っております。伊藤薫も以前から、『タイガー・クイーンとはどんな闘いになるのか是非やってみたい』と言ってましたので、今回ディアナの大会でスケジュール的にも合いましたので決めました」

――タイガー・クイーンの現状、課題はどういった点になりますか

「今の段階では、タイガー・クイーンとして、どう自分を表していくか?という点ですね。本人も色々考えて、発案していますし、私も気付いた点はアドバイスしています。もちろん、佐山サトル先生からもご指導は頂いております。課題としては初代タイガーマスクを超える気持ちでいかなくちゃいけない、という部分も大きいですね。佐山先生も、『自分の色を出していって欲しい』と仰られております。初代タイガーマスクのクローンとして、身についている技にプラスして、タイガー・クイーンとして、独り立ちする事を望まれている様に感じますので、先生のお考えに従って、タイガーマスクの名に恥じないレスラーに育て上げていかなければいけないと思っています。本人も、そういう気持ちで日々の練習をしておりますし、試合ではそれを実践していってほしいと思っています」

――今日の試合、今までにない苦戦にも見えましたが

「大変だったと思います。伊藤薫は身体も大きいですし、桁外れのパワーを持ってますので。かなり苦しんでると思いましたが、そこを乗り越えて欲しいな、とセコンドにつきながら見ておりました。何とか乗り越えてくれて、新技も出して勝てたのは凄いな、と感心しました」

――フィニッシュホールドになった、コーナーポストからの技ですね

「あの技は佐山先生から教えていただいて、何百回と練習を重ねてきた技です。それでもなかなか100%成功するという確信まではいかない難しい技だったので、出せそうなら狙って…という感じでした。しかし今日、本番でいきなり出して、練習で成功した時以上の完成度で見せてくれました。試合で練習以上の事をやれる、本番への強さ、凄さは、今まで数え切れないぐらいの選手を教えてきたコーチとしても、1レスラーの視点で見ても、感心させられましたし、頭の下がる思いです。客観的に見ても楽しませてくれますね」

――では次戦また、何を見せてくれるか楽しみでもありますね

「楽しみですね、1戦1戦が。レジェンドや強い相手と闘って勉強していくのは当然なんですが、キャリアの浅い選手とやってどういう闘いをやってくれるのか…っていう事もレスラーとしては見もの、という興味もありますね。色々な選手と試合をして勉強していかなくてはいけないので…タッグの経験も積んでほしいですし。ストロングスタイルプロレスのフロントと話し合って、佐山先生のご意見も伺って、楽しい試合をお見せしていきますので、彼女の今後に期待して頂きたいです」

■試合後の伊藤薫コメント

――タイガー・クイーン戦を終えての感想をお願いします

「デカい! です…デカかった」

――梅咲遥選手が場外でタイガー・クイーン選手を押さえつける場面がありました

「私のセコンドに付いてたんですが、場外で視線が合ったので、目で合図しましたね。押さえとけ! と(笑)」

――あうんの呼吸ですね(笑)伊藤選手の身体をあれだけ完璧にジャーマンスープレックスで投げられる選手もあまりいないかなと思いますが?

「さっきTwitter(@wfootstamp)でも感想を書いたんですけれど…以前にSareee(現・WWEのSARRAY)と試合して投げられた時に、完全に持たれたな、持ち上げられたな…と思った時があって、それ以来ですね。今、自分の体重が105kgあるんですけど、それをものともしないで…パワーを感じましたね」

――タイガー・クイーン選手のセコンドのジャガー横田さんは、伊藤選手のパワーでタイガー・クイーン選手もかなり苦戦していたと感じられたそうですが、御自分では追い込んでいる手応えはありましたか

「うーん…まあまあ。でも、そうですね。次やったらいけるんじゃないですか(笑)」

――チャンスがあれば、リベンジしたいと

「再戦のチャンスがあるのか解らないですけれど…やれば勝ちます! 」


タイガー・クイーンの勝利を見届けたジャガー横田は、11月1日に15周年興行を控える真琴をパートナーに、第5試合のタッグマッチに登場した。対するは、ストロングスタイルプロレスへ参戦経験もある優宇と、総合格闘技のバックボーンの持つ、ディアナのマドレーヌによるコンビ。

序盤からマドレーヌに狙いを定めたジャガー横田は、お株を奪う蹴り技とラフ殺法で痛めつける。スピードで攪乱しようとするマドレーヌだが、マウントを取り返したジャガー横田は逆エビで絞り、さらにひざ十字、とグラウンドでも圧倒。マドレーヌは必死のエルボーアタックで返して優宇にタッチ。スープレックス、ファイアーボールで反撃する優宇に対し、ジャガー横田もコブラツイスト、コーナーでの蹴りを返し、両者譲らぬ混戦になる。


蘇生したマドレーヌが脇固め、サッカーボールキックでジャガー横田に反撃。さらに追い打ちでボディアタックを狙ったが、これをかわしたジャガー横田は「CRYSIS」のシンボルでもある椅子攻撃。身体、頭部に振り下ろした椅子に座らせたマドレーヌののど元に、ジャガー横田のキックが炸裂。最後にパイルドライバーで脳天をリングに打ち込み、完璧な3カウントを奪った。



そしてこの日のメインイベントでは、ディアナの総帥・井上京子が井上貴子と共に、久しぶりとなる「W井上」を結成した。お揃いの入場ガウンとコスチュームを新調したW井上に対するは、プロレスリングWAVEの誇る最狂コンビ、宮崎有妃&旧姓・広田さくらによる「奇跡」。

先発した井上京子は、笑激が信条の旧姓・広田さくらに対し

「ふざけるなよ! 」

と、一喝してロープに詰めるキツい先制パンチ。これに対し旧姓・広田さくらが

「元・アイドルレスラー対決をやりたい」

と提案したため、井上貴子が

「元・じゃないけど」

と言いながらもリングイン。首尾良く井上貴子を引っ張り出す事に成功した旧姓・広田さくらは、ブレーンバスターで叩きつけられ、ロープ渡りの誤爆とダメージをため込むのと引き換えに、レジェンドアイドルへのカンチョー攻撃、ボ・ラギノールに成功。



「高田純次」はかわされたが、井上京子を引き込んでロープを渡らせ、合体技の失敗から宮崎有妃の恥ずかし固めと、井上貴子に精神的ダメージを与える事に成功。さらにボ・ラギノールの連発と畳みかけたところで井上京子が怒りの乱入。スタンガンを持ち出した井上貴子からタッチを受けた井上京子に対し、体格でひけをとらない宮崎有妃がラリアートの打ち合い、ムーンサルトプレスを見舞っていく。


この期に乗じた旧姓・広田さくらがすかさずボ・ラギノールを狙うも、井上京子は臀部の筋肉で許さず。これに対し、技の失敗を連発して油断を誘った旧姓・広田さくらは、場外戦で遂にボ・ラギノールを突き刺し、さらに宮崎有妃が捕らえたW井上へ向けてトペコンヒーロを成功させるビックサプライズに場内は大きくどよめく。

ここで勝負に出ようとした旧姓・広田さくらだが、井上京子にはコーナー再上段から雪崩式ブレーンバスターで叩きつけられ、痛撃のラリアート、井上貴子のコーナーからの膝爆弾と波状攻撃を浴びる。最後はW井上が合体技で旧姓・広田さくらを沈め、久しぶりの名コンビ復活を勝利で飾った。



マイクを取った2人は、「10年後には出来ないと思う」というW井上で当面暴れ回る事を宣言して大会を締めくくった。

ストロングスタイルプロレスは年内残り2戦、タイガー・クイーンは今後どういった成長をみせるのか、ジャガー横田が選ぶ対戦相手は誰になるのか、W井上の参戦、他の選手の動向など、提携するワールド女子プロレス・ディアナの今後の大会と共に注目していきたい。

<第1試合シングルマッチ15分1本勝負>
●デボラK(フリー)

○網倉理奈(アクトレスガールズColors)

<第2試合 ストロングスタイルプロレス提供試合シングルマッチ20分1本勝負>
○タイガー・クイーン
9分35秒 TQスプラッシュ⇒体固め
●伊藤薫(フリー)

<第3試合 異種格闘技戦2分3ラウンド>
○佐藤綾子(プロレス)

●亜美(キックボクシング/オグニジム)

<第4試合 シングルマッチ20分1本勝負>
●梅咲遥

○松本浩代(フリー)

<セミファイナルタッグマッチ20分1本勝負>
○ジャガー横田 真琴(フリー)

●マドレーヌ 優宇(プロレスリングEVE)

<メインイベントタッグマッチ30分1本勝負>
○井上京子 井上貴子(LLPW-X)

宮崎有妃 ●旧姓・広田さくら(共にプロレスリングWAVE)