2021年は「BLUE GIRL」「本物」「ワタシ」「hitonatsu」「ふたり基地」「カランコエ」の6曲を立て続けに配信。関西最大の十代才能発掘プロジェクト『十代白書 2021』のグランプリ獲得や、『KANSAI LOVERS 2021』のオープニングアクト抜擢なども話題を呼んだ、平均年齢19歳の4ピースバンド、ハク。がキャリア初のミニアルバム『若者日記』を1月19日(水)についにリリースする。2019年5月の結成以来、わずか2年半での大躍進に今やネクストブレイクの声も上がる彼女たちだが、目まぐるしい環境の変化が巻き起こした戸惑い、喜び、不安、そして大いなる予感を胸に、自らの音楽を精いっぱい奏でた日々が形を成したのが、この『若者日記』だ。耳に届く声をプレッシャーではなく、エネルギーに変えて。まだあどけなさの残る歌声に、確かな光を込めて。「時代を曲にして残したい」と願うあい(Gt.Vo)が、揺れ動く想いと激動の1年を語る初インタビュー。ハク。のまばゆき出発点をここに記す――。

ハク。

ハク。

●やれば絶対に変わると気付けた●

――2021年は関西のシーンでハク。の名前をよく聞くようになった、濃い1年でした。

もうスピード感がハンパなかったです。最初は本当に右も左も分からなかったんですよね。ありがたいことですけど名前だけが広がっていく怖さとか、いっぱい課題もあったので、やっぱり不安の方が大きかった。いろいろと言われたこともあったけど、それで気付くこともあったから、だんだん「経験」というか……。この2文字じゃ収まり切らない話ですけど、周りの人にも支えられて、最近は「頑張ろう!」という気持ちにちゃんとシフトしました。「今、置かれている状況をラッキーと思おう」じゃないけど、この1年でやれば絶対に変わると気付けたから。そういうメンタル面の強さも、メンバーのみんなで大きく成長できたかなと。

――そんなメンバーとは、高校生の頃からの仲ということで。

元々は専門学校のサークルで出会って(※高校生ライブイベント『BREAK OF LIMIT』から生まれた音楽サークルで、平日の放課後の時間帯に高校生に向けて無料で講義を実施)。まゆ(Dr)と私、カノ(Ba.Cho)となずな(Gt)の高校が一緒で、高2のときにそのサークルで勧められて初対面でバンドを組んだんです。それまでに高校の軽音学部でバンドをやったことはあっても、校外でちゃんと組むのは初めてで。私は結構人見知りなんですけど、そのワクワク感がテンションに出たのか「よろしくー」みたいな感じで割と普通に話せて、LINEの方が「最初に何て送ろう?」と緊張しました(笑)。

――今でもバンドが続いてるということは、馬が合ったということですね。

大なり小なり問題はあったけど、そこで「もう無理!」とはならずに、物事をちゃんと考えて解決する姿勢になれたのはよかったなと思いますね。

――ちなみにその問題は、ここで言えるような内容?(笑)

まぁ……ここでは言えないディープなやつもあるんですけど(笑)、仲良くなってくると良くも悪くも気を使わない部分が出てくるじゃないですか。身近だからといって、言って良いことと悪いことがあって、そういう子どもだった部分に気付けたというか。

――言わばバンドメンバー特有の距離感をつかむまでの……友達でもなく、家族でもなく、みたいな誤差が。

そう! まさにそれでした(笑)。

●曲を作らないという選択肢はない●

ハク。

ハク。

――楽器を手にした大きなきっかけは中学校の吹奏楽部にさかのぼるみたいですけど、そもそもの音楽との出会いは?

合唱部だったいとこに影響されて、小さい頃に車の中でアンジェラ・アキさんの曲とかを熱唱していました。振り返っても、歌は好きだったなと思います。中学校はバドミントン部か吹奏楽部に入るかで迷ったんですけど、バドミントン部の体験入部で「私には無理だ……」と思って(笑)。あと、中1のときの吹奏楽部の顧問の先生が、本当に表現豊かな先生で、自分にめちゃめちゃ刺激をくれた人だったんです。例えば、「ここのクレッシェンドにはこういう意味があるんだよ」とか、「ここの一音がキラキラしていて素敵だよね」とか、音に意味を持たせるというか。

――ただの記号とかテクニックじゃなく、作者の想いとか感情の部分を教えてくれたと。

それで音楽を好きになったのはありますね。吹奏楽部ではパーカッションをやっていました。本当はサックスをやりたくて、しかも最初から割と吹けたんですけど、その顧問の先生に「いや、そのパッションはパーカッションに必要です。あなたはパーカッション!」みたいに言われて「えぇー!?」と(笑)。でも、パーカッションもめっちゃ楽しくて、いろんな楽器に触れるし、トライアングルひとつでも中学生なりに鳴らし加減とかも研究したし……それもあって今、音楽を聴くときに感動する場面がいっぱいあるので、パーカッションでよかったなと思います。

――先生はそういうところも見抜いていたのかな……でも、今は結局、ドラマーじゃないですね(笑)。

そうなんですよね(笑)。それはやっぱり歌が好きだったのもあるし、中3の高校受験のときに勉強がイヤになって、京阪モール1階の催事場みたいなところで、楽器を安く売っていたのをたまたま見に行ったんですよ。その頃は呼び込みとかに弱いタイプだったので、「あーまた捕まった!」と思いながらウクレレとギターを弾いてみたら、何かいいなぁと。ちょうど家族も一緒にいたので、受験の気晴らしにでもと買ってもらったんです。そこから、さっき話したサークルに連れて行ってくれた同級生がBOL(=『BREAK OF LIMIT』)に出ている姿を見て、私もやってみようかなと弾き語り用にオリジナル曲を初めて書いたのが高校1年生の冬ですね。ハク。を組んだとき、やっぱり自分で曲も作りたいという意志が出てきて、今でもそれが続いています。

――弾き語りも楽しかったけど、そこからバンドの醍醐味を知った。

まずはやっぱり、メンバーが「この曲、めっちゃいいやん」とか「あの頃にしか書けなかった曲でいいね」と言ってくれるのが嬉しかったですね。曲を褒めてもらえるとモチベーションも上がるし、メンタル的に苦しい時期があっても、曲を作らないという選択肢はないというか、頑張ろうと思えるんで。

――そういう意味ではメンバーであり、一番最初のリスナーですね。その声がやろうと思わせてくれると。

●あのときの今が昔になって、自分を振り返る音楽になる●

ハク。

ハク。

――そうやって少しずつ配信でリリースしてきた曲が、1stミニアルバム『若者日記』でズラっと集まったのを見ると、ちょっと感慨深いですね。

本当に! ハク。として初めて作った「ワタシ」なんかはロックな感じで、高校生の頃だからこそできた曲だなと思うし。

――「ワタシ」は初めてライブハウスに行って感じたことを曲にしたと。

ESAKA MUSEに『YAMAMUROCK FES.』というイベントを観に行ったとき、MCとかも当時の自分にぶっ刺さることばっかりで。ここにいる人たちはみんな音楽が好きで集まっているんだと思えたから、バンドが「ありがとう」と言ってくれるのもうれしかったし、勇気付けられることばっかりで。

――「ワタシ」の<好きなものを好きと言えば良い/頭じゃそんなもんめっちゃ分かってる>というフレーズはある意味、歌詞っぽくないというか、ほとばしる気持ちが溢れ出ていて。17歳のときに書いたという「本物」しかり、例えば僕は10代、20代の気持ちを今はそこまで鮮明に思い出せないので、ハク。はそれをリアルタイムでこれからも残していけるのが大きな魅力で武器ですよね。

それがうれしいんですよね。当時はただただ作って、ライブハウスで歌って……と思っていたんですけど、あのときの今が昔になって、自分を振り返る音楽になるのを最近は感じていて。素直に書いてきてよかったなと思います。

――「本物」の<全てを変えることはできないと知った肌寒い夜に/あの子の目を変えた何かが私も知りたくなったんだ>の2行もとても良いですね。気になりました。

うれしい。それも当時、サークルに連れて行ってくれた友達が、今は解散しちゃったんだけどバンドを組んでいて、その姿を見て書きました。何かいいなぁと憧れる存在だったので。

――その「本物」とか「BLUE GIRL」もそうですけど、サビ前の展開が独特ですね。

言われてみれば、そうですね(笑)。「BLUE GIRL」を作ったときはサカナクションをよく聴いていて……。

――あいさんのTwitterにもよく出てきますもんね。

めちゃめちゃ見られている(笑)。中学生のときに自分を変えてくれた吹奏楽部の顧問の先生が、まず音楽を好きになった理由の一つで、その次がサカナクションなぐらい好きなんですよ。(山口)一郎さん(Vo.Gt)のインスタライブを見て、音楽に向かう姿勢、一音に対する考え方、先を見る力とか……自分にはないものばっかりで、めっちゃ感動して。そこからサカナクションにどハマりしました。

――資料には「真似はいつか自分のオリジナルになる」という言葉が好きだと書いていましたが、もしやこの言葉は……。

一郎さんです(笑)。本当にその言葉で自分の世界が広がったので。

――あいさんのTwitterを見て感心したのは、「時代を反映しながらもオリジナルでなければならない」みたいなことをすでに言っていて。とても芯を突いているなと。

いやぁーそれも師匠のおかげですよ。と今、初めて呼びましたけど、勝手に(笑)。本当にいつかお会いしたい方ですね。

●この4人でバンドをやれてよかった●

ハク。

ハク。

――『若者日記』には、ハク。が世に知られるキッカケとなった「アップルパイ」も収録されていますね。

実体験ではないんですけど、キャッチーな曲を作りたいなと思って。高校生の頃は聞こうとしなくても友達の恋愛の話が飛び交っていたりするんで、「へー、ふーん」と思いながら書いてみた曲です(笑)。だから最初は、こんなにも反響があるとは思わなくて、そわそわしちゃう感じでした。世の中的に見たらまだまだ少ない再生回数かもしれないけど、自分たちにとってはめちゃめちゃビックリすることだったんで。

――曲を書くときにこだわっているところはありますか? 特に言葉の乗せ方が面白いなと思ったんですけど。

言葉の言い回しには気を付けていますね。イメージが膨らむように、連想させるように、というのはあります。サカナクションを聴いてから、言葉を切る箇所とか伸ばす部分に面白さを感じていて、そこも無意識的に意識して作っているのかなと。

――「ふたり基地」は収録曲の中でもひときわ洗練された曲ですが、これには男性コーラスが入っている?

違うんですよ。ベースのカノは低い声が出るんで(笑)。

――意外! 「アップルパイ」のいい意味での拙さから、「ふたり基地」まで聴き進めると如実に成長を感じますね。

確かに感じます。でも、成長したことを自覚したというよりは、「成長しないといけない」と自覚したというか。曲がいいと言ってくれる人や、周りにスタッフさんがいることは当たり前じゃないし、例えば同級生のバンドにハク。を見られたときに、認めてもらえるようにじゃないけど、納得してもらいたかった。「アップルパイ」の頃はメンバーみんなの心もまだ弱かったけど、弱いままじゃダメだと気付けたこの1年でもありましたね。

――バンドを結成してから今までで最大の危機や喜びは何かあります?

危機は……去年の夏ぐらいに、メンバーの気持ちが落ちちゃったというか、気持ちが離れちゃったことがあって。

――割と最近!

やっぱり気持ちが離れると音にも出るし、それは音楽に対してもだったのかなと思うんですけど。でも、みんなの周りの環境が整ったり、関わる人が変わっていい方向に気持ちが持っていけたメンバーもいるし、私の場合は相談する先生やメンバーがいたから、自分の頑固な部分にも気付けた。心にちゃんと余裕を持たせようと気持ちがチェンジしたから、危機も乗り越えられたのかなと。いろんな人の考えを聞いて、前より一旦飲み込む力も付いたし(笑)。メンバーがいるからまともでいられるというか、成長させてくれるのはありますね。一番の喜びは……デッカく「よかった!」と思うことが起きるというよりは、メンバーから「ハク。でよかった」とか「一緒にやってよかった」と言われる方が、ウルッときますね。まだ結成して期間は短いかもしれないけど、そこで思うんです。この4人でバンドをやれてよかったなと。

●時代を曲にして残したい●

ハク。

ハク。

――リード曲の「カランコエ」は、現時点でのハク。の一つの到達点と言える曲だと思いますけど、コロナ禍の2020年4月には、まだ題名もない状態で歌っていて。

「カランコエ」は、コロナで世の中がピリピリしているのを見ていたとき、『#うたつなぎ』(※コロナ禍にミュージシャンが歌唱動画を投稿し、また次の歌唱者を指名するリレー形式の企画)が回ってきたのもあるんですけど、せっかくつなぐなら、時代を曲にして残したいと初めて思って作った曲ですね。

――「カランコエ」は花の名前なんですね。

題名を付けるときに、ありがちなんですけど花言葉を調べて。「優しさ」という意味が一番分かりやすいんですけど、花もかわいいし、ピピッときて付けました。

――今、人に優しくあれるかどうかを問うことは、まさに時代を映しているかもしれないですね。そして、ハク。の活動方針として、「ありのままごころ」というキーワードが掲げられています。

今、通っている専門学校の担任の先生に、「ハク。はバンドとして大切にするものを何か持った方がいい」と言われて。そのときに、「ありのままの素直さ」と「人間らしい心」を大切にしたいなと思って付けた言葉です。バンド名もその先生が関係していて、「どんなバンド名がいいの?」と聞かれたときに、「カタカナがいいです」と答えて。そこから、音楽をするときに何色にも染まれるようにというか、当時はロックにも染まれるし、ちょっとインディな曲もやってみたい、という後付けでハク(=白)にして。句読点の「。」は、私たちはサークルに通ってできたバンドだから、最後に「。」を付けてハク。になりました。

――なるほど、納得。2月には東京、3月には大阪で『若者日記』のレコ発ライブも行われますが、大阪はキャリア初のワンマンですね。

いやー頑張らないと! ワクワクもするし、4人だったらできるんじゃないかと、今なら思えるんです。まだまだ未熟だけど、そこに向けて頑張ることを絶対にやめるつもりはないし、成功させたいですね。

――最後に。今後どんなバンドになっていきたいか、現時点で思うところはありますか?

これからも同じメンバーで……時が経ってもずっと残るような、人に聴いてもらえる音楽を作り続けたいと思っています!

ハク。

ハク。

取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=渡邉一生