来る5月4日(水)、5日(木)に、東京と大阪の2会場にて開催される『SamoonJaopa ファンミーティング 2022』のため、現在来日中のタイ俳優シントー・プラチャヤー。遠路はるばる日本へやってきたシントーは、来日早々に渋谷へ赴き、自身の日本公式ファンクラブ「SamoonJaopa Japan」の運営スタッフと初の顔合わせをした。タイ出発後初となる食事を楽しんだ後は、翌日に放送された大阪のラジオ局 FM802『EVENING TAP』用にコメント取りをするなど、来日初日から大忙し。そんな4月26日(火)の様子を、空港到着直後から『EVENING TAP』のコメント収録までお届けしよう。

4月26日(火)早朝。閑散とした成田国際空港第1ターミナル到着ロビーに、空港警備員の規則正しい足音が響く。雲が低く立ち込め4月とは思えぬ湿り気を帯びた空気が肌をくすぐる。各国の到着時間を知らせる電光掲示板には「8:11 バンコク(スワンナプーム) タイ国際航空 定刻」の文字が。そう。今日はタイ俳優、シントー・プラチャヤーがSamoonJaopa Japan主催ファンミーティングのため、ここ日本にやってくるのだ。

シントーはじめ同行スタッフは皆、この日のために万全の対策を講じていた。世界の景色を一変させたコロナ禍において海外に渡航することがいかに難しいか、彼らの努力を見ればよくわかる。健康管理を行い、できる限りのリスクを回避して、ファンミーティングに向け日々尽力していたのだ。彼らの努力を十分に理解している日本のファンは、感染予防対策のため空港の出迎えをしないようアナウンスされた公式発表に従い、逸る気持ちを抑え、空港に足を運ばなかった。誰一人として。「シントーたちが無事に到着できますように」「良い旅となりますように」と願うファンの気持ちと、シントーらの努力があったからこそ、今回の来日が実現したのだと強く感じた。

8:11、成田国際空港に到着。

8:11、成田国際空港に到着。

AM8:20。シントーら一行を乗せた飛行機が到着したことを知らせるアナウンスが、小さく反響しながら到着ロビーに響く。コロナ前であれば搭乗客は到着後一時間ほどでロビーに姿を現せたが、今は違う。抗原検査を行い、2時間以上の時間を費やし、やっと入国することができる。水際対策の厳しさを目の当たりにしながら、我々撮影スタッフは彼らの姿が確認できるまで祈るような気持ちでゲートを見守り続けた。

AM10:45。黒いハットにサングラス、黒いマスクをつけたシントーと、同行スタッフが到着ゲートから姿を現した。この大変な状況の中、彼らは本当に日本に来てくれたのだ。感じたことのない熱い思いが、湿った空気と呼応し、首筋や背中を伝い体温をあげていく。

送迎車に向かう途中、空港を背景に何点か撮影。長時間のフライト、水際対策での拘束で疲れているはずなのに、一切疲れを見せず笑顔を携え、快く応じてくれるシントー。短時間でSPICE用の撮影を終え送迎車に乗り込んだ彼は、我々スタッフに丁寧に何度もワイ(合掌)をしてくれた。

PM1:40。渋谷eplus LIVING ROOM CAFE&DININGに到着。ここでFCスタッフらとの会食、取材がおこなわれる。eplus LIVING ROOM CAFE&DININGは、渋谷スクランブル交差点そば、渋谷プライム5Fにある。「アーティストが友人を自身の邸宅に招きもてなす」というコンセプトでデザインされた店内は、ゆったりとしたソファやバーカウンターなど様々な空間が用意されており、シントーたち一行もサバーイサバーイで(リラックスして)過ごしてもらえるような素敵な雰囲気だ。

到着早々、シントーは興味深く店内を見ながら控室に移動しメイクを開始。ヘアメイクスタッフと流暢な英語でコミュニケーションを図るシントーの声や、マネージャーのジェーンらスタッフの笑い声が響く。日本人スタッフが「飛行機は疲れませんでしたか?」とタイ語で語り掛けると目を丸くし、「タイ語が話せるんですか?」と嬉しそうに笑う。「疲れてはいないんだけれど、眠れなかったです。前の夜から眠れていないんです。緊張して。でも大丈夫。とても良い旅です」と首にかけている小さな仏像を大事そうに触り、一つ一つの言葉を紡ぐよう丁寧に答えた。

PM14:30。役員を交えたFCスタッフとの挨拶や撮影を終え、会食がスタート。美しく盛られた前菜、サラダが運ばれると、「いただきます」と美しい発音で日本語を披露するシントー。これには役員たちも思わずびっくり。「日本語はどれくらいできますか?」との問いに、「最近自己紹介はちゃんとできるようになりました。「こんにちは。私はシントーです」や「ありがとうございます」、「いただきます」は言えますね。あと最近覚えたのは「恥ずかしいね」、「恥ずかしいです」、「うるさい」かな。アニメから覚えることが多いです。日本の好きな歌……。Do As Infinityさんは『犬夜叉』のエンディングテーマでとても好きになりました。「深い森」は、もう何度も聴いているけれど、<深い深い森の〜>ここしか歌えない(笑)。あとは宇多田ヒカルさんや、浜崎あゆみさんの「Dearest」が好きです」と、照れながら答えていた。

ペンネ カルボナーラ

ペンネ カルボナーラ

ペンネカルボナーラが運ばれる。胡椒と生クリームが絶妙に絡み合い、一口ほおばると胡椒の香りが心地よく鼻に抜ける。「今年のソンクラーンは何をして過ごしましたか?」と日本人スタッフがタイ語で質問すると、シントーは食べていた手を止め、「なんでそんなに話せるの?」と大笑い。「今年のソンクラーンは家にいて、もう一回『犬夜叉』を観返していました。普段は好きな話数を見るけれど今回は一話から観返しましたね。ちょうどシーズン1が終わったところで休みも終わりました(笑)。好きなキャラクターは殺生丸。コスプレはそのキャラクターのイメージを壊したくないからやらないです。『呪術廻戦』なら五条悟は好きです。でもコスプレはやらないですよ(笑)」と、コスプレを全力回避しながら答えていた。

「日本語も難しいけれど、タイ語もやっぱり難しいですよね。これは聞いたことありますか?「ใคร ขาย ไข่ ไก่ /クライ・カーイ・カイ・ガーイ(誰が鶏卵を売りますか)」」と、突如、シントーによるタイ語レッスンがスタート。日本人スタッフ一同、ほぼ同じように聞こえる発音に「え? 別の単語なの?」と衝撃が走る。「全部違う言葉です。いいですか?」と何度も繰り返すシントーだが、唇をほぼ動かさない。唇が動いていなければ発音の聞き取りが難しくなることを知っている彼による、茶目っ気溢れるいたずらなのだ。「タイは言葉遊びが多いんですよ。そうそう、日本の俳句に似たものがタイにもあります。自分はあまりできなかったけれど(笑)。あとはスラングも多いですね。例えば「ダイユー(イケてるけどイケてない)」、つまり「マイダイ(できない、イケてない)」という意味なんです。だから「ダイユー」と聞かれたら「マイダイ」と答えてくださいね」と笑う。

シントー先生によるタイ語レッスンで熱が入ったスタッフはタイ語で「好きな食べ物は何ですか?」と質問。「タイなら屋台料理が好きですね。特にガパオ料理が好きです。あとはたこ焼きやお好み焼きも食感が好きなんです。中身がないほうが良い。粉ものが好きですね」と答えるとマネージャーのジェーンが「イチゴ大福も好きじゃない?」と突っ込む。「そうだね。どの国のイチゴ大福も食べたけど、日本のイチゴが一番おいしいです。あんこも日本が一番。タイは粒が残ってるからちょっと違う感じなんです」と答える。

また、過去に日本を訪れた時の話もジェーンが披露してくれた。「私はプライベートも含めたら12回、シン(シントーのこと)は8回日本に来ています。シンが最後に日本に来たのは2019年12月ですね。私は買い物が好きだから買い物に行くけど、シンは人混みが苦手だからホテルでゴロゴロしていることも多い。でもね、富士急ハイランドは行ってみたいとずっと言ってるんですよ。富士山も見えてシンが大好きな絶叫系の乗り物も多いんでしょ?」と言うと、全日本人スタッフから役員に熱い視線が。視線に耐えかねた役員は思わず「富士急ハイランド貸し切りでのファンミーティング、考えておきます(笑)」と答えた。

シントー・プラチャヤー

シントー・プラチャヤー

ここでスタッフが「グッドニュースがあります、ツイッターで日本トレンド3位に入りました!」と報告。その場に居合わせた全員が歓喜の声を上げた。「日本でトレンド入りするのはすごく難しいと聞いていたから、成田空港に着いてすぐ、空港で撮影していた時の動画をアップしたんです」と、ジェーンがいたずらっぽく笑う。

メインディッシュの鶏もも肉の香草パン粉焼きが運ばれた頃、シントーは日本人スタッフに、自身お気に入りの猫の動画を見せていた。「この子が一番好きな子。友達の猫だけど、本当にずっと一緒にいたい。僕がスマホをいじっていても寝ていても、こうやって僕のところに来るんですよ。本当に可愛い。ほら、この防犯カメラを見たらわかるけど、ずっと一緒に寝ているんです。基本、猫は人を好きじゃないのに、この子はこんなになついてくる。可愛くて仕方がないです」と愛おしそうな表情を見せる。

「本当に猫が好きだけど、僕は気まぐれで、どこか行きたいところがあるとすぐに行ってしまうから飼うことはできない。友達やP’ジェーン(P’は目上の人の敬称)の猫で十分なんです。そういえば昔、家のそばにいた野良猫に「クロちゃん」、「シロちゃん」と日本名を付けて勝手に呼んでいました。それくらい本当に猫が好きなんです。バレンタインファンミーティング『Be My Valentine with Singto』でプレゼントした猫のぬいぐるみも1個持っていますよ」と、甘く優しい声で滔々と話す。

鶏もも肉の香草パン粉焼き

鶏もも肉の香草パン粉焼き

「新しいドラマ『Jenny』は、どんな手ごたえがありますか?」とスタッフがタイ語で質問すると、嬉しそうにこう答えた。「新しい挑戦です。ジェニーは。女の子の役を演じてみて、本当に女性の大変さを感じています。メイクをするとき、髪形を作るときに強く感じますね。あと痛みを感じることが女性は多いんだと知りました。つけまつげが目に入って痛いし、ハイヒールの窮屈さ、長時間履いていると背中が痛くなる、ということも知りました。スカートが短いと座るとき大変じゃないかとか、そういうのがわかるようになりました」と言って、周囲の女性スタッフひとりひとりにワイをした。

「そういえば、もうすぐ卒業式ですね」とスタッフがシントーに語りかけると、小さく頷き、ジェーンを見る。間髪入れずにジェーンが「大学の卒業式では、お祝いしたいファンがたくさんいるだろうから、一日時間を作って大学の部屋を借りています。1,200名くらい来るかな。タイの卒業式は日本の卒業式と違ってリハーサルもあるから大変だけど。特に今、タイは夏なので地獄のような暑さだからきついですけどね」と、丁寧に答えた。続いてシントーが「卒業式当日は家族や友達と過ごすから、ファンのみんなにはリハーサルの日に来てもらう予定です。日本の夏も暑いけど、タイと比べたら空気がきれい。タイは空気が重くてどんよりしちゃうけど、ファンのために頑張らなくちゃ」と、語った。

この日だけでも何度となく目撃した、シントーとジェーンの素晴らしい信頼関係について少し語りたい。シントーは疲れを他のスタッフに一切見せない。空港から休むことなくこの会場に出向いているにもかかわらず、だ。その横にいるジェーンは、適度な距離をもってシントーのそばにいる。他のスタッフと冗談を話したり、スマホを覗いているが、意識は常にシントーに向いている。

会食中、シントーからこんな言葉が出た。「P’ジェーンとは古くからの友人なんです。なんでも言い合えるし、僕が何を求めているかをすぐに理解してくれる。今は一緒に仕事をしている仲間だから「仕事が終わればそこで解散」ということもよくあるけれど、それがとても心地いいし僕にはぴったりなんです。ただ、P’ジェーンが買い物をしすぎるところだけは良くないと思います」と屈託なく笑った。二人の深い信頼関係があるからこそ、シントーは目の前のことに全力で集中できるのだと、痛感した瞬間だ。

デザート盛り合わせ(イチゴのカットケーキ、バニラアイス、フルーツ)

デザート盛り合わせ(イチゴのカットケーキ、バニラアイス、フルーツ)

デザートの盛り合わせ(イチゴのカットケーキ、バニラアイス、フルーツ)がテーブルに届く。「もうお腹いっぱいなのに、デザートだとちょっと食べたくなるよね」といたずらっぽく笑うシントー。「そういえば、日本語ではどうやって挨拶してあげたらいいですか? 「こんにちは」とかでも嬉しいですか?」とジェーンから役員や日本人スタッフに逆に質問が。次いでシントーも「お辞儀の角度があるでしょう? だからとっても難しい。え? 曲げすぎると謝罪なんですか? 知らなかった。どれくらいの角度でお辞儀をしたらいいのかな、少しの角度でいいんですか?」と熱心に聞きこんでいた。

食後のドリンクを飲みながら「日本のファンは本当にナーラック(可愛い)、ナーーーーラックなんです。例えば僕が休みの日やフリータイムに歩いているでしょ。タイのファンの子たちはすぐに『写真撮ってください』と言ってくる。僕がファンの立場だったら、絶対目をそらさず微動だにせず見続けると思う(笑)。でも、日本のファンの子たちは、そういうことをしない。写真や動画も、ものすごく遠いところから撮るんです。「そんなに遠かったら撮れないよね。僕がもっと近づいたほうが良いのかな?」と心配になるくらい遠くから、僕の邪魔にならないようにそっと撮る。ほかの国では移動車を叩いてくることもあるのに、日本のファンはしない。本当に礼儀正しいんです」とシントーは語る。

PM4:00。会食を終え、撮影とインタビューをこなすシントー。「みんなと一緒にファンミーティングをすることが久しぶりすぎて、嬉しいけれど緊張もします。前に日本のファンの子たちとファンミーティングをした時、とても大人しくて可愛かったんです。でもちょっとギャグをやったときに、会場がシーンとしたことがあって「もしかしたら……つまらない?」と不安に感じる時があって。だからドキドキしちゃうんです。今回ファンミーティングに来てくれるファンのみんな、恥ずかしがらず、僕のために思い切りリアクションしてくださいね」と笑う。

PM4:40。シントーはスタッフや役員と丁寧に挨拶を交わし、次の仕事先へと向かった。日本に到着してから8時間。帯同していた私たち撮影スタッフの前で、彼は一度もあくびをしなかった。一度も「疲れた」と言わなかった。目の前の出来事に常に集中し、意識し、自分のなすべきことを熟考し、丁寧に言葉を紡ぐ。所作の一つ一つに心が見える、素晴らしい人物であった。今回私たちが見たシントー以外にも、更に深く豊かな表情が沢山存在するのだろうと強く感じさせる、逞しい人物であった。そんな彼を感じることができるファンミーティングは5月4日(水)メルパルクホール東京、5月5日(木)大阪松下IMPホールにて全4公演開催される。彼の快進撃をぜひ見守りたい。そして参加されるファンの皆さん、シントーのために大きなリアクションで参加しましょう。きっと彼にとってはそれが一番のプレゼントだから。

取材・文=渋谷のりこ 撮影=大橋祐希

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