KOTORI『PLAY FOR THE FUTURE TOUR』
2021年11月3日 両国国技館

「これまでのツアー48本分のライブで、アルバムの曲を育てて来ました。今日は演出一切ナシ、演奏一本勝負でやらせていただきます。ツアーで見てきた景色を曲に閉じ込められたらいいなと思っているので、最後まで楽しんでいって下さい!」

最初のMCで、このライブに懸ける想いを力強く伝えた横山優也(Vo&Gt)。20年10月、日比谷野外音楽堂でのワンマンライブを大成功。今年5月には、1年をかけて楽曲制作に取り組んだアルバム『We Are The Future』をリリース。KOTORIはコロナ禍における規制によりライブ活動も滞り、エンタテイメントが危機に陥る中でも決して諦めることなく、前へ前へと足を進めてきた。

KOTORI

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今年6月からは新型コロナ感染予防対策も徹底した上で、最新アルバムを掲げて47都道府県、全50箇所を回る全国ツアー『PLAY FOR THE FUTURE TOUR』をスタート。たくさんの規制に加え、ライブの延期や出演者のキャンセルもあり、決して平穏無事では無かったツアーだったが。それでもツアーを行う意味や意義をライブ一本一本から受け止め、感じ取りながら、ついにたどり着いたツアー49本目となる両国国技館公演。アルバム1曲目であり、表題曲である「We Are The Future」で静かに力強く始まったこの日のライブ。そのステージからは、4人の並々ならぬ気迫が溢れていた。

普段は国技である大相撲の興行で使われているこの会場。土俵の置かれる会場中央に真紅のセンターステージが設置され、“砂かぶり席”と呼ばれるステージ極近の席、升席、スタンド席が360度で囲む配置は、ライブハウスともホール会場とも明らかに趣きが異なり、この日が特別なライブであることを開演前から感じさせてくれる。開演時間を少し過ぎた頃、会場の灯りが落ち、SEが鳴るとステージを囲むライトが天を射し、神々しさや神妙ささえある中をメンバー4人が登場。

細川千弘

細川千弘

横山優也

横山優也

ステージ中央に設置されたPCのモニタを囲み、4人が中心を向いて円形に配置すると、細川千弘(Dr)の鳴らすバスドラの深い響きに横山が歌声を重ね、「We Are The Future」でライブの幕が開ける。上坂仁志(Gt)、佐藤知己(Ba)がサウンドを重ね、楽曲世界を丁寧に描いていくと、<響け この声よどこまでも>と歌う開放感ある力強いサビに会場中が拳を挙げる。<音楽で大切なものを守れますように>と願いを込めたこの曲には、この時期にこの大会場でのライブを開催した意義も感じさせられる。

ライブを本格始動するような疾走感ある「Blue」から、「音楽があれば大丈夫!」と始まった「unity」、<時代を超えてゆけ>と力強く歌う「1995」と続き、序盤戦から広い会場を自身の色に染め、会場中の心を繋いだKOTORI。最初こそ表情も固く、緊張感の見えたメンバーだったが、「普段と違う場所でヤバイですね。神聖な場所で出来ることを本当にありがたく思います、来てくれてありがとうございます!」と開催の喜びを語ったMCでは、観客の笑顔を見た横山が少し安心したような笑顔を浮かべる。

上坂仁志

上坂仁志

佐藤知己

佐藤知己

頭から爪先まで、一挙手一投足を全方位から見られながら演奏するという、相撲もとらないのに“裸のKOTORI”をさらけ出したこの日。大会場ならではの照明演出も効果的に使用しながら、「Seepless」、「Anywhere」といった最新アルバムの楽曲たちを堂々とした歌と演奏で魅せ、幻想的でカオティックなステージを作り上げたのは、48本のライブで楽曲を育ててきた成果と自信の表れだろう。「ソングバード」から、横山がアコギを背負って歌った「風に吹かれて」、壮大な演奏に青空を想起させた「sora」としっかり聴かせる曲が続くと、切ない曲調に佐藤のトランペットが彩りを添えた「雨のあと」は、演奏を終えた横山が「めちゃくちゃ良かったな!」と、嬉しそうに感想をこぼす。

「俺らなりのラブソングです」と始まった荒々しくもセンチな「ふたり」から真っ直ぐな表現が胸を打つ「ラブソング」、アルバムのラストソングである「東京より愛をこめて」と愛を届ける楽曲が続いた後は、アップテンポな「トーキョーナイトダイブ」が会場の空気をガラリと変え、観客が拳を突き上げ体を揺らす。「オリオン」、「春一番」と季節感ある曲が続き、それぞれが風景を頭に描き浮かべる中、「こっから後半戦って感じで。大丈夫? もうちょっと満喫する?」と横山が短いMCを挟むと、ライブは早くも後半戦へ。

KOTORI

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その先に見ている喝采に向けて心の炎を静かに着火した「SPARK」から、「REVIVAL」で楽曲が壮大に展開していくと、その開放感に両手を挙げる観客に炎が引火。楽曲に込めた感謝の気持ちもしっかり伝わった「I'll Never Walk Alone」、「RED」から「EVER GREEN」と続く熱い展開は、想いを乗せた激しい演奏が聴く者の心を揺さぶる。うまくいかない日々に<まぁこれくらいがちょうどいい>とうそぶく歌詞と現状があまりに重なりすぎている「素晴らしい世界」は、やがて訪れる最高な時への希望や期待もしっかり感じさせ、「もうちょっと経てば、一緒に歌える日が来るんで、もうちょっと頑張りましょう!」と叫ぶ横山の姿に胸が熱くなる。まさに大きく羽を広げて大空に飛び立つような、壮大な歌と演奏で聴かせた「羽」を披露すると、ライブはいよいよ終演へと向かっていく。

最後のMCで、「ツアーをやる前は「やらない方がいいんじゃないか?」と思うこともあったんですが。結果、「来てくれてありがとうございます」と言ってくれる人が多くて。この時期にツアーをやって良かったなと思うし、この時期でも見に来てくれる人がたくさんいて、僕らは本当に幸せ者だなと思います。ありがとうございます!」と感謝の言葉を告げた横山。「音楽でしか何か他人に与えることは出来ないんですけど。せめて音楽くらいは誰かのためになればいいなというのが、僕がコロナ禍で考えた音楽をやる意味でした。これからも誰かが俺らの音楽を聴いて前に進めるなら、音楽を続けていこうと思います」と決意を表明し、「みんなの人生と共に僕らの音楽がありますように!」と始まった本編ラストの曲は「光」。歌と演奏の一音一音に想いを込めて披露したこの曲がみんなの心、そしてここからの旅路を強い光で照らす中、KOTORIは両国国技館公演の幕を閉じた。

上坂仁志

上坂仁志

改めて会場を見回した横山が「とんでもねぇところで演ってんな、俺たち!」と笑い、リラックスした雰囲気で始まったアンコールでは、「フルボリューム、フルウェイト、フルレングス曲を1曲演って終わります!」と、爆音で「YELLOW」を披露。拳を上げる観客からは心の大合唱が聴こえてくるようで、大会場ながらライブハウスさながらの一体感が生まれる中、大一番を大団円で締めくくったKOTORI。「ここからも地道にやっていきます」と謙虚に語っていた横山だったが。幾多の困難を乗り越え、両国国技館での大一番に挑み、鍛え上げたスキルとメンタルでさらに前へと進むKOTORIの未来はきっと明るく、希望に満ち溢れていることだろう。

取材・文=フジジュン 撮影=Masanori Fujikawa

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