新国立劇場が上演する、2021/2022シーズン演劇『アンチポデス』、『ロビー・ヒーロー』、『貴婦人の来訪』の3作品の出演者が決定した。

小川絵梨子芸術監督4年目のシリーズ企画は「声 議論, 正論, 極論, 批判, 対話…の物語」。対面を避け言葉だけのコミュニケーションとそのツールを手に入れた現代人が、一方的に投げつける、あるいは、投げつけられる言葉の多くは、時に正論のようでただの批判になっていないだろうか、極論をぶつけるだけで議論として成立さえしていないのではないか。時として、相手を傷つけることが目的になっていないか。直接耳に届く声と、内なる声に耳を傾け、そこから始まる議論や対話を描く作品が並ぶ。

第一弾は、『フリック』で 2014 年ピュリッツァー賞も受賞したアニー・ベイカーによる『アンチポデス』。「地球の裏側」を意味するタイトルを冠した戯曲に登場するのは、閉ざされた部屋で物語を作り出す、という作業をしている8人の男女。人に渡す言葉の在り方を、他者との関係性を、今一度、立ち止まって考えたい、というテーマのもとにおくる「ものがたりを紡ぐ“言葉”にまつわる物語」。危機に陥った世界にとって「ものがたり」がどのような価値を持つのか、観客と一緒に考えたいと、小川絵梨子自らが演出をする。

(左から)白井 晃、高田聖子

(左から)白井 晃、高田聖子

上演日程は、2022年4月8日(金)〜24日(日)(プレビュー公演4月3日(日)・4日(月) )、会場は新国立劇場 小劇場にて。白井 晃、高田聖子、斉藤直樹、伊達 暁、富岡晃一郎、亀田佳明、草彅智文、八頭司悠友、加藤梨里香が出演。

第二弾は、2017年アカデミー賞脚本賞受賞で話題となった映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のケネス・ロナーガンが執筆した『ロビー・ヒーロー』。自分のやりたいことを見いだせずロビーの警備員として過ごしている若者が、おもわず口を滑らせてしまったことから起きるトラブルとその顛末を描いている。ジェンダー、上司と部下、人種など、さまざまな格差のレイヤーがある中で、彼なりに考えて起こした行動は、果たして正義なのか、正論とはいったい何なのか……。自己承認欲求がSNSであふれ出す現在、さまざまな角度から考えられ身近に感じる戯曲となっている。2001年オフ・ブロードウェイ初演、翌年にはウエストエンドで上演、18年にはブロードウェイでリバイバル上演された。新国立劇場初登場の桑原裕子を演出に迎え、日本初演でおくる。

(左から)中村 蒼、岡本 玲、板橋駿谷、瑞木健太郎

(左から)中村 蒼、岡本 玲、板橋駿谷、瑞木健太郎

上演日程は、2022年5月6日(金)〜22日(日)(プレビュー公演5月1日(日)・2日(月))、会場は新国立劇場 小劇場にて。中村 蒼、岡本 玲、板橋駿谷、瑞木健太郎が出演。

第三弾は、フリードリッヒ・デュレンマットの代表作『貴婦人の来訪』。1956年に初演された本作は、全体主義へと傾倒していった社会への痛烈なアンチテーゼとして話題を呼び、その後、世界各国で多くの演出家の手によって上演され、舞台のみならず、映画やオペラ、ミュージカルとしても上演され続けている名作。議論を重ねた上での他者との対話が、人間関係にどのような影響を及ぼし、どのような社会を形成するのか。演出に、新国立劇場では『どん底』での大胆でユニークな演出も記憶に新しい五戸真理枝を迎えておくる、シリーズ最終作。

(左から)秋山菜津子、相島一之

(左から)秋山菜津子、相島一之

上演日程は、2022年 6月1日(水)〜19日(日) 、会場は新国立劇場 小劇場にて。秋山菜津子、相島一之、山野史人、加藤佳男、外山誠二、福本伸一、津田真澄、山本郁子、斉藤範子、高田賢一、清田智彦、谷山知宏、髙倉直人、福本鴻介、田村真央ほか出演。