6月24日(金)の東京・新国立劇場 小劇場を皮切りに、大阪、福岡、愛知を巡る舞台『M.バタフライ』。同作品は驚愕の実話をもとに、劇作家のデイヴィット・ヘンリー・ファンがオペラ『蝶々夫人』を劇中に取り入れ創作したもので、1988年にはトニー賞最優秀演劇賞を受賞。世界30か国以上で上演され、日本での公演はこれが32年ぶりとなる。上演に先駆け4月22日(金)に大阪市内にて、主演の内野聖陽を招き記者会見が行われた。

内野聖陽

内野聖陽

駐在フランス人外交官のルネ・ガリマールが、1960年代の中国北京で京劇のスター女優であるソン・リリンと出会うところから始まる同作。人目を忍びつつ男女の仲になるのだが、その実、ソン・リリンは毛沢東のスパイであり男だったというセンセーショナルなストーリーだ。主人公のルネ・ガリマールを、抜群の演技力を誇る内野聖陽が、その相手役のソン・リリンを、今注目を集める若手俳優の岡本圭人が演じる。

まず会見で内野は、台本を初めて読んだ時の感想を「衝撃的なラストに、役者としてかけることのできる作品だなと感じました」と語り、自身の役、ルネ・ガリマールを「マッチョなタイプではないですね。理想の女性を追い求めていてロマンチスト」とキャラクターを分析。さらに共演の岡本については「すごく勉強家で役と向き合う粘り強さを持っている人。ガリマールが虚像にからめとられていく過程を一緒に丁寧に描いていきたい」と述べた。

内野聖陽

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また「人を好きになったり、恋をしたりということのなかには、幻想も含まれるというか。なので(ソン・リリンにだまされるルネ・ガリマールを)僕は遠い人のようにはとらえていないし、みなさんからも遠い話ではないと思います」と物語の普遍性を示すとともに、「普通の人にでも起こりうるよう見えれば。お客様の「これだったらだまされちゃうよね」という感覚を呼び覚ますものになったらいいなと思います」と抱負も口に。

さらに「ある日突然、信じていたものや自分がやってきたことが崩壊した時、人はどうするのか? 自分だったらどう落とし前をつけるのか? そういうところに興味があります。そしてそこがおもしろいところですね」と自身が感じた同作の魅力も明かした。

そして最後に「(芝居は)いきなり(ルネ・ガリマールが)独房で語るシーンから始まるんです。彼の脳内の話を共有していくという作り方。僕の脳内劇場みたいなもので、僕が水先案内人みたいなもの。そういう意味ではすごくプレッシャーはありますね」と話しつつも、「プラトニックな関係ではなかったはずなのに、どうしてガリマールは(ソン・リリンの嘘に)気づかなかったのか? いかに恋に落ち、いかに(犯罪で)手を汚してしまったのか? みなさんにも起こりうる間違いや錯覚を含めて楽しんでいただけたらなと思います」とコメントを残した。

内野聖陽

内野聖陽

なおキャストは内野と岡本のほかに、朝海ひかる、占部房子、藤谷理子、三上市朗、みのすけといった実力派が顔をそろえ、劇団チョコレートケーキの日澤雄介が演出を担当。多数の受賞歴を持つ演出家の日澤が『M.バタフライ』の何層にもなったテーマや生々しい人間ドラマをどのように展開させるのかにも注目だ。

全4か所での公演は、6月24日(金)〜7月10日(日)に新国立劇場 小劇場(東京)、7月13日(水)〜15日(金)に梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪)、7月23(土)、24日(日)にキャナルシティ劇場(福岡)、7月30日(土)、31日(日)にウインクあいち 大ホール(愛知)にて行われる。

内野聖陽

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取材・文=服田昌子 撮影=福家信哉