2022年5月2日(月)より歌舞伎座にて、『團菊祭五月大歌舞伎』が開幕する。第三部では、白浪物の人気作『弁天娘女男白浪』が上演される。この度、尾上右近が描く番傘チャリティー企画が始動することがわかった。

『團菊祭五月大歌舞伎』B1特別ポスター『弁天娘女男白浪』

『團菊祭五月大歌舞伎』B1特別ポスター『弁天娘女男白浪』

今回の上演は、尾上右近の弁天小僧菊之助、坂東巳之助の南郷力丸、中村隼人の忠信利平、中村米吉の赤星十三郎、そして坂東彦三郎の日本駄右衛門という清新な顔合わせ。弁天小僧の「知らざあ言って聞かせやしょう」といった、歌舞伎の名作者・河竹黙阿弥ならではの七五調が耳に心地よい名せりふや、華やかな“勢揃い”の場面もみどころの粋な舞台だ。

歌舞伎座『弁天娘女男白浪』弁天小僧菊之助=尾上右近  撮影:永石勝

歌舞伎座『弁天娘女男白浪』弁天小僧菊之助=尾上右近  撮影:永石勝

五人の白浪(盗賊)が活躍することから通称「白浪五人男」とも呼ばれる本作では、「白浪五人男」が「志ら浪」と書かれた番傘を差して花道に並ぶ姿は、浮世絵にも描かれる華やかで歌舞伎の有名な場面のひとつ。そして、舞台上で「白浪五人男」の一人ひとりが手にした番傘を捌きながらそれぞれ名乗りを上げる場面は、五人が勢揃いする姿と名せりふに酔いしれる名場面となっている。

尾上右近が描く番傘

尾上右近が描く番傘

尾上右近が描く番傘

尾上右近が描く番傘

今回、歌舞伎座で初めて弁天小僧を勤める尾上右近。映画やテレビにも引っ張りだこのバイタリティ溢れる若き歌舞伎俳優は、絵を描くことも大好き。そんな右近が、「白浪五人男」が実際に舞台で手にするものと同じ番傘に、現在の思いをぶつけて描いた。

尾上右近が描く番傘

尾上右近が描く番傘

尾上右近が描く番傘

尾上右近が描く番傘

用意された2本の番傘には、それぞれ、“志”と“爆”の文字が。

尾上右近が描く番傘  撮影:永石勝

尾上右近が描く番傘  撮影:永石勝

尾上右近は「“志”は、『弁天娘女男白浪』の場面に合わせて、青空に映える桜のイメージで描きました。僕の勤める弁天小僧は、桜の中で散っていきます。桜も人間も、散ると分かっていながら生きる儚さ。だからこそ、散るまでの時間を楽しむ。散るまでの生き様、僕の場合は歌舞伎役者としていかに役にこだわりを持つかが、“志”なのではないか。一方の“爆”は、弁天小僧をイメージした、赤、黒、金の3色。僕の好きな色です。弁天小僧を勤めるときに思い浮かんだ言葉が、“爆(は)ぜる”で、命を爆発させる、好きな言葉です。散るまでこだわりつづける“志”と、瞬間瞬間の“爆”。5月の歌舞伎座では“志をもって爆ぜたい”! その姿を、是非、観にいらしてください!」とコメント。

尾上右近が描く番傘「志」  撮影:永石勝

尾上右近が描く番傘「志」  撮影:永石勝

尾上右近が描く番傘「爆」  撮影:永石勝

尾上右近が描く番傘「爆」  撮影:永石勝

尾上右近が描いた番傘は、5月の歌舞伎座公演期間中、歌舞伎座・地下木挽町広場にて特別展示される。そして5月1日夕方、尾上右近は舞台稽古を前に木挽町広場の特別展示スペースを訪れ、翌日に控える初日へ向けて意気込みを語った。

尾上右近 番傘展示スペースにて

尾上右近 番傘展示スペースにて

「特別な空間をつくってくださり、感謝です。和傘も歌舞伎も脈々と息づいてきた伝統を、今生きる人間の魅力で輝くものにしていきます。だからこそ、今回は自分にも何かできることはないかと、楽しみながら、情熱を込めて描きました。本日は横殴りの雨に濡れながら、弁天小僧が育った江の島、弁天様をお参りしてきました! みんなで一丸となって、お客様に喜んでいただける舞台をお届けしたいと思います」

尾上右近 番傘展示スペースにて

尾上右近 番傘展示スペースにて

尾上右近 番傘展示スペースにて

尾上右近 番傘展示スペースにて

そして、歌舞伎の、和傘の、日本の伝統を絶やさないために……尾上右近が描いた番傘をオークションに出品し、和傘職人育成プロジェクトへ寄付することも発表された。

「廻し書き まめ番傘」サンプル写真 

「廻し書き まめ番傘」サンプル写真 

「和傘」は歌舞伎の小道具として、なくてはならないもの。歌舞伎の様々な演出に合わせて、サイズも色も仕様も多種多様な和傘が存在し、その製作は大変に高度な技術が必要となる。現在では、その技術のみならず、日本の和傘の存在自体が希少価値の高いものとなっており、複雑な構造を持つ和傘は、100以上の製作工程があり、専門の職人が分業して一本の和傘が出来上がるため、後継者不足が喫緊の問題となっている。歌舞伎の小道具を扱い、今年創業150周年を迎える藤浪小道具が発起人となり、今回、5月歌舞伎座『團菊祭五月大歌舞伎』の『弁天娘女男白浪』で弁天小僧を勤める尾上右近がひと肌脱いだ。

「廻し書き まめ番傘」サンプル写真

「廻し書き まめ番傘」サンプル写真

「廻し書き まめ番傘」サンプル写真

「廻し書き まめ番傘」サンプル写真

尾上右近が描いた番傘を、この度、チャリティー企画としてオークションに出品し、「一般社団法人 岐阜和傘協会」の後継職人育成プロジェクトへ寄付することが決まった(オークションの詳細は追って発表)のだ。また、藤浪小道具では、今回の企画の一環として、「廻し書き まめ番傘」を20本限定で販売を行う。舞台の風情そのままに、職人がオリジナルで作成する特別な番傘となっている。

なお、最新情報は、藤浪小道具公式Twitterにて案内。

尾上右近 番傘展示スペースにて

尾上右近 番傘展示スペースにて