若者のすべて -YOUNG, ALIVE, IN LOVE MUSIC-#03
2022.4.30 日比谷野外大音楽堂

フジテレビの音楽番組『Love music』と、サンライズプロモーション東京による音楽イベント『若者のすべて -YOUNG, ALIVE, IN LOVE MUSIC-#03』が4月30日、日比谷野外大音楽堂で開催された。出演バンドは合計6組、Atomic Skipper、KALMA、Hakubi、FOMARE、Maki、リュックと添い寝ごはん。前日の東京は雨天だったが快晴となり、日比谷公園の木々が新緑を輝かせていた。平年よりも少し涼しい気温ではあったが、過ごしやすい気候の中で行われたこのイベントの模様をレポートする。

■リュックと添い寝ごはん

リュックと添い寝ごはん

リュックと添い寝ごはん

開演時間の15時を迎えてステージに登場した松本ユウ(Vo&Gt)、堂免英敬(Ba)、宮澤あかり(Dr)、サポートプレイヤーのぬん(Gt)。「自由に楽しんでいってください」と松本が言い、スタートした1曲目は「home」。温かなバンドサウンド、歌声が観客の身も心も和ませているのが肌で感じられた。「晴れたねー! 今日はよろしくお願いします!」という挨拶を挟み、「くだらないまま」と「あたらしい朝」も披露されたが、屋外でのんびり過ごしながら彼らの音楽を体感するのは、本当に格別のものがあった。

リュックと添い寝ごはん

リュックと添い寝ごはん

ステージから迫ってくるサウンドを感じながらゆっくりと身体を揺らす人々の表情がとても明るい。「野外特有なのは匂いだと思う。音出しをした時に“夏だ!”って思った」(堂免)。「ほんとにそうだね。夏の匂いが近づいています」(松本)――途中の小休止で言葉を交わしていた彼らも、太陽光を浴びながら屋外で演奏する喜びをウキウキした表情で語っていた。そして「ノーマル」「青春日記」「グッバイトレイン」も届けられたが、晴れ渡った青空に向かって響き渡るサウンドが瑞々しい。春の野音という最高の環境で行われているこのイベントの魅力を、トップバッターの彼らは存分に示してくれた。

リュックと添い寝ごはん

リュックと添い寝ごはん

■Atomic Skipper

Atomic Skipper

Atomic Skipper

「ロックバンドなら」からスタートしたAtomic Skipperのライブ。客席にいる一人ひとりの心にダイレクトに語りかけるかのような中野未悠(Vo)の歌声、激しく身体を動かしながら爆音を轟かせる神門弘也(Gt&Cho)、久米利弥(Ba&Cho)、松本和希(Dr&Cho)の姿が、とにかく鮮烈であった。「人生賭けた遊びが野音にやって来たぜ!」と曲の途中で中野が叫んでいたが、“ロックバンド”と“ライブ”というものに対して彼らが注いでいるエネルギーが、まっすぐに伝わってきた。続いて「優しい世界」「幻になって」「幸福論」「人間讃歌」も届けられ、観客が掲げる拳がどんどん勢いを増していく。

Atomic Skipper

Atomic Skipper

「ちょっとでも楽しくなったり、嬉しくなったり、気持ちが楽になったり、心が1ミリでも動いたら、自分たちはここに来た意味があると思います。1ミリに奇跡を感じてバンドを続けてきたので。今日は奇跡みたいな日になるよ。絶対に後悔はさせません!」という中野のMCを経て鳴り響いた「メイビー」「シグネイチャー」も、人々の心の奥底に音と言葉を突きつけるかのような切実さに溢れていた。浜松在住の彼らのライブを初めて観る人も多かったはずだが、このバンドの名前を胸に深く刻んだはずだ。

Atomic Skipper

Atomic Skipper

■KALMA

KALMA

KALMA

「何年経っても思い出せるような、そんな1日にします!」と畑山悠月(Vo&Gt)が挨拶をして、「SORA」からスタートしたKALMAのライブ。畑山、斉藤陸斗(Ba)、金田竜也(Dr)による全力のサウンドが冴えわたっていたが、途中でベースの音が出なくなってしまって演奏がストップ。「リーダー的存在の陸斗でこういうことが起こるということは、野音がすごい場所だと改めて思いました!」という機転を利かせた畑山の言葉が、トラブルをライブの醍醐味へと転じるタフな底力を示していた。

KALMA

KALMA

そして、ベースの音が復活してからは絶好調。「何年経っても忘れちゃいけないことを歌います」という言葉が添えられた「blue!!」。ストレートな歌詞と疾走感たっぷりのサウンドが絶妙に融合していた「くだらん夢」。3人で音を交わし合う喜びに溢れていた「ねぇミスター」。勢いよく一気に駆け抜けた「1分間の君が好き」。青空に向かって伸びやかに響き渡った「ふたりの海」……このバンドの活きの良さを感じる場面の連続だった。そして、「今日、みんなと出会えて良かった。またここに来るための約束の歌」と畑山が言い、ラストを飾ったのは「これでいいんだ」。観客の手拍子と一体となったサウンドが爽やかだった。

KALMA

KALMA

■Maki

Maki

Maki

山本響(Ba&Vo)、佳大(Gt)、まっち(Dr)のサウンドが瞬く間に一体となり、真っ直ぐに迫ってきた1曲目「平凡の愛し方」。パンチの利いた歌声が気持ちよくて仕方ない。「揺らしていけ!」という山本の言葉を受けて、盛り上がる観客の勢いがさらに増した2曲目「シモツキ」の時点で、桁外れの一体感が客席内に生まれていた。

Maki

Maki

「ここをライブハウスにしに来ました!」という言葉通りの空間と化していた野音。掲げられた拳が激しく揺らぎ続ける様が、まるで大合唱の歌声のような清々しいエネルギーを放っていた。ステージ上の3人にとっても、視界に飛び込んでくる風景は堪らないほどまぶしいものだったのだろう。続いて「斜陽」「ストレンジ」「憧憬へ」も届けられたが、演奏がどんどん活き活きとしたものとなっていくのを感じた。少しずつ夕暮れ時に近づきつつある時間帯を「俺の中のゴールデンタイムなんです」と称して、とても気持ちよさそうにしていた山本。「好きなものを追いかけている時の無敵な状態を持ち続けてください。それさえあれば俺たちはかっこよく生きられるはずだと思っています」というメッセージを添えて歌い始めた「落日」は、会場全体を温かく包み込んでいた。

Maki

Maki

■Hakubi

Hakubi

Hakubi

片桐(Vo&Gt)がエレキギターを弾きながら歌い始めた後、ヤスカワ アル(Ba)、マツイ ユウキ(Dr)も合流。1曲目「光芒」は、少しずつ夜へと近づいている空の下で、鮮烈な印象を放っていた。透明感に満ちつつも熱を感じる歌声が生々しい。客席にいる一人ひとりに対してじっくり向き合うような響きを帯びていた。続いて「辿る」も届けた後、観客に語りかけた片桐。「ライブを観て選んでくれた6組、ロックバンドが揃ってます。愛のある1日。ここに来てくれるあなたたちも音楽が大好き。そんなステージに立てて嬉しいです。最高の時間を作ります。最後までよろしくお願いします」というMCを経て、演奏はさらに続いた。「Friday」と「Twilight」が披露されたのは、日没の時間帯。ステージを彩るライティングが、響き渡るサウンドをますますドラマチックなものにしていた。

Hakubi

Hakubi

そして、《ただあなたとして生き延びてよ》という祈るような一節が印象的だった片桐の弾き語りを経て、ラストを飾ったのは「悲しいほどに毎日は」。「そこにいるって教えて!」という言葉に応えて一斉に掲げられた人々の拳が思い出される。Hakubiの音楽が孤独に寄り添う様が、まさしく視覚化されていた風景であった。

Hakubi

Hakubi

■FOMARE

FOMARE

FOMARE

力強い拍手に迎えられたアマダシンスケ(Vo&Ba)、カマタリョウガ(Gt&Cho)、オグラユウタ(Dr&Cho)が、最初に届けたのは「タバコ」。ギター、ベース、ドラムの音色が歌を彩り、会場全体に広がっていく感触が清々しい。演奏の表現力の豊かさを体感させられるオープニングだった。続いて「Continue」と「stay with me」も披露された後に迎えた小休止。コロナ禍の影響で様々なことが変わってしまったとアマダは語った。

FOMARE

FOMARE

「でも、良い出会いもあったんです。一つひとつの出来事をこうやってステージに立って正解に変えていかなきゃいけないと思ってます。来てくれたみなさんの1日をちゃんと正解に変えられるように、最高のライブをして帰ります!」という言葉を経て、観客の身も心も熱くさせた「夕暮れ」。そして「REMEMBER」が素晴らしかった。演奏の終盤で「ライトを点けてもらっていいですか?」と呼びかけたアマダ。掲げられたスマホの光が星空のようだった風景は、メンバーたちの胸を強く打っていたようだ。

その後「Lani」と「愛する人」も届けられて本編は終了。観客の手拍子に応えて行われたアンコールでは、「君と夜明け」が披露された。歌い始める前に「ライブハウスで待ってますからね」とアマダは言っていたが、彼らの音楽をまた生で聴きたくなった人がたくさんいたに違いない。

FOMARE

FOMARE

こうして終演を迎えた『若者のすべて -YOUNG, ALIVE, IN LOVE MUSIC-#03』。今後、ますます異彩を放っていくはずの6組のロックバンドが、全力のステージを繰り広げてくれた。新型コロナウィルスの影響がまだ続いている中、“やっぱりライブって楽しい!”と実感できる空間の存在意義は非常に大きい。明るい光を感じる素敵なイベントであった。

取材・文=田中大 撮影=白石達也(@tshiraishi1988)