ツユ 4thワンマンLIVE『終点の先が在るとするならば。』
2021.11.6(sat) Zepp DiverCity(TOKYO)

結成から2年で辿り着いた前回のZepp Tokyo公演から、わずか3ヵ月ぶりにツユの4thワンマンライブ『終点の先が在るとするならば。』が開催された。今年7月にリリースされた最新アルバム『貴方を不幸に誘いますね』の収録曲をタイトルに冠した今回のライブは、これまでにツユが発表してきたすべての楽曲を演奏するというフルボリュームの内容だった。アンコールで礼衣(Vo)が「筋トレみたいなライブでした!」と振り返ったとおり、現時点のユニットのすべてを出し切ったライブは、負の感情すらも容赦なく描くツユの音楽が深く心を揺さぶる一夜になった。

ツユ

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紗幕があしらわれたステージに、まずはピアノのmiroがひとりで登場した。軽やかにはじまりを告げるオープニングのインストにのせて、バンドが加わり、「あの世行きのバスに乗ってさらば。」からライブがはじまった。サポートメンバーのアベノブユキ(Ba)と樋口幸佑(Dr)を加えた5人編成による疾走感あふれるバンドサウンドにあわせて、紗幕にはアニメーションの映像が映し出され、礼衣の透明感のあるボーカルが紡ぐ早口のメロディが会場に響き渡っていく。続けて、人生の価値を問いかけるような「奴隷じゃないなら何ですか?」と「かくれんぼっち」へ。決してきれいごとで取り繕わないツユの鋭利な歌は、ライブという場所でいっそう生々しく聴き手の心をえぐる。

ツユ

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インタールードにピアノを交えながら、MCは一切挟まずにライブは進んだ。グルーヴィーなサウンドのなかで雨粒が滴るようなピアノが繊細にはずんだ「雨を浴びる」から、ザーザーと地面に叩きつける雨音と共にピアノのみの伴奏で歌い出した「梅雨明けの」へ。ユニット名が表すように、ツユの楽曲には、悲しみや憂うつを象徴する「雨」の歌が多い。加えて、このタームでは夏の匂いを漂わせた瑞々しい楽曲も印象的だった。紗幕に縦書きで歌詞を映し出し、文学的な色合いが表現された「ナツノカゼ御来光」に続き、緑色のレーザーが無秩序な模様を描いた「アサガオの散る頃に」では、曲の終わりをセミの鳴き声で締めくくった。ゆっくりと季節がめぐっていく。

ツユ

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女の子のイラストがペルソナ的にスクリーンに描かれることが多いなか、「忠犬ハチ」は一匹の犬を主人公に描いた歌だった。大切なひとへの一途な気持ち。それを礼衣が切なく歌い上げると、不穏なピアノ曲「強欲」からは、アップテンポな人気曲を次々に畳みかけ、ラストスパートに突入した。<ちょうだいな ちょうだいな>という童謡のようなフレーズが尽きることのない欲望を暴く「デモーニッシュ」、今この瞬間の虚無感と後悔を吐露する「過去に囚われている」、打ち込みによるダンサブルな演奏を聴かせた「テリトリーバトル」。終盤は紗幕が落とされ、メンバーの姿がはっきりと見えるようになったことで生のライブ感が増し、フロアの熱量もぐっと一段あがっていった。

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骨太なロックを聴かせたインスト曲「羨望」を挟んで、誰かと比べてしまう苦しさを比喩的に歌った「くらべられっ子」から、<お先真っ暗な人生>へのあきらめを綴った「ナミカレ」へ。理想の自分があるからこそのあがきを生々しく活写する楽曲たちは、ツユの根底にある劣等感が強く浮き彫りになる。堕天使が人間に恋をする「泥の分際で私だけの大切を奪おうだなんて」のあと、本編のラストを飾ったのは、「終点の先が在るとするならば。」だった。美しくも狂おしいファルセットボーカルに、ぷすが作り上げるツユの世界観には、礼衣以外の歌い手はありえないと強く思わせる。この日、「あの世行きのバスに乗ってさらば。」で幕を開け、「死にたい」と「生きたい」の狭間を行き来するように楽曲を積み重ねたライブの終わりは、言いようのない喪失感を残す締めくくりだった。

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アンコールでは、ポップでキラキラとした「やっぱり雨は降るんだね」を演奏したあと、ステージにイラスト担当のおむたつを迎え入れ、楽しげにメンバー紹介をしながら、ソロ回しでフロアを湧かせた。MCでは、「ツユの魅力満載のライブになってお腹いっぱいじゃないですか? 僕はすべて出し切って、お腹ペコペコです(笑)」とmiro。今回から衣装がイメージチェンジをしたことに触れた礼衣は、「かっこいいんです、実は私(笑)。今日は素でやれてよかったです。私服はこんな感じなので」と言うと、おむたつは「かっこいい! 好き!」と絶賛し、お互いに笑い合っていた。そして、最後は「ロックな君とはお別れだ」を披露して、全25曲のライブは幕を閉じた。「半年後とかにまたやります。いい曲を作ります!」と約束を交わして、メンバーはステージをあとにした。

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今後のツユの活動については、しばらくは曲作りに専念することになると、アンコールでぷすが明かした。来年の結成記念日(6月12日)ぐらいまでには、またライブを行いたいという。この日のライブを見て、ここまでの2年間の活動を経て、「ツユの世界観」は確立したように思えた。そんなツユが、この先どんな新しい物語が描いてゆくのか。期待はふくらむばかりだ。

文=秦理絵 撮影=堀卓朗(ELENORE)