2019年に初演がおこなわれ絶賛を浴びた韓国のオリジナル創作ミュージカル『1976ハーランカウンティ』(1976 할란카운티)。その2021年再演版の映像が、2022年1月14日(金)〜26日(水)、イープラスの配信サービス「Streaming+」に登場する。トリプルキャストで演じられた主人公ダニエル役のうち、今回はFTISLANDのイ・ホンギとB1A4のサンドゥルの出演した「日本語字幕付き」舞台映像をそれぞれ期間限定で鑑賞できる(イ・ホンギ主演版=1月14日〜19日、サンドゥル主演版=1月21日〜26日)。

『1976ハーランカウンティ』

『1976ハーランカウンティ』

『1976ハーランカウンティ』は、米国中南部ケンタッキー州ハーラン郡炭鉱村で起こった、米国労働運動史上に残る熾烈な闘争を描いた1976年のドキュメンタリー映画『Harlan County, USA』(監督:バーバラ・コップル/第49回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞受賞)をモチーフとして創作されたミュージカル作品だ。

『1976ハーランカウンティ』イ・ホンギ

『1976ハーランカウンティ』イ・ホンギ

1970年代半ばのケンタッキー州では奴隷制度廃止(1865年)から100年以上を経てもなお、州法で黒人解放を受け入れていなかった。孤独な青年ダニエルと、ろうあ者で黒人のライリーは自由を求めて北ニューヨークへと向かおうとしていた。同じ頃、ハーラン郡では炭鉱夫たちがストライキをおこない、イーストオーバー鉱山会社と激しく闘争を繰り広げていた。労働組合長モリソンは全国鉱山労働組合協会に入会するためにペンシルベニア鉄道駅に来ていたが、何者かに襲われてしまう。彼は、たまたま居合わせたダニエルとライリーに「鉱山のジョンに渡して欲しい」とある封筒を託し、死んでしまう。依頼されたことを果たすためにハーラン郡炭鉱村を訪れる二人が遭遇したのは……。正しくないことがまかり通る米国で、一人の青年が正義のために理不尽な世の中と戦い、成長していく物語である。

『1976ハーランカウンティ』サンドゥル

『1976ハーランカウンティ』サンドゥル

本作の脚本・演出は、ユ・ビョンウン(유병은)。彼は、ノンバーバル・ミュージカル『JUMP』でアクロバット俳優としてデビューし、ブロードウェイのステージにも立った。やがて、ワン・ヨンボム演出のミュージカル『三銃士』のアンサンブルを経て同作や『ジャック・ザ・リッパー』の武術監督となり、さらに『フランケンシュタイン』『ロビンフッド』『オール・シュック・アップ』等でワン・ヨンボムの演出助手として力をつけてきた。2016年には『ザ・アンダードッグ』で初の脚本・演出。その後、2016年10月からソウルの光化門広場でおこなわれたキャンドル集会(パククネ大統領への弾劾集会)をきっかけに、ハーラン郡鉱山の労働争議を知り、『1976ハーランカウンティ』を企画。これが自身の出身地である釜山の文化財団の青年演出家製作支援事業に選ばれ、『ザ・アンダードッグ』以来の作曲家カン・ジンミョン(강진명)とタッグを組み、2019年1月釜山、4月〜5月ソウルで初演が披露された。

『1976ハーランカウンティ』

『1976ハーランカウンティ』

今回、配信されるのは、2021年5月〜7月にソウルの忠武アートセンター大劇場で再演された公演の舞台映像。温かく純粋な心を持った主人公ダニエル役は、ごぞんじFTISLANDのメインヴォーカルで、2021年4月に兵役から除隊したイ・ホンギ。『帰還』『あの日々』などミュージカル俳優としても確固たる地位を築いてきた(現在『ジャック・ザ・リッパー』出演中)。そしてもう一人のダニエル役として、B1A4のサンドゥルが登場。彼もまた『兄弟は勇敢だった』『シンデレラ』『アイアンマスク』『シャーロック・ホームズ』などミュージカル界で華々しい活躍を繰り広げてきたが、2021年11月から兵役に就いたため、舞台出演映像を拝めるのは非常に有難い。

『1976ハーランカウンティ』

『1976ハーランカウンティ』

主人公の脇を固める俳優たちにも注目だ。鉱山労組のために最後まで戦うジョン役のイ・ゴンミョン、キム・ヒョンギュン。親のようにダニエルの世話をしてくれるライリー役にキム・リュノとアン・セハ。ハラン郡の女性鉱夫であるエレナ役にはイム・チャンミンとイ・サンア。ジョンの妻であるナタリー役にはキム・アソン。労組の反対側から自分の信念で戦っていくバジル役にイム・ビョングンとキム・ジチョル。労組を弾圧するパターソン役カン・ソンジンなど、韓国ミュージカル界の精鋭が集結した。

主なスタッフは、脚本・演出:ユ・ビョンウン、作曲・音楽監督:カン・ジンミョン、振付:ホン・ユンソン、ステージデザイン:ソ・スクジン、照明デザイン:ミンギョンス、衣装デザイン:ユン・ナレ、映像デザイン:キム・チャンヨン、企画チームプロデューサー:イ・ソンモ、スタッフ制作監督:ヨ・ジヘ、カン・ヒョミ、技術監督:イ・ユウォン。

扱う題材が炭鉱ストライキということで、英国の炭鉱ストを扱ったミュージカル『ビリー・エリオット』をほうふつとさせる感もあるが、さすがはミュージカル先進国といってよい韓国、こちらはこちらで脚本、音楽、演出等いずれも大変に優れ、「傑作!」との評判を呼んだだけのことはあるオリジナル・ミュージカルに仕上がっている。新型コロナ感染症の流行で渡韓して観劇することが難しくなった今、そしてオミクロン大流行により再びステイホームをおこなうべき今、FTISLANDやB1A4のファンはもちろんのこと、すべてのミュージカル・ファンにとって、このうえなく嬉しい映像配信といえるだろう。

『1976ハーランカウンティ』

『1976ハーランカウンティ』