福岡発・新世代バンドyonawoが12月2日、新木場STUDIO COASTで『yonawo 2nd full album「遥かいま」release one man live tour』のファイナル公演を開催。本公演のオフィシャルレポートが到着した。

12月2日、yonawoが『yonawo 2nd full album「遥かいま」release one man live tour』のファイナルとなる東京公演を新木場STUDIO COASTで開催した。彼らにとって過去最大規模のワンマンとなったこの日は、チケットもソールドアウト。詰めかけたたくさんのオーディエンスの前で、これまでと変わらない自然体のまま、バンドとしての確かな成長を示すライブとなった。


幻想的なSEが流れる中、薄明りのステージにセットアップを着たメンバーが登場すると、荒谷翔大が初めて日本語詞で書いた曲だという“浪漫”からライブがスタート。ゆったりとしたリズムに艶やかなギターが乗り、エレピを弾きながら荒谷が歌うと、文字通りロマンチックな空間に誘われる。音源よりもコンパクトにまとめた“ごきげんよう さようなら”に続いて、“ミルクチョコ”では斉藤雄哉がオレンジ色のピンスポットを浴びながらギターソロを弾き、「チルいけどエモい」とでも言うような、独特な雰囲気が生まれていた。


音源では電子ドラムを用いた1分半の小品だった“夢幻”は、ライブアレンジになって大きく生まれ変わり、唐突なリズムチェンジを交えながらのサイケデリックジャム的な演奏がかっこいい。『遥かいま』の収録曲はリズムのアレンジに特徴のある曲が多く、“恋文”ではシンコペーションを繰り返すリズムに、<私は私じゃないわけない 貴方は私じゃないわけない>という印象的な歌詞が乗るのが心地いいし、“sofu”では音数を絞りつつ、変拍子にして、そこに斉藤のボリュームペダルを使った奏法が組み合わさっていく。


中盤のハイライトとなったのは、亀田誠治をプロデューサーに迎えて制作された“闇燦々”。マイケル・ジャクソンやシックのような80年代サウンドを今に更新するyonawo流のディスコファンクは、田中慧のベースラインと野元喬文のタイトなビート、斉藤のカッティングがグルーヴを作り出し、現在のバンドの開かれたモードを象徴する一曲だ。とはいえ、急にパーティー感が出るわけではなく、平熱感は保たれたままに、フィジカル的にも気持ちの面でもジワジワと高揚するような、実にyonawoらしいダンスナンバーだと言えよう。


ライブ中盤ではファンにお馴染みの曲が続き、AOR調の“トキメキ”で荒谷がアウトロでフェイクを聴かせると、「こんな感じでやっていくんで、ユラユラ楽しんでいってください」とフロアに声をかけ“good job”へ。そのアウトロからシームレスにシンベに移り、SF的なムードを漂わせた“rendez-vous”は、終盤で斉藤がギターを思いっ切り歪ませ、スケール感のある演奏を披露。今年の夏は『フジロック』のWHITE STAGEにも出演するなど、大きなステージもすっかり板についてきた印象を受ける。


ここからは荒谷もギターを持ち、セッション風の“The Buzz Cafe”ではドラムに強烈なダブ処理が施されたりと、遊び心が感じられる。田中がウォーキングベースを聴かせるジャジーな“26時”に続いては、「寒くなってきたので、たぶん合います」という紹介から、“はっぴいめりいくりすます”を披露。先日彼らが地元・福岡に作ったプライベートスタジオ「Haruyoshi」でのレコーディングの模様を映像化したミュージックビデオも公開されているが、新木場STUDIO COASTの広い会場もアットホームな雰囲気に包まれた。


この日唯一の長めのMCコーナーは、相変わらず友達の家で話しているようなフランクな雰囲気がyonawoらしい。ライブ終盤は人気曲が立て続けに披露され、“矜羯羅がる”では途中で“Just The Two Of Us”を一節挟むお馴染みのアレンジで楽しませて、“ijo”では野元によるループのリズムがトリップ感を生んでいく。そして、本編ラストに披露されたのは「12月の歌」でもある“蒲公英”。ロマンチックな楽曲が多いyonawoの楽曲の中にあって、もっともロマンチックな部類に入る一曲であり、最後にもう一度スケール感のあるサイケデリックな演奏を聴かせて、本編が締め括られた。


アンコールでは冨田恵一(冨田ラボ)がプロデュースで参加した“哀してる”を披露。荒谷が好きな歌謡曲を意識したというこの曲は、やはり情感たっぷりに歌われるボーカルが素晴らしく、“闇燦々”とはまた違う意味で、現在のバンドの開かれたモードを示す一曲だと言える。オーディエンスから大きな拍手が贈られる中、この日最後に披露されたのは、アルバムでもラストに収録されている“美しい人”。長尺のアウトロはいつまでも聴いていたいと思わせるような素晴らしい演奏で、心地よい余韻とともに、充実のツアーファイナルが幕を閉じた。

文=金子厚武 撮影=Toyohiro Matsushima