流山児祥の率いる演劇カンパニー、流山児★事務所は2022年度公演の第一弾として、2022年5月13日(金)〜22(日)に下北沢ザ・スズナリで、わかぎゑふ新作書下ろし・演出の『黒塚〜一ッ家の闇〜』を上演する。

わかぎは、関西小劇場界を代表する劇団のひとつ、リリパットアーミーⅡを主宰しつつ、劇作家・演出家・エッセイスト等として縦横無尽の活躍を続けている。流山児★事務所と本格的にタッグを組むのは、今回が初めて。

わかぎゑふ

わかぎゑふ

新作『黒塚〜一ッ家の闇〜』のベースとなるのは、『拾遺和歌集』でも「みちのくの安達が原の黒塚に鬼こもれりといふはまことか」と詠われる鬼婆伝説だ。能では『黒塚』、歌舞伎・浄瑠璃では『奥州安達原』として有名な母子の因縁物。親と子、土地と民。血が流される根源は古から変わることなく愚かな争いを今日まで続けてきた。この、日本各地で古来より語り継がれる鬼婆伝説が新たな戦国時代劇となり、いまなお戦禍から脱することのできない現代の私たちに鋭く問いかける。

■わかぎゑふ(脚本・演出)コメント

土地と民、親と子、切っても切れないものは恩恵であると共にしがらみでもあり、諸刃の刃です。 いま、ウクライナで起きている争いの根源のひとつでもある「土地と血」の問題を、日本の戦国時代を借りて、見つめ直してみたいと思っています。

■流山児祥(芸術監督)からのコメント

わかぎゑふさんとの付き合いは、リリパットアーミー座長の故・中島らもさんとの出会いからだから35年以上である。ラサール石井の作・演出『ダフネの嵐』にゲスト出演してもらったり、リリパ劇団員だった山内圭哉は、唐十郎の『愛の乞食』に新感線の古田新太と共に出演した。3年前、ゑふさんの『お正月』を観て、その巧さに舌を巻き新作を依頼した。当初、ゑふさんのお父上の縁故の地でもある「台湾もの」を予定していたが、劇団員のみの「旅する演劇のレパートリー」を目指し、能・歌舞伎の「鬼婆伝説」を下敷きにした『黒塚』を書き下してもらった。茂山逸平氏の狂言指導、日本舞踊家:山村若静紀氏の振付。理屈抜きの面白さ、ニンゲン存在の哀しさ、そして、ウクライナ戦争に象徴される不条理な戦争の実相=土地と血を抉る問題作を書き下してもらった。ニンゲンの歴史は暴力の歴史であり、戦いの歴史である「現実」を大胆に描きます。

■『黒塚〜一ッ家の闇〜』あらすじ

15世紀末。世情の不安定化によって室町幕府の権威が低下し、戦国大名が弾頭しはじめ、領地拡大のために他の大名と戦闘を行うようになった。舞台はそんな戦国時代。新庄という在所に「笛吹峠」と呼ばれている場所があった。そこを超えると京の都への近道のため、長い間土地をめぐる争いごとが絶えない。しかし20年前に起きた悲惨な事件をきっかけに峠は封印。みすぼらしい一ツ家があるばかりなのだが、そこに近づいた者は誰一人帰らず、いつしか「鬼が住む」と怖がられている有様である。見かねた領主、堀兵右衛門は、嫡男月之介に鬼退治を命じる。侍として初めての仕事に張り切る彼に付き添うのは僧兵の正玄と、地頭の京之介。若者達は意気揚々と笛吹峠の一ツ家に住む「鬼」と対面するのだが、そこに待っていたのは20年前からの大きな因縁だった。鬼退治に向かう若武者の前に立ちふさがるものは鬼かヒトか?


なお、わかぎゑふは2022年7月9日(土)〜21日(木)には、椿組でも新作書下ろし・演出を新宿・花園神社野外劇としておこなう。作品は、歌舞伎狂言「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」をベースにした『夏祭・花之井哀歌』。さらに西瓜糖では秋之桜子の新作の演出もおこなうなど、ますます意気盛んだ。
 

【プロフィール】わかぎゑふ(脚本・演出):大阪に拠点を置く劇団、リリパットアーミーⅡ2代目座長。大阪弁の人情喜劇に定評がある。古典芸能の造詣も深く、歌舞伎「たのきゅう」(坂東三津五郎主演)「色気噺お伊勢帰り」(中村鴈治郎主演)の演出や衣裳デザイン、文楽のコメンテーター、落語の執筆、新作狂言の作、演出など大劇場から小劇場まで縦横無尽に駆け回る数少ない演出家の一人でもある。エッセイストとしても活躍し「大阪シリーズ」は根強いファンが多くいる。主な著書に「大阪の神々」「大阪弁の秘密」がある。また、NHK「リトルチャロ」シリーズの原作者でもあり、2014年に自らのノベライズ版「小説リトル・チャロ」を出版している。